マレーシアの高原リゾート、フレーザーズヒルはハタザオツノゼミのパラダイスでもありました。
しかし、パラダイスと呼ぶにはいかにもつらそうな人生、虫生に見えます。アブラムシと同様に、その生活は常にアリに蹂躙されています。
幼虫の集団を搾取するアリたちです。
背中にトゲのある意地悪そうなアリが、ツノゼミの幼虫をいじめて、お尻から甘い汁を出させています。
成虫の集団も、やはりアリどもに搾取されていました。
交尾している時も、卵を抱いている時も、常に衆人環視、衆アリ環視の状態です。これでは、夫婦生活も子育ても、落ち着いてできませんね。
ツノゼミの腹の下にあるくぼみは、卵を産み付けるためのものです。
アリたちを追い払ってきれいな写真を撮ります。これが幼虫。
これが成虫。アリがいないと、こんなにすっきり。
上の成虫集団のうち、左側のかたまりの姿勢が不自然ですね。実は中心の一匹を上下の2匹がサンドイッチ状態にしているんです。危ない三角関係ではないかと疑われます。
これは若齢の幼虫でしょう。
成虫は卵を守っているのが多い。
ちょっと脇に寄ってもらいました。びっしりと卵が産み付けられています。
卵が孵化した跡です。
そんな人はまずいないとは思いますが、フレーザーにツノゼミを見に行きたいという虫好きの鑑のような人のために、このハタザオツノゼミがいる木を紹介します。村の中心部から乗馬施設に向かう途中にたくさん生えている木で、この木があれば、ほぼもれなくアリに囲まれたハタザオツノゼミの集団がいます。
拙著「昆虫記者のなるほど探訪」http://book.jiji.com/books/publish/p/v/705でも、アジアの虫撮りの穴場をたくさん紹介してます。ネット上で見られればいいのですが、2013年以前の主要24話は、ネットから消えて本でしか見られなくなってしまいました。申し訳ないです。