虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

小湊鉄道とチバニアンと新顔タマムシ

 虫ばかりだと虫バカと呼ばれそう(すでに呼ばれている)なので、たまには、地球の歴史にも踏み込んでみることにしました。地球の歴史で最近有名になったのは、地磁気のN極S極が逆転した時期の地層がはっきりと分かる千葉の新名所、チバニアンですね。地磁気が最後に逆転してのは今から77万年ぐらい前のことで、そのあたりの時代がこの露頭地層のお陰で、全世界的にチバニアン千葉時代)と呼ばれることになったのです。今や千葉県は、世界の千葉県なのですね。

 

 では、チバニアンを写真で紹介しましょう、と行きたいところなのですが、まずは近くで見つけた初見のタマムシです。やはり虫撮る人々、昆虫記者=虫バカということですね。

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チバニアン地層付近で見つけたトゲフタオタマムシの♀

 トゲフタオタマムシは♂なら上羽の先が二尾に分かれて、脚にトゲがあるらしいのですが、今回は♀なので、トゲもフタオもないトゲフタオです。

 

 それでもタマムシなので、よくよく見るときれいな虫ですね。

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背中はウバタマムシ風、裏返すと金色、羽の下は青く輝くトゲフタオタマムシ

 小湊鉄道月崎駅からチバニアンまでは歩いて30分ほどですが、昆虫記者はこんなところでも虫を探しながら歩くので、1~2時間はかかってしまいます。そして、その成果がこんなすばらしいタマムシとなって表れるのです。

 

 ついでに鉄道ファンの間で人気の高い小湊鉄道トロッコ列車も紹介しましょう。

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五井駅に停車していた小湊鉄道トロッコ列車

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ロッコの乗客は何だか楽しそう

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でも金欠の昆虫記者はトロッコでない普通の列車に乗ります

 トロッコ列車は追加料金が必要なので、貧乏な昆虫記者は乗りません。乗ってしまうと、列車の写真は撮りにくいので、撮り鉄ならば、乗らずに田園風景の中を走る列車の写真を撮るのがいいのです。

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田園風景の中を走るトロッコ列車

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チバニアン地層の最寄り駅「月崎」はこんな小さな無人

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月崎駅

 虫も、列車もいいけれど、チバニアンは一体どうなったんだという怒りの声が聞こえてきそうですが、明日は早起きなので、時間が無くなりました。残念ながらチバニアンは次回にお預けとなります。地層のみならず、化石、甌穴、美しい風景、そしてもちろんさらなる虫も出てくるはずですので、ご期待下さい。

イモムシ、蛹、羽化シリーズ・クロヒカゲとヒカゲチョウのどうでもいい区別

 イモムシ・蛹・羽化シリーズ。今回はほとんどの人にとってどうでもいい、非常に紛らわしい2種類の蝶の区別です。その蝶は、クロヒカゲとヒカゲチョウ。どちらも日陰者で、一見蛾のように地味で、注目を浴びる事もない、虫好き以外の人々にとっては本当にどうでもいい蝶なので、全く期待しないで見て下さい。

 

 まずは成虫の蝶を並べて観察してみましょう。

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左がクロヒカゲ、右がヒカゲチョウ。ほとんど同じで、遠目には全く区別が付きません。

 写真は典型的なクロヒカゲとヒカゲチョウなので、その名の通りクロヒカゲの方が黒っぽいですが、実際はもっと薄い色のクロヒカゲとか、もっと濃い色のヒカゲチョウとかもいて「うーん、どっちなんだろう」と悩むことになります(普通の人は悩みません)。確実な見分け方は、下羽の眼状紋(目玉模様)の方へと食い込んでいる線が、眼状紋近くまでグッと食い込んでいるのがクロヒカゲで、わずかに折れ曲がっている程度なのがヒカゲチョウというものです。あと、前羽の下の方にある線が2本ならクロヒカゲ、1本ならヒカゲチョウという見分け方もあります。

 

 わざわざ見比べてくれた人には丁重にお礼を申し上げますが、「だから何なんだ。見分けられたからって、何かいいことがあるのか。全くどうでもいいじゃないか」と言われたら返す言葉がありません。

 

 しかーし、虫好きにとっては、これが重大事なのです。特にイモムシ好きにとっては、天と地ほどの差があるのです。

 

