虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

オシドリ夫婦とだけは呼ばれたくない

 先日出かけた千葉市の公園は、毎年オシドリがやってくることでも有名です。でも、ここのオシドリはとてもシャイ(餌付けされていないオシドリはたいていシャイなようです)で、いつも庇のように枝が張り出した木の下に隠れています。

 

 それでも時々木陰から出てくることもあるので、じっとシャッターチャンスを待ちましょう。

 

 ようやくカップルが茂みから少しだけ、姿を見せました。まさにオシドリ夫婦ですね。まるで口づけを交わしているように見えますが、こうしたいわゆる「オシドリ夫婦」的な写真に騙されてはなりません。

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口づけを交わすかのような、まさにオシドリ夫婦的な写真に騙されるな

 実はオシドリカップルは、毎年のように相手を取り換えているらしいのです。これが人間だったら究極の浮気者、女たらし、男たらしですね。鳥には鳥の生き方があるのに、人間の勝手な思い込みで、仲良し夫婦の象徴にされてしまったという感じで、オシドリにしてみれば、いい迷惑でしょう。

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2組のオシドリ夫婦。でも、もしかすると乱れた男女関係かも

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一応夫婦ごとに行動しているようでした。

 派手な色柄のオシドリのオスと、控えめで清楚な色柄のメスのカップルは、いかにもベストカップル的なので、男女関係の乱れを憂う良識ある大人たちが、ついオシドリを仲睦まじい夫婦の象徴に祭り上げてしまったのでしょうが、実際には浮気を推奨していたようなものですね。

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ここのオシドリはたいていは、こんな風に暗がりに隠れているので、存在に気付かない人も多い

 

 公園の一角に、バードウォッチャーが7,8人集まっていました。何を狙っているのか聞いてみると「ミソサザイ」とのことでした。サザエのみそ焼きではありません。昆虫記者も高尾で見かけたことがありますが、小さくて地味で、暗い林内でちょこまか動き回って、絵になりにくい鳥です。でも、いつでも見られるオシドリと比べると希少価値があるようで、大人気でした。

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ミソサザイの撮影チャンスを待つ人々

 でも1日中、味噌サザエ、もとい、ミソサザイを待っていては、昆虫写真が撮れないので、ささっと諦めて、オシドリお茶を濁す昆虫記者でした。ちなみにオシドリの写真を撮っている人は、だれもいませんでした。

野鳥界のドナルド・トランプ、レンジャク見っけ

 ドナルド・トランプ氏がついに米大統領の座を明け渡しましたが、それと相前後して野鳥界のトランプにやっと出会うことができました。野鳥界のトランプ、野鳥界のリーゼント頭の番長と言えば、レンジャクですね。

 

 レンジャクにはヒ(緋)レンジャクとキ(黄)レンジャクがいるそうです。赤レンジャー、黄レンジャーじゃないですよ。まあ、ちょっとゴレンジャーっぽくなくもないですが。

 

 今回のはヒレンジャクのようです。尾羽の先が赤いので。

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野鳥界のドナルド・トランプと言えば、リーゼント番長風のレンジャクですね

 実はちょっと以前から、冬にヤドリギを見つけると、もしかしてレンジャクがいるのではと気にしていたのです。以前、小野路でバードウォッチャーの方にレンジャクの穴場を教えていただいて、時々覗いていたのですが、今回見つけた場所は千葉市の公園でした。このあたりはケヤキらしき巨木が多く、その大半に緑のボールのようなヤドリギがまとわり付いています。

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ケヤキらしき巨木にヤドリギがたくさん

 バスの時間が近づいた帰り道。ふと見上げた巨木にも緑のボールがたくさん。そう簡単にレンジャクに会えることはないだろうと思いつつ、緑のボールに視線をさまよわせていると、スズメより少し大きいぐらいの鳥が、ヤドリギの近くの枝の上に姿を見せたのです。「もしかして!」。虫用カメラのレンズを一気に望遠側に伸ばしてファインダーを覗くと。「オオ、あれこそは野鳥界のドナルド・トランプ」。

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もしかしてレンジャク?

