虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

ナナフシいじめで天罰・豪キュランダの旅

 世界最長級のロープウェー、スカイレールはバロンフォールズ、レッドピークという、熱帯雨林の山中の途中駅を過ぎ、やがて山裾のスミスフィールド駅へと下っていきます。
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 ゴンドラリフトから見えるスミスフィールド駅周辺は、池があり、芝生が広がり、まったりした虫撮りにはもってこいの、のどかな風景です。
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 駅を出て、周辺を歩いてみます。別に公園というわけではなく、誰一人散策などしていないのですが、ロープウェーの整備とか、隣の水上スキー練習施設の通路とかに使うのであろうと思われる道があって、虫撮り散歩にはこれで十分。

 水鳥の遊ぶ池の向うに、芝生が広がり、ロープウェーが行き来して、まるでリゾートのようですが、ベンチもトイレも水飲み場もないただの空地なんです。
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 まあ、スミスフィールドは通常ならキュランダに向かう観光客が、朝方にバタバタとロープウェーに乗り込むための始発駅ですから、駅の周りで、のんびりとくつろぐ人など、誰もいないわけです。

 下からロープウェーを見上げます。このリフトは、キャノピーグライダーといって、むき出しの鉄の囲いだけの乗り物です。これは恐そうですね。普通はゴンドラリフトより、むき出しのリフトの方が乗車料金は安いものですが、このキャノピーグライダーは、恐怖の代償として、より高い料金を取るそうです。納得できませんね。
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 そんなことをブツブツ言いながら、ロープウェー下の空地で虫を探します。まず登場したのは、真っ赤なサシガメの幼虫。
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 オレンジ色のベニボタルの仲間。
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 そしてここにも、ナナフシが。オーストラリアはナナフシ密集度が高いですね。さすがはナナフシLOVEな国です。
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 ♂なので、立派な羽があります。
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 でもやっぱりナナフシだから、大した飛翔能力はないだろうとたかをくくって、油断していたら、はるか上空の木の枝にまで飛んで行ってしまいました。
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 近くにはぶっとい♀のナナフシも。高原列車のバロンフォールズ駅にいたのは、羽と頭以外は緑色でしたが、ここのは全身が茶色で、より太い感じです。
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 恐ろし気な見た目ですが、本当は臆病でおとなしい虫です。こんなのをいじめたりしてはいけませんね。
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 でも、ちょっとだけ意地悪してみたくなります。なぜって、やっぱりあの猛然と怒って羽を震わせる威嚇が見たいからです。

 怒り狂ったナナフシは、虫記者の顔面を容赦なく踏みつけにします。でも、いかに大きく勇ましい姿でも、たかがナナフシですから、なにをされても、痛くもかゆくもありません。
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 こんなバカなことをしていると、あっという間に時間がたってしまいます。ふと気が付くと、もうすぐロープウェーの営業終了時間。あわてて、駅へ。帰りのゴンドラリフトに乗り込んでから、とんでもない失敗に気付きました。
 長年愛用してきた探検帽子を、ナナフシいじめの犯行現場に落としてきてしまったのです。モニターで写真を確認すると、確かにナナフシ♀を見つけた際には被っていた帽子が、犯行の最中に落ちてしまっています。

 やはり悪事はいけません。誰もいない空地での犯行でしがた、どこかで神様は見ていて天罰を下すのです。眼下の森の中から、ナナフシの勝ち誇った高笑いが聞こえてくるようです。
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 ワッハッハッハ。バカな虫記者め。思い知ったか。