虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

魅惑のハムシワールド・犯行現場から消えたエノキハムシ

 エノキハムシの被害は甚大です。幼虫が春に大量発生すると、新緑が生い茂っていたエノキは見るも無残な姿に。
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 あちこちに、ご飯粒をつぶして張り付けたような幼虫の姿。
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 大きめの幼虫を指乗せしてみると、体側に恐竜のようなトゲが並んでいて、なかなか格好いい生物です。
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 幼虫は土の中で蛹になるようです。4月末ぐらいになると、エノキの大木の根元を幼虫がたくさん歩き回っているのを目にしますね。

          白い砂を敷き詰めた容器で蛹化を観察
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 早いものは5月末ぐらいから羽化。薄い黄色で柔らくて弱々しい印象の成虫です。特に半ば透明な感じの鞘翅は、羽化したての虫かと思えるほど弱々しい。いつになったら、固い立派な翅になるのかと待っていても、最後までこのままです。
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            6月末ぐらいになると恋の季節も最高潮に
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 成虫は7月半ばぐらいまで見られますが、エノキの葉を食い散らかしたまま、
その後は成虫も幼虫も全く気配がなくなります。犯行現場にはおびただしい状況証拠が残されているのに、犯人を見つけることはできません。

 しかし、この犯行現場のすぐ近くに、やつらの来年の再犯の準備が隠されているのです。ボコボコに穴の開いた葉の近くの枝を丹念に捜査してみましょう。枝の股の部分や葉柄の付け根部分に、小さな盛り上がりが幾つも見つかります。不自然ですね。
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 一つ剥がしてみました。剥がしたかたまりを裏から見ると
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 卵がどっさり隠されていました。来年春も、同じ木が見るも無残な姿になるのは確実です。