 実は成虫がこれほど似ているのに、幼虫は相当に見た目が違うのです。不思議ですよね。まず若齢の時から顔が全く違います。終齢になると、体の色と模様も全く違ってきます。

 まずはクロヒカゲの幼虫です。ヒカゲチョウと同様に笹の葉を食べます。どちらの顔も猫耳系ですが、クロヒカゲはウサギ耳に近いかも。

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クロヒカゲの若齢幼虫。頭が黒っぽくて、角が左右に長く幅広に突き出ています。

 

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ちょっと大きくなったクロヒカゲの幼虫。体が薄茶色に。遅くまで緑色のもいるらしい。

 そしてクロヒカゲの終齢幼虫と前蛹と蛹。

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 これに対してヒカゲチョウの幼虫は、小さいときからあまり様子が変わりません。ずっと緑色(たぶん)で、頭の真ん中寄りに小さい角があって、真上に伸びています。

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ヒカゲチョウの幼虫

 

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ヒカゲチョウの幼虫

 

 ヒカゲチョウの幼虫の中には胴体の左右側面に3つずつの紋が出るタイプもいます。こっちはちょっとだけオシャレ。

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 どうです?。幼虫を見ると、クロヒカゲとヒカゲチョウが全く違う蝶だということが分かりますね。「だから、それがどうした」と言われると、またしてもグーの音も出ないのですが、ともかく違うのです。

 

 ついでにクロヒカゲが羽化したら、黒バックで眼状紋を撮ってみましょう。羽が黒っぽいので、紋の青色が際立って、まるで夜空の星座、星雲のように見えてきれいですね。

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クロヒカゲの眼状紋を黒バックで撮ると、夜空の星のように見える

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 地味なクロヒカゲも撮りようによっては、きれいにもなる。お見合い写真の撮り方のようですね。

 「でも結局は地味な蝶なんでしょ」と言われれば、全くその通りなのですが。

 

今年のイモムシ、蛹、羽化シリーズ。トップはやっぱりアオバセセリ

 ライフワークは虫旅、虫撮りと豪語する昆虫記者としては、毎日でも虫探しに出かけたいのですが、家庭の財政事情からサラリーマンとしてデスクワークを週5日続けざるを得ないのが現実。そんな悲しい現実世界を癒してくれるのが、自宅に養子に向かえたイモムシたちです。彼らが立派に成長して、蝶や蛾として旅立っていくのは、里親として嬉しい限りです。寄生蜂や寄生バエにやられて非業の死を迎えることも多く、そんな時は悲しい限りですが、寄生する連中もたいていは昆虫なので、それはそれで、人生(虫生)でもあるわけで「人生色々なのだなー」と感慨にふけることができます。

 

 グダグダ言ってないで、早く本題に入らないと、イモムシ、蛹、羽化シリーズの整理が付きません。もう11月で年末も迫ってきています。ウダウダしている場合ではないですね。

 

 では、まずはアオバセセリ。ほとんど毎年のように1匹ずつ羽化させているのですが、一向に飽きる気配はありません。成虫は、とてもセセリの仲間とは思えない、極彩色に包まれています。

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今年羽化したアオバセセリ。羽は青く見えたり、緑色に見えたり。

 

 幼虫の隠れ家も見事です。中南米の楽器オカリナを連想させますね。窓のような複数の穴から朝日が差し込んだりしたら、隠れ家の中は、どんな不思議な光景になるのか。アオバセセリの幼虫になってみないと分からいでしょう。山地のアワブキの木には、たいてい幾つか、こんな巣が付いています。

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オカリナを思わせるアオバセセリ幼虫の隠れ家

 

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こんな小さい隠れ家にも、ちゃんと明り取りのような穴が開いている

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これは1齢か2齢ぐらいの時に作った隠れ家だろうか

 そしてこの隠れ家の中の幼虫がまた、見事。

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隠れ家の中のアオバセセリの幼虫

 テントウムシを貼り付けたような頭、ロールケーキのような体。毎回、うわー、居たー、と思わず叫んでしまう姿です。

 

 他の蝶も続けて紹介しようと思ったのですが、今しがた妻が「お昼できたよ。食べるなら早くしろ。呼んだらすぐ来い」と叫んだので、続きは後でs。

カマキリを洗脳し入水自殺させる悪魔のようなハリガネムシも知恵の輪と思えばかわいいかも

 今回は、前回からのカマキリ繋がりです。ですが、前回の小さくてかわいいヒナカマキリから、今回の展開を連想すると、大間違いになりますので、ご注意下さい。

 