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望遠で見ると確かにレンジャクでした

 偉そうなリーゼント頭に尊大な顔つき。いかにも性格が悪そうに見えますが、スズメの仲間のおとなしい鳥のようです。ヤドリギの実が好物の冬鳥なので、ヤドリギの多いケヤキなどの大木を見上げていれば、結構見つける機会が多いのかも。

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レンジャクは顔がトランプ似ですが、性格は悪くないようです

 調べてみると、実を提供するヤドリギの側にも、メリットがあるようです。レンジャクの糞は粘液で長く糸を引くような形状なので、粘着テープのように木に絡みついて離れないらしいのです。糞の中に残ったヤドリギの種が、絡み付いた木の枝から芽を出して、勢力範囲を拡大していくという仕組みがあるようです。

 

 レンジャクとヤドリギの持ちつ持たれつの関係。野鳥界のドナルド・トランプの姿からは想像もできない素晴らしい助け合いの世界ですね。人(鳥も)を見た目だけで判断してはいけないという好例です。

アサギマダラで真冬の東京でもイモムシ萌え

 真冬のイモムシ探しで一番萌え萌えになるのは、アサギマダラでしょう。白、黄、黒の組み紐のような胴体の模様も萌え要素ですが、若齢幼虫のブサカワ、キモカワの顔も、捨てがたい魅力があります。

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真冬のイモムシ萌え。アサギマダラのブサカワ、キモカワ系幼虫

 南国の蝶の印象が強いアサギマダラですが、幼虫は結構寒さに強く、真冬の東京でも食欲旺盛で、キジョランにせっせと丸い食痕を開けています。

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キジョランの葉に丸い穴がたくさんあれば、アサギマダラ幼虫がいる可能性大

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真冬はこんな極小の幼虫が多い。

 今年も八王子方面にアサギマダラ詣に行ってきました。マイナーな場所なので、食草のキジョランが繁茂する山道は人影もまばら。3密回避の余暇には絶好です。

 

 東京でのアサギマダラア幼虫の越冬には、冬も青々としたこのキジョランが欠かせません。幼虫の居場所の目印は、葉に開いた丸い穴。植物が出す毒液をあの有名なトレンチ行動で遮断しようと、円形に堀をめぐらせた後で、堀の内側の葉を食べるので、この丸い穴が開くのです。

 

 昆虫記者にしてみれば、アサギマダラの幼虫が「私はここにいますよ、見つけて下さい」と言っているようなものです。新しめの丸い穴(裏を見て穴の周囲に白い毒液がたくさんこびり付いているのが新しい穴です)が開いた葉が何枚か続いていたら、そのどれかの裏側にたいてい幼虫がいます。

 

 まずは極小の幼虫。この段階の幼虫の顔は黒一色であまり面白くありません。

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1齢幼虫か。芸のない黒い顔

 少し成長すると、突如デストロイヤーの覆面(若い人は誰も知らないので、要ネット検索)のような変な顔になることがあります。2、3齢ぐらいの幼虫でしょうか。昆虫記者はこの顔が一番好きです。

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デストロイヤー風の変顔のアサギマダラ幼虫

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この手のアサギマダラ幼虫はスターウォーズのストームトルーパーのようでもある

 このあたりまでの極めて小さな幼虫の方が、冬の寒さに強いようで、春まで生き残って立派な蝶になる確率が高いようです。

 

 5齢と同じような、お馴染みのテントウムシの背中の模様のような顔のもいました。これはなかなか端正な顔立ちと言えます。

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端正な顔立ちのアサギマダラ幼虫

 少し大きめの幼虫もいました。脱皮後間もないようで、顔は仮面ライダーの面を白塗りしたような感じです。背中の模様は、全体に黄色の斑をちりばめた立派な最終形態になりつつあります。

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脱皮したばかりらしい少し大きめのアサギマダラの幼虫

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大きめと言ってもこのサイズ

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黄色の斑がきれいにちりばめられた胴体の模様は、すでに最終形態に近い

