虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

オナガミズアオとオオミズアオの違い学習会・オールナイト・ミズアオ祭り

 虫撮り遊びばかりして、家庭を顧みないと、大変なバチが当たります。わが家では、先日妻が突如入院して大わらわ、しばらく虫どころではありませんでした。
 そんな罰当たりな虫遊びの最たるものが、8月23~24日のオールナイト・ライトトラップ。埼玉昆虫談話会の「秋ヶ瀬公園夜間調査会」という学術的な響きのイベントに飛び入り参加させていただきました。
 秋ヶ瀬公園は、通常は午後7時閉門なので、夜の秋ヶ瀬を体験するチャンスはめったにありません。今回は特別に許可を得た調査会なので、夜通しのライトトラップができるのです。こんな機会を逃す手はありませんね。お誘いを受けたので、家族の反対などものともせず、参加することに。

 宵の口はあまり盛況ではなかったのですが、午前0時近くなって、オオミズアオオナガミズアオがドカドカと飛来して、一気に盛り上がりました。
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    オナガとオオ、合わせて10以上のミズアオがいます。ここはハンノキが多いので、特にオナガミズアオが多いです。

 まず、オオミズアオオナガミズアオを見分けましょう。下の写真では、典型的な2匹が並んでいます。
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 左の青っぽいのがオナガミズアオ、右の黄色っぽいのがオオミズアオです。オオミズアオは夏型はかなり黄色が強いようです。そして、前羽の前縁の赤い筋。オナガは後ろが赤、前半分が白と、くっきり分かれますが、オオミズアオはほぼ赤一色です。
 オナガミズアオは前羽の先端が比較的尖っていて、オオミズアオは丸みがあります。でも、この特徴はかなり微妙です。
 比較的分かりやすいのは、下羽の眼状紋。紋は中心線で2分されていますが、丸い紋が上下比較的均等に分割されていればオオミズアオ、下側が妙に間延びしていればオナガミズアオということです。
 しかし、いずれの特徴も、はっきりしないのもいて、結局は総合的に判断するしかないということも多いようです。

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 例えばこれは、前羽の前縁がほぼ赤一色、後ろ羽の眼状紋が均等に2分、色が全体に黄色いので、オオミズアオでしょう。たぶん。

 
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 そして、こちらは、前羽前縁の筋がきれいに赤白に分離し、後ろ羽の眼状紋の下側が間延びしているので、オナガミズアオ。たぶん。

 そして、もう一つ、オナガミズアオは休み方にも特徴があります。静止してから、時間が経つにつれて、前羽がどんどん下に下がってきて、2枚の羽の前縁は「へ」の字のようになり、全体に折り紙の山折りのようになります。これに対し、オオミズアオは、標本のように平たく、ピンと張った姿勢を維持します。
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  こんな風に、ちょっとダレた感じでとまっていれば、オナガミズアオ。たぶん。

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 裏側からの光が透けて見える姿も素敵です。下羽の眼状紋から、オオミズアオ。たぶん。

 この日を境に、関東は天候不順となり一気に秋の気配となりました。まさに、真夏のフィナーレを飾るミズアオ祭りでした。