 食事中の方、気味悪いものが苦手な方は、ここから先はご遠慮下さい。まあ、元々が昆虫ブログですから、気味悪いものが苦手な人があえてここを覗くことはあまりないと思いますが、鎌とキリとか、針金とか、工具関係を検索していて何かの間違いで、ここにたどり着くこともあるかもしれません。そんな場合は「炎上させてやれ」なんて物騒なことは考えず、ひっそりと立ち去るのがいいと思います。

 

 すでに針金のヒントが出ているのでお分かりの方も多いことでしょう。そうです。今回はハリガネムシです。出会いの場は、京王よみうりランド駅付近の多摩丘陵を臨む川辺でした。

 

 カマキリの寄生虫で、カマキリの脳みそ(あるのか?)を支配して入水自殺へと誘う悪魔のような存在として知られるハリガネムシですが、手に取ってみると、複雑な知恵の輪のようにも見えます。そうです。何のことはない、健全な遊具の知恵の輪ですね。そう思えば、全然気持ち悪くないですね。

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まるで知恵の輪のようなハリガネムシ。全然気味悪くないですね。

 宿主だったハラビロカマキリがどんな状態だったかというと、下の写真のような感じ。便意に苦しんで身をよじり、一刻も早くトイレ(この場合は川の中)に飛び込みたいという感じです。ハリガネムシの寄生がこんなに分かりやすい状態のカマキリを見たのは、今回が初めてでした。

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一刻も早くトイレ(川の中)に飛び込みたいと身をよじるカマキリ

 あんまりかわいそうなので、捕まえてお腹をさすってやると、尻の穴からニュルニュルと出てきました。「うわー汚い」。と言っても糞ではありません。「うわっキモイ!」が正しい表現かもしれません。もちろん出て来たのはハリガネムシです。

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カマキリの尻からニュルニュルと出て来たハリガネムシ

 たぶん、水に漬けてやっても出てくるのでしょうが、腹を横から少し圧迫すると、危険を感じるのか、ハリガネムシは自ら脱出を図ります。

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こんなに長い寄生虫を腹の中に抱えていたら、相当に苦しいことでしょう

  ハリガネムシはカマキリの腹から出た後は水中で生活するので、カマキリを巧みに誘導して入水自殺させ、自らは水中へと躍り出ます。なので昆虫記者は、カマキリにとっては命の恩人。ハリガネムシにとってはいい迷惑ということになりますね。

皇居にヒナカマキリの季節到来

 9月をすっ飛ばして、いきなり10月半ばの皇居周辺です。そしていきなり、日本最小のカマキリの「ヒナカマキリ」が登場です。いるんです、皇居にはヒナカマキリが。それもかなりたくさん。

 毎年のように、冬にヒナカマキリの卵(卵鞘)を確認していたので、かなりの数が生息していることは分かっていたので、今回は成虫の最盛期と思われる10月中旬に捜索に行きました。

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オミナエシとヒナカマキリ。右はヒナカマキリの卵(卵鞘)

 最初の写真は「東御苑のオミナエシの上で獲物を待ち構えるヒナカマキリの図」ですが、そう都合良く、秋の風景とヒナカマキリが一緒に撮れるわけないです。

 本当は最初の1匹を見つけたのは東御苑のトイレの中です。しかし、トイレではあまりにも絵にならないし、臭い。それに、トイレの中でカメラを構えていたり、フラッシュ光らせていたりしたら、絶対に不審者です。皇宮警察に逮捕されて、「変態記者、皇居の男子トイレでわいせつ行為か=虫を撮ってましたと言い逃れ」なんて見出しで、3面記事になりかねません。

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右の方の小さな黒い点がトイレにいたヒナカマキリ

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小便器前のヒナカマキリ。絵にならないし、臭い。

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下が♀、上が後で見つけた♂。羽が退化しているので幼虫のように見えますが、たぶんこれで成虫です。

 

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極小のヒナカマキリもアップにすると勇ましく見える。

 そこですぐに外へ連れ出して、オミナエシの花の上に乗せて、撮影会を開催したのです。オミナエシの花を取っている人は、変態とみなされることはありません。

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 その後は、ちゃんと自然の中で、♂と♀1匹ずつを見つけました。卵鞘も2つ発見。来年も豊作まちがいなしですね。

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皇居の自然の中で見つけたヒナカマキリ♀

 しかし、彼らには恐ろしい天敵がたくさんいます。まずはヤモリです。たぶんトイレは、小さな蛾やヨコバイなど餌が多いという理由からヒナカマキリの穴場になっています。いつもヒナカマキリがたくさんいる三浦半島の某所でも、必ずトイレで何匹かヒナカマキリが待ち構えています。しかし、トイレの暗がりには、たいていヤモリも潜んでいるのです。やつらに狙われたら、ヒナカマキリの小さなカマなど、何の役にも立たないでしょう。

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ヒナカマキリの天敵、ヤモリ

 そして次なる天敵は、下の三色国旗を掲げている虫です。余談ですが、黒白赤の三色国旗は、シリア、イラク、エジプトなど中東のアラブ諸国に多いようです。中でも何の文字、絵柄も入っていない黒白赤の三色旗はイエメンの旗。

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この3色旗の持ち主は誰?

