虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

ハエ男の恐怖・豪キュランダの旅

 次はいよいよスカイレールに乗ります。スカイレールの料金は往復で75豪ドル。日本円にすると、6000~6500円くらい。高いですよねー。全長7・5キロの世界最長クラスのロープウェーなので、妥当な値段とも言えるのですが、単なる移動手段だと考えると、痛い出費になります。

 ロープウェー自体をアトラクションと考え、景色を、そして虫探しを楽しまないと、元が取れません。貧乏根性丸出しですね。

 キュランダに宿泊した虫記者は、普通の日帰り観光客とは逆の動きになるので、午前中にキュランダ駅を出発します。ガラガラ状態なので、6人乗りのゴンドラリフトを一人で占拠し、右に左に、傍若無人に写真を撮りまくることができます。
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 バロン川を渡ると、広大な熱帯雨林が広がります。
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           ゴンドラからキュランダ高原列車が見えます。

 スカイレールの売り文句は、世界自然遺産、「クインズランド州北東部の湿潤熱帯地域」を眼下に眺めることができるというものです。ここは、現存する世界最古の熱帯雨林と言われ、恐竜たちが闊歩していた1億3000万年前の白亜紀に形成されたというのですが、ジュラシックパークのように、恐竜が見られるわけではありません。

 確かに見事な景色で「世界一美しい熱帯雨林体験」と言われれれば、それはそうかもしれないのですが、虫撮る人々はそんな、まやかしの文言だけで納得はしません。やはり、ゴンドラリフトからの素晴らしい眺めよりも、下界の虫が気になりますね。
 
 途中で降りたい、でも途中下車なんて無理と思うでしょうが、熱帯雨林の中に、途中駅が2つもあるのです。キュランダ側からだと、最初の駅がバロン・フォールズ、2つ目がレッドピークです。それぞれの駅には、散策路も完備されています。
バロン・フォールズ駅は、もともとは水力発電所建設のための基地で、滝を眺める見晴台が3カ所と400メートルの遊歩道があります。レッドピークのボードウォークは175メートル。途中下車して、熱帯雨林の中をのんびりと散策しても構わないのです。6000円の料金は変わらないので、暇があれば、途中下車した方がお得というわけです。まるで、虫探しのために作られたような素晴らしい設計ですね。
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 散策路の木には、この小さなカマキリがたくさんいます。コケみたいな模様で目立たないので、目を皿のようにしないと見逃します。
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 ハンミョウも地味系。
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 そして、誰一人振り向かない汚らしいハエですが…
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 ちょっと普通のハエと様子が違います。キンバエぐらいのわりと大型のハエなのですが、問題はその顔です。近づいてみると、おお!、この左右に飛び出た目玉は、シュモクバエではないか。achias australisというやつのようです。
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 バロン・フォールズ駅近くのこのイチジクの木の周囲に、数匹が集まっていました。果物が好物らしいので、こういうところにいるのでしょう。

 正面から見ると、とてもハエとは思えません。昔「ハエ男の恐怖」という映画を見た時に感じた、あのゾワゾワする気味悪さと共通するものがあります。
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 気味悪いものが苦手な人は、あえて凝視しない方がいいでしょう。