虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

いくぜボルネオ虫紀行㉕=究極の擬態「鳥の糞に集まる蠅」

insects of kinabalu park ⑯

 いくぜボルネオ虫紀行、キナバル公園編の最後を飾るのは擬態蛾。
 擬態昆虫数々あれど、「鳥の糞に集まる蠅」という、絶対触りたくない汚らしいシーンに擬態するというのは、究極の技と言えますね。この蛾はモンウスギヌカギバと言います。日本にもいる蛾ですが、日本のは肝心の蠅の部分の出来がいまいち。それに対して、ボルネオのモンウスギヌカギバの蠅は見事です。
 オーヘンリーの傑作短編「最後の一葉」を思い起こすのは虫記者だけでしょうか。でも「最後の蠅」では美談は成立しませんね。
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 ホテルの玄関には枯葉が一枚。これも蛾です。フトシャクの仲間ということです。
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 前から見たら、「なーんだ普通の蛾」です。
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 アケビコノハ系の蛾も、湿度の高いボルネオでは苔が生えた落ち葉のような色合い。
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 羽を広げると、アケビコノハと同様に黄色と黒の派手な下羽が現れます。敵を驚かせる技ですね。
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 最後の蛾は、青葉に擬態しているようです。調べてみると、カレハガの仲間ですが、全然枯葉には見えません。勝手ながらカレハガ科、アオバガ亜科所属としたいと思います。
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 拙著「昆虫記者のなるほど探訪」でも、アジアの虫撮りの穴場をたくさん紹介してます。海外旅行の際には、是非異国の虫に注目を。グローバル化で人間界の異国情緒は乏しくなっていますが、虫の世界はまだまだ異国情緒たっぷりです。
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