虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

出たー!ハリガネムシ。極悪カマキリを自殺に追い込む恐怖の寄生生物

 用水路の防護柵に悪人面したハラビロカマキリ。しかし、どこか様子がおかしいのです。何となく落ち着きがありません。もしかして、水路に飛び込んで自殺を図ろうとしているのでは。
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 「早まるんじゃないぞ」。あわてて首筋をつかんで、救出します。

 膨らんだ腹部を触ってみると、何やら固い物が中に入っている感触。やはりそうでした。恐怖の寄生虫ハリガネムシ」にマインドコントロールされているようです。

 成熟したハリガネムシは水の中でないと生きていけないので、カマキリの脳みそを操って、入水自殺させるのです。カマキリが水に飛び込んだ瞬間に、自分はカマキリのお尻の穴から水中に脱出するのです。

 何度かカマキリのお腹を刺激すると「出たー!」。危険を感じたハリガネムシがお尻の穴から顔を出しました。
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 お食事中(特に麺類)でしたら、ここから先は見ない方がいいと思います。PTSD(心的外傷後ストレス障害)になりかねません。

 子供の頃のギョウチュウ検査とか思い出しますね。あと、目黒寄生虫館に展示されていたサナダムシとか。自分のお尻から、こんなのが出てきたら、無茶苦茶気味悪いですね。
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 まだカマキリのお尻だから許せるのですが、それでもあまり、すがすがしい気分ではありません。ニュルニュルとした体の長いこと、長いこと。手のひらの上で、ヘビのようにとぐろを巻いてのたうち回ります。
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 もう一方の手で、あわててカメラのシャッターを切ります。どんな不快感に襲われようとも、どれほど恐怖におびえようとも、写真を撮るのが記者魂です。

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 完全に出きってしまいました。こんなに長くて大きい寄生虫が腹の中に入っていたなんて、信じがたいですね。さぞかし、不快なことでしょう。ダイエットのためにサナダムシをお腹の中に飼っている人がいるという話を聞いたことがありますが、よほど勇気のある人なのでしょう。

 臆病者の虫記者なんぞは、その後しばらく、手のひらの上で寄生虫がうごめく感覚が消えず、心臓の動悸が止まりませんでした。しかし、なぜか井上陽水の「傘がない」を口ずさんでしまいます。「水辺では、自殺する、カマキリが、増えている♫」。どうやら、ハリガネムシにマインドコントロールされてしまったようです。浴槽に頭を突っ込んでもがく自分の姿が脳裏に浮かびます。

 それでも、一応持ち帰って長さを図ってみるのが、科学者魂です。40センチの定規と同じくらいの長さでした。
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