 そんな三色旗の腕を振り上げているのは、コカマキリです。コカマキリはイエメン応援団のような虫というわけです。

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コカマキリの特徴はカマの三色旗

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ヒナカマキリと比べると巨大に見えるコカマキリ

 皇居周辺にはコカマキリもたくさんいます。オオカマキリハラビロカマキリと違って、コカマキリは薄暗い環境が好みで、産卵場所も目立たない暗がりが多いですね。そんな場所は、ヒナカマキリの生息場所ともろにバッティングするのです。

 そしてコカマキリの体長は、オオカマキリと比べれば小さくても、ヒナカマキリにとっては巨大です。奴らに狙われたら、やはりヒナカマキリはひとたまりもないでしょう。合掌。

今さら高尾のミヤマクワガタとアオカナブンとオオムラサキ

 10月も中旬に入ろうというのに、ブログ記事はようやく8月分が終わりそうというていたらく。そんなグズ昆虫記者はだれも相手にしてくれそうにないので、傍若無人にずんずんと話を進めます。

 

 今回は8月後半の高尾周辺です。東京都内に閉じこもっていた今年の夏ですが、やはり高尾(ギリギリ東京です)まで行かないと、容易に見られない虫もいるのです。今年はまだミヤマクワガタを見ていない、アオカナブンを見ていない、オオムラサキも見ていない、となると、どうしても見たくなるものです。やっぱり高尾に行かなくちゃと、居ても立っても居られなくなるのです。

 

 で、やっぱり高尾に来た甲斐がありました。高尾は昆虫記者を裏切らない。ちゃんと、大型のミヤマクワガタがいました。やらせ番組のように、ミヤマがいるっていうのが、さすが高尾です。

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高尾のミヤマクワガタ。大向こうをうならせるカッコ良さ。

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平地の王者がノコギリクワガタならミヤマクワガタは山の王者ですね

 アオカナブンもいました。このエメラルドのような吸い込まれそうな緑色の輝き。昔は皇居外苑にもいて、軽視していた虫なのですが、最近は都心では全く見かけなくなりました。久々に見ると、大粒のエメラルドを目の前にした宝石泥棒のようにドキドキしますね。

 今回はスズメバチに囲まれて絶体絶命の状況だったので、手に取って見ることはできませんでした。憎きスズメバチども。

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大粒のエメラルドのようなアオカナブン

 そしてボロボロながら、オオムラサキもいました。季節的もう最終盤なので、ボロボロなのは仕方ありません。なんか、「やっぱりすごいな高尾」って感じです。

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スミナガシの下にいるのが、ボロボロのオオムラサキ

 オオムラサキと、スミナガシと、アカボシゴマダラの3者のコラボシーンなんて、高尾ならではかも。

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オオムラサキとスミナガシとアカボシゴマダラのコラボ

 残念ながらミヤマカラスアゲハには会えませんでしたが、残念賞のカラスアゲハが慰めてくれました。

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残念賞のカラスアゲハ

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カラスアゲハの開翅。画面からはみ出ているのはカメラマンの腕の悪さを物語る

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林道の水場にはサカハチチョウが多い

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サカハチチョウの羽の表は地味。裏側の方がきれい

 

 今回は日影沢から城山茶屋を目指したのですが、何と、途中で林道の道がなくなって川になっていました。2019年の台風19号の被害からまだ復旧していないようです。

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道が川で寸断されている

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右側の激しい流れの川が本来の道。左の河原を歩くか、中央の護岸の名残の上を歩くしかない

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川のようだが、これも元は道

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あちこちで林道が崩れている

 それでも何とか林道を登り切ったら、そこには、林道通行禁止の掲示が。確かに雨が降ったりしたら、あの道は歩けないでしょう。林道の下の方には通行禁止の表示はなかった気がするので、登りはOKだけど、下りはダメということでしょうか。ともかく登れて良かった。めでたしめでたしです。