 この時期にこの大きさになってしまった幼虫は、これまでの経験上、外では凍死する可能性が高いように思います。助けてやりたい気もしますが、そうすると2月ごろに成虫になって、これまた悲しい運命が待っています。頑張って寒さに耐えろと言うしかないですね。

丑年の初虫詣と言えば、言わずと知れた羽無し蛾のチャバネフユエダシャク

 丑年です。初詣は行きましたか。虫好きの丑年初詣と言えば、当然昆虫界のホルスタインこと、冬の羽なし蛾のチャバネフユエダシャク♀探しですね。

 丑年の3密を避けての静かな初詣には、チャバネフユエダシャク探しが最適。ただし、見つかるかどうかは時の運。見つかったら丑年の幸運を願って、二拝二拍手一礼しましょう。

 

 なぜ丑年にチャバネフユエダシャクなのか。虫好きには説明は不要ですね。羽の退化した♀のチャバネフユエダシャクは、その白黒まだら模様と、ふっくらした姿から、ホルスタインの通称で呼ばれることが多いのです。乳牛の代表のあのホルスタインです。

 

 では参拝に出かけましょう。と言っても、見つけたのは2020年の12月末なので、なんちゃって初詣です。でもコロナ禍の現在、3密を避けるため、初詣を前年末に前倒しする人も多かったようなので、大目に見ることにしましょう。

 

 まずは毎年冬にほぼ確実にホルスタインに出会える超穴場の生田緑地です。やっぱり今回もいました。丑年こそコロナ禍が過ぎ去って良い年になりますよう、手を合わせて拝みます。

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丑年の初詣は、ホルスタインことチャバネフユエダシャクの♀を拝みましょう

 今回のホルスタインは、こんな目立つ場所にいました。

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こんな目立つ場所にいたチャバネフユエダシャク♀

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昆虫記者以外は誰も、おめでたいホルスタイン様に見向きもしません

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ここまで近づくと、ようやく、鳥の糞でないことが分かりますね

 「今回の」発見場所が目立つ場所だったと言うより、「今回も」と言った方がいいかもしれませんね。「お前の目は節穴か」と良く言われる老眼が進行した昆虫記者が、あの地味なフユシャク♀たちを見つけられる場所は、ほとんど公園の木柵に限られるからです。

 

 しかし何と、生田緑地散策の数日後、今度は多摩丘陵で、エノキの幹に張り付いているホルスタインを見つけたのです。樹上でホルスタインを見つけたのは、たぶん今回が初めて。これは、丑年こそは絶対に良い年になるという、神様の予言のようなものですね。賽銭をはずみたいところですが、ここは森の中。お金が無駄になるので、開きかけた財布を閉じて節約しました。

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エノキの樹上で見つけたチャバネフユエダシャク♀

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手乗せしてみると、チャバネフユエダシャクは意外に足が長い

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正面から見たチャバネフユエダシャク♀。少し蛾らしく見える。

 チャバネフユエダシャクの♀は、別にホルスタインに擬態しているわけではありません。丑年だからといって、特に人気が急上昇しているわけでもありません。実際には、鳥の糞に擬態していると言われていて、全然めでたい存在ではないのです。

 

 近くにあった鳥の糞を写真に撮ってみました。確かにチャバネフユエダシャクの♀に似ていると言えば、似ています。

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近くにあった鳥の糞。チャバネフユエダシャク♀に似ていると言えないこともない

 他のフユシャク♀は、チャバネよりさらに地味です。1月に入ってから小野路で、地味な♀を2種類見つけました。たぶんシロオビフユシャクと、ナミスジフユナミシャクです。

 

 丸っこいシロオビフユシャク♀は、とても蛾には見えません。アブラムシ(アリマキ)を巨大にしたような雰囲気ですね。

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たぶんシロオビフユシャクの♀。アブラムシの巨大版のようで、とても蛾には見えない

