虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

冬の虫風景、初詣でアサギマダラ幼虫

 1月1日は、八王子の山中にある神社に初詣。元日ぐらいは、虫のことは忘れて、静かに、そして厳かに過ごしましょう。でも、天気が良かったので、お参りついでにやっぱり虫を探します。
イメージ 1

 元日から探すのは、お守り袋の組み紐のようなアサギマダラの幼虫。こいつは新春から縁起がいいわいわい。

 この季節は小さな小さな苗木みたいなキジョランにも幼虫がいます。こんな感じに丸窓がいっぱい開いていたら、その裏側に、ほぼ確実に幼虫がいます。
イメージ 2

 大きな弦になったキジョランだと、古い丸窓(食痕)もあるので、騙されないように。新しい食痕は、表でもだいたい分かりますが、葉裏を見て、窓枠に白いペンキ(接触阻害物質)がいっぱい塗りつけてあったら確実です。古い食痕だと、ペンキが剥げてしまうのですね。
イメージ 3
 ほうら、いました。

 脱皮中のもいます。こんな寒い季節に脱皮しなくてもよさそうなものですが、脱皮しないと大きくなれないのがイモムシの宿命です。
イメージ 4

 こんな大きなのもいます。ヒメアカタテハなんかは大きな幼虫は関東では冬を越せないとか言われていますが、アサギマダラはどうなんでしょう。
イメージ 5
 それにしても、南方系の蝶のはずのマダラチョウの仲間なのに、アサギマダラはなぜこんなにも寒さに強いのか。不思議です。春先に高尾周辺で見かけるアサギマダラの成虫は、雪が積もる山中で小さい幼虫の姿で冬を越したわけですから。

 美しい組み紐模様の胴体とは、似ても似つかぬグロテスクな顔。このアンバランスがまた魅力ですね。
イメージ 6

 脱皮直後なのか、顔の白いのもいました。
イメージ 7

 丸窓を開ける前の、ミステリーサークル内の幼虫も見つけました。

 ちょっと窓が開いています。残念。
イメージ 8

 塹壕(トレンチ)を掘っただけの状態のもやっと見つけました。これがいわゆるトレンチ行動です。
イメージ 9

 こっちは少し大きな幼虫。トレンチで摂食阻害物質をせきとめている様子が分かります。トレンチからしみ出している白っぽい液体が、摂食阻害物質です。
イメージ 10
 後ろにある落とし穴みたいなのは、トレンチ内部を既に食べきった跡の丸窓です。摂食阻害物質が片栗粉のようにこびりついています。キジョランの必死の抵抗の跡ですね。