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今登ってきた林道は通行禁止だったのかも

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それでも何とか小仏城山の茶屋にたどり着いた

 今回はついでに高尾駅からすぐの初沢山の虫撮りも無理やりアップしてしまいます。いくら何でもそろそろ8月分を終わらせないといけないので。

 

 もう長すぎてうんざりしている人も多いでしょう。と言うか、もう読んでくれている人が誰もいないかも。しかし、そんなことでくじけてはいられません。

 

 初沢山と言えば、まず高尾天神社の天神様にお参りしないといけません。巨大な菅原道真像が睨んでいるので、お参りしないと天罰が下りそうだからです。

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高尾天神社の階段はきつい

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上から睨みつける天神様

 初沢では久々に、ヨツボシハムシを見つけました。どうってことのない小さなハムシですが、よく似ていて食草も同じアトボシハムシの方が圧倒的に多いので、四つの黒い紋があると嬉しくなります。

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久々に見たヨツボシハムシ

 

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こっちはアトボシハムシ。紋の数は三つ、二つのほかゼロのことも

 ここにはアワブキの木が何本かあるので、スミナガシやアオバセセリの幼虫に会える確率も高いです。今回はスミナガシの幼虫がたくさんいました。

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芸術的なスダレをつくるスミナガシ幼虫

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雑なスダレしか作れないスミナガシ幼虫もいる

 

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ハラグロオオテントウ。日本最大級のテントウだがしょせんはテントウ。大した大きさではありません。

 

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コナラのドングリが枝ごと落ちていたら、それはハイイロチョッキリの仕業

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ドングリを詳細にチェックすると帽子の部分に産卵痕がある

 これでやっと8月分終了、と思う。たぶん。でも、まだ残ってたかも。

「変質者に注意。見てるぞ」ポスターを連想させるハグルマトモエ

 まだまだ夏のネタが全く処理し切れてないので、資料整理を兼ねて、夏の小野路続編です。昆虫記者の勝手な都合で、まだブログは夏なので、秋の気分になっている大多数の方々は、スルーして下さい。

 でもブログとか、昆虫趣味とかのために、毎月1~2日は祝日が欲しいですよね。年を取ってくると土曜に虫撮りに行くと日曜は結構疲れてしまって、遅くなってから写真整理とかブログとかに取り組むことが多くなります。一億総活躍で死ぬまで必死で働くより、もっと楽しく生きたいですが、お金がないので、そうもいきません。なんか日本って、どんどん貧しくなっているような。

 科学技術が発展すれば、人間はそんなに働かなくてよくなり、ヘリコプターでお金が撒かれるヘリマネの時代が来ると思っていたのに甘かったです。

 

 などと色々言い訳をして、小野路の夏の名残です。

 

 まずは目覚まし代わりに、グルグル目玉模様のハグルマトモエ。「変質者に注意。見てるぞ」というあの、犯罪防止ポスターを連想してしまうのは、心のどこかにやましさがあるためでしょう。何にも悪いことしてないのに。

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「犯罪は許さない。見てるぞ」と注意された気になるハグルマトモエ

 アワブキの木ではスミナガシの幼虫が、夏の風流なスダレを作成していました。若齢の幼虫の模様は、体がブチブチ切れているようにも見えるので、このスダレに紛れることで身を隠すのでしょう。

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アワブキの葉でスダレを作るスミナガシ幼虫

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 ススキの葉をつづった中によく居るセセリ系の幼虫は、たぶんキマダラセセリとかチャバネセセリとかだと思いますが、今回のは、寄生蝿に生き血を吸われてミイラになってました。

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ミイラになっていたセセリの幼虫。隣にあるのは寄生バエの蛹

 奈良ばい谷戸には、畑を囲むようにクヌギが植えられていて、たいていクワガタの姿があります。

 

 このあたりで一番大きな顔をしているのは、ノコギリクワガタですね。残念ながら、牙(大顎)の小さいのしか見つけられませんでした。

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ノコギリクワガタカップ

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こんな小さいのもノコギリクワガタ

 ここもコクワガタより、スジクワガタの方が圧倒的に多い感じです。

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スジクワガタのカップ

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少し大きめのスジクワガタ♂


 小さなスジクワガタを何匹も見た後だと、コクワガタがとてつもなく立派に見えます。改めてコクワのオスって、結構カッコイイと見直しました。

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スジクワガタを見た後だと、改めてカッコイイと思うコクワガタ

 

 タラノキの花が咲いていました。タラノキが好きなのは山菜採りの人々だけではありません。

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タラの木にいるカミキリ虫と言えば

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タラノキが好物のセンノカミキリのカップ