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シロオビフユシャク♀を指乗せ

 ナミスジフユナミシャクの♀は、使い物にはならない小さな羽を持っているので、一応蛾らしくも見えますが、やはり飛べません。羽は飾りのようなものですね。

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木柵の上にいたナミスジフユナミシャク♀

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ミスジフユナミシャク♀の羽は飾りのようなもの

 近くにナミスジフユナミシャクの♂もいました。じっとしている♀に夜這いをかけないといけないので、♂の方には立派な羽があります。

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ミスジフユナミシャクの♂。メスに夜這いをかけるため立派な羽がある

 

秋の野山散策で意地汚く無料の食料を探す

 今時になって秋の野山の味覚です。完全に一般社会と時間軸がずれているのが、常人たらぬ昆虫記者です。

・柿

 まずは代表的な秋の味覚の柿。これはほとんどの場合、所有者がいるので、勝手に取って食べることはできませんが、鳥や虫は勝手に食べています。うらやましい。

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柿は成虫越冬する蝶の大好物。クロコノマチョウとキタテハ。

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メジロムクドリなどの鳥が食べた後の柿が、蝶の食卓になります。

 そして栗。丹波栗のような立派な栗はやはりたいてい所有者がいますが、山栗は野山の散策路にたくさん落ちていますね。これはたいてい所有者がいないので、無料で取り放題、食べ放題です。昨年は多摩丘陵で拾った山栗をたらふく食べました。

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山栗は無料の高級食材

・山栗レシピ

 一番簡単な食べ方は、一晩水に漬けたり、ゆでたりしてから鬼皮をむいて素揚げにして、軽く塩を振るだけというものです。実はこれしか食べ方を知らないのに、レシピなどとおこがましいですね。

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昨年拾った山栗

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山栗の素揚げは、渋皮ごと揚げるので手間が少ない。揚げた後で渋皮を取り除いてもいい

 ムカゴ・レシピ

 山芋を掘るのは大変ですが、ムカゴなら簡単にいくらでも収穫できます。山道を散策しながら、大きいムカゴを見つけるたびに摘んでいくのは楽しいものです。さて、レシピですが、これまたバカの一つ覚えで、塩ゆでしてそのままいただくというのが、唯一知っているレシピです。これが結構おいしい。

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ヤマイモの茎に付くムカゴ

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ムカゴの塩ゆで。塩は濃いめの方が美味しいかも。味はヤマイモの粉で作ったタピオカパールのような感じ、って全然分からないですね。

 銀杏

 イチョウの実である銀杏は、踏んでしまうとウンコのような悪臭が靴底について嫌ですね。なので、可能な限り拾って食べてしまいましょう、と言いたいところですが、子供が何十粒も食べると食中毒になる恐れがあるので注意が必要。大人で10粒ぐらいまでなら、何の問題も無いようです

 

 イヌマキ

 葛西臨海公園の鳥類園に向かう駐車場前の道には、イヌマキの生垣があります。イヌマキの実は、花托という赤い部分がほんのりと甘く、そのまま食べられます。しかし、その先の緑色の種子の部分には毒があるので気を付けましょう。

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見た目もかわいいイヌマキの実

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葛西臨海公園の鳥類園に向かう道の駐車場前にイヌマキの並木がある

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イヌマキの実。食べられるのは赤く膨らんだ部分。緑の種子には毒がある

 ガマズミ

 ガマズミは、小さな赤い実がびっしりと付いて、秋の野山の色模様として親しまれていますが、意外にも食用になります。でも小さい実なので、全く食べ応えがありません。しかも、葉が茂っている頃はまずいらしいです。初冬になって葉が落ちた頃に、一粒、二粒つまんで、甘酸っぱさを愛でるのがいいようです。昆虫記者は昨年初めて食べてみましたが、酸っぱいだけという感じでした。時期が早かったのかも。

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ガマズミの赤い実は秋の野山の彩り

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12月下旬のガマズミの実。葉が全部落ちた後の方が美味しいらしい。

 クコ

 クコの実は、杏仁豆腐の上にポチっと乗っている赤い実です。乾燥させてナッツ類と一緒に食べたりもしますね。でもこの乾燥が難しい。何回かチャレンジしましたが、美味しい乾燥クコの実になったためしがありません。

