虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

昆虫記者の原点・トリバネアゲハとの再会その3

 ケーリング温泉の次に目指すはクアラ・ウー(kuala woh)温泉。いつから温泉ブログになったのかと、疑念を抱く人もいるでしょう。しかし、温泉巡りはあくまで、虫探しのため。温泉巡りの案内役はもちろん、マレーシアの国蝶アカエリトリバネアゲハ(ラジャ・ブルック・バードウィング)です。

 ケーリングから車でさらに1時間ほど。高速道路ならタパー(tapah)で降りて、キャメロンハイランド方面へ10キロほどいったところに、クアラ・ウーはあります。
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 ここは、ケーリングとは違って、間違いなく風光明媚な保養地です。水遊びの人々のはしゃぐ声が響くすぐ横には、トリバネアゲハの群れ。夢のような光景ですね。

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 しかし、人々はトリバネアゲハにはほとんど興味を示しません。虫好き日本人としては不思議で仕方がないのですが、蝶も人も互いに無関心という状況が、蝶も人ものんびりと温泉を満喫できる環境を生み出しているんですね。

 でも、もう少し静かな場所で、トリバネアゲハとの濃密な時間をすごしたいものです。

 そこで、長靴を履いて、川沿いの道なき道を、奥へ奥へと分け入って行きます。鳥のさえずりと清流のせせらぎ。深い森を通り抜けると、ぽっかりと開けた明るい空間に出ました。白砂の川岸に、木漏れ日が当たっています。
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 手前になにやら、黒っぽい集団。慎重に近づいていくと。

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 清流のほとりのアカエリトリバネアゲハの群れ。これこそが探し求めていた光景です。蝶が飛び立たないよう、蝶に気付かれないよう、じりじりと近寄っていきます。隠し撮りをする犯罪者のような気分(誓ってそんな犯罪とは無関係です)。心臓が高鳴りますね。
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 蝶と撮影者だけの濃密な時間が流れます。ずっとこのままでいたいと思いますよね。蚊さえいなければ。
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 しかし、蚊は容赦なく襲ってきます。虫記者がじっとしているのをいいことに、プオーン、プオーンと集まってきます。

 蚊を追い払おうとみじろぎした時、足が滑り、蝶たちは一斉にはるか上空へ。人生とは、いつもこういうものです。幸せは、掴みかけたその瞬間に、はかなく飛び去っていくものですね。