虫探しでお世話になったこともある昆虫写真家・新開孝さんの新刊「虫のしわざ 観察ガイド」が文一総合出版から出ました。
やっぱり新開さんはすごい。虫記者も、こんな図鑑が欲しくて、欲しくて。探してもないから、「よーし、それらな自分で作るぞ!」と意気込んで準備を始めたばかりだったのに、完全に先を越されてしまいました。まあ、もともと、私なんぞに作れるはずもない、すごい完成度の図鑑です。
「虫のしわざ」をバイブルとして野山に抱えて行き、春から少しずつでも、ブログで自分なりの「しわざ図鑑」を作っていきたいと思います。
毎日持ち歩いて、すでにボロボロになりかけています。
昆虫趣味が高じると、どうしても断崖絶壁に住む珍品、地の果てまで探しても見つからない希少種、すでに日本から姿を消したに違いない絶滅危惧種なんかを手に入れようと、命がけの冒険に乗り出したくなるものです。でも金も体力も底をつき始めた今日このごろ。忘れていた身近な虫の、これまで気付かなかった、あるいは、気づいていてもなぜか無視してきた魅力的な創造物に、目を向けるべき時がきたのです。
それは、つまり、虫たちの作り出す芸術作品とも言うべき「しわざ」に改めて感動できるだけの、心のゆとりをもった虫好き中高年になったということです。
チビタマムシの幼虫のマインとか、虫こぶとか、今年は誰にも見向きもされなくとも、ニッチな虫見の我が道を突き進むつもりでいた時に、「虫のしわざ」が出版されるという、この奇跡のような偶然。「一生新開さんついていきます」と言いたくなります。もちろん、向こうから、丁寧に拒否されるであろうことは明々白々ではありますが。