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クコの実。乾燥させるのが難しい。

 ケンポナシ

 ケンポナシは、枝が食用になるという不思議な木です。写真で枝先に付いている丸いのが実。その後ろの太くなった枝(花梗とか花柄とかよばれる花や実の後ろの部分で、厳密には枝ではないようです。サクランボを食べる時につまむ緑色の部分ですね)が、梨のような味がするようです。昆虫記者が食べた印象は、甘さの強いサトウキビのような感じでした。1つ目、2つ目めぐらいは良かったのですが、その後で食べたらお酒の味がして、アルコールに弱い昆虫記者は、しばらく酩酊状態になりました。落ちてから時間が経つと発酵することもあるようです。気を付けましょう。ケンポナシはあまり多くない木で、東京中心部では、戸越八幡神社林試の森公園小石川植物園などで見られます。

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ケンポナシの実(先の丸いもの)と膨らんだ枝(花托)

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拾い集めたケンポナシの枝と実

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戸越八幡神社のケンポナシの木


 秋の野山の無料の味覚を紹介していたら、もう春、夏の味覚が恋しくなる意地汚さ。野イチゴとか、クワの実とか、よだれが出そうですね。

 

賑わう葛西臨海公園、シジミチョウの越冬にも3密の懸念?

 冬の葛西臨海公園と言えば、ムラサキツバメ(蝶です。鳥ではありません)の集団越冬ですね。「ですね」って、だれも同意しないんですけど…と言われそうですが、昆虫記者的には、冬の葛西はやっぱり、何と言われようとも、ガン無視されようとも、ムラサキツバメの集団越冬です。

 

 撮影時がまだ11月下旬だったので、まだ臨戦態勢、有事にはいつでもスクランブルをかけられるぞ、という姿勢で集合していました。

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10匹ほどのムラサキツバメの集団越冬。日当たりが良く、雨風もしのげる位置のマテバシイなどの葉の上が人気の場所です。

 これが真冬になると、みんなべったりと寝そべって、ゴミ集積所のような光景になります。それにしても密集、密接の蜜ですね。森の中のマテバシイの葉の上なので密閉は避けられていますが、互いの距離は新型コロナ禍の今、懸念されるほどの接近ぶりです。まあ、蝶にコロナは感染しない(と思う)ので、杞憂ではありますが。

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ムラサキツバメの姿が5,6匹確認できます。このあたりでも越冬集団が形成されそうな気配

 やはり懸念されるのは蝶より人間の密集ですね。週末の葛西臨海公園はいつもカップルや家族連れで大賑わいです。野外なので、コロナ感染の危険性は低いと思いますが、どうせなら公園の中でも密になるスポットではなく、ムラサキツバメの越冬観察地のような、絶対に密にならないスポットを巡るのもいいかも。しかし、お父さんがそんなことを主張したら家庭が崩壊するかもしれないし、彼氏がそんなことを提案したら、彼女に見捨てられるかもしれませんね。そうなっても昆虫記者は責任を持ちません。

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週末はいつも大賑わいの葛西臨海公園

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葛西臨海公園内を周遊できるパークトレインも大人気

 ついでに葛西臨海公園の初冬の花を紹介します。これは家庭崩壊、カップル解消にはならないネタですね。初冬の代表的な花の1つはビワです。そんなにきれいではありませんが、甘い香りは恋の気分を盛り上げるのに十分。

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ビワの花を訪れるアオスジアゲハ

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成虫越冬するテングチョウはビワの花の常連

 そして、この香りは蝶を引き付けるにも十分です。間違ってこの時期に羽化してしまったアオスジアゲハや、これから成虫越冬に入るテングチョウの姿が見られました。

幸せの青い蝶と幸せの青い鳥、真冬の対決の勝者は?

 11月下旬の葛西臨海公園。晩秋から冬にかけてのこの公園の名物と言えば、ムラサキツバメ、ムラサキシジミという2種類の幸せの青い蝶ですね。なんて思っているのは、虫好き、あるいは昆虫記者のような虫バカだでです。

 

 ムラサキツバメ、ムラサキシジミにはそれぞれにテリトリーがあるようで、2種類が一緒に羽を広げて、青い紋を見せつけている場面は滅多に見られません。本当に、本当に滅多に見られません。はっきり言って、同時に2種類の開翅を写真に収めることなど、ほぼ不可能です。なぜここまでしつこく、その難度を強調するのかと言うと、今回その写真が撮れたからです。単なる自慢です。「自慢、高慢、馬鹿のうち」「自慢の糞は犬も食わぬ」ですね。

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手前がムラサキツバメ、後ろがムラサキシジミ。青い羽を開いて一緒に一枚の写真に収まることは滅多にない。

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上がムラサキツバメの♀、下がムラサキシジミの♀。ムラサキツバメには燕尾服のように尾状突起があります。

 望遠カメラを担いで葛西臨海公園を訪れる人々の99%は鳥目当て。虫目当てなどという不届き者は、昆虫記者ぐらいです。幸せの青い鳥と言えば、一番ポピュラーなのはカワセミでしょう。珍しい鳥だと思っている人もいるでしょうが、池があったり、小川が流れていたりする公園ならば、都内でも大抵どこにでもいます。我が家の近くのさして大きくない猿江恩賜公園でも時々見かけるし、仙台堀川なんていう墨田川と荒川を結ぶ水路にもいます。そうなのです、取り立てて騒ぐほどの鳥ではないのです。そしてこの日の葛西にも、カワセミはいました。やっぱりどこにでもいる鳥なのです。

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葛西の鳥類園の観察小屋にカメラマンがわんさと集まっていました。目当てはきっとカワセミ

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カメラの先にはやっぱりカワセミ

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人気があることを知って、おごり高ぶった態度です

 それと比べて、ムラサキツバメ、ムラサキシジミはどうかと言うと、これまた、もっと、もっと、都内のどこにでもいる普通の蝶です。しかも、真冬も含めてほぼ1年中、見られます。

 なので、被写体としてそれほど人気がありません。この日、カワセミのポイントには人だかりができていたのに、青い蝶のポイントには昆虫記者以外、誰もいませんでした。

 

 しかーし、この蝶が羽を大きく広げて、青く輝く紋を見せつけるのは、圧倒的に11、12月なのです。成虫越冬する蝶なので、晩秋から初冬の暖かい日差しの日には、ぬくもりを惜しむかのように、日向ぼっこに精を出すのです。カワセミなど、1年中いつでも同じような写真が撮れるのに、なぜそんなにもてはやすのか。今、撮るべきはムラサキツバメ、ムラサキシジミだと言いたい。

 とか言いながら、やっぱり昆虫記者も人だかりに割り込んで、カワセミの写真を撮ってしまいましたとさ。めでたし、めでたし。

 

 ムラサキシジミはオスもメスも青い紋があってきれいですが、ムラサキツバメのオスは、羽を広げても、一見しただけでは喪服のように黒っぽいだけの蝶です。しかし、このオスも光の当たり方によっては、美しく輝くことがあります。なので、今回も色々な角度からムラサキツバメのオスを撮ってみたのですが、ダメでした。

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ムラサキツバメのオス。今回はダメでしたが、光の当たり方によっては、美しく輝くことも。

 何年も前に一度だけ、ムラサキツバメのオスの光り輝く瞬間が撮れたことがあるので、以下にそのリンクを貼っておきます。

 

mushikisya.hatenablog.com

 ちなみに、羽を閉じたムラサキツバメ、ムラサキシジミはオス、メスともに、かなり汚らしい感じの蝶です。この点は、カワセミに負けていると言えないこともありません。

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翅を閉じたムラサキツバメは、全く目立たない地味な姿

 さて、いかがでしたでしょうか。青い蝶ムラサキツバメとムラサキシジミvs青い鳥カワセミ。勝者は当然、青い蝶ですね…なんて言うとバードウォッチャー軍団に大砲のような望遠レンズでボコボコにされそうなので、一応引き分けということで、お茶を濁しておきたいと思います。