虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

ツマキチョウ♂の三角ストーカー行為

 春が来た春が来た。文京区小石川に春が来ました。
 もう桜も散ったのに、今さら何が春だって、それはもちろんスプリング・エフェメラル、春の短い命のツマキチョウの恋の季節です。

 こちらは♂です。羽の先が黄色い、つまり、ツマ黄の蝶が♂ですね。
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 珍しく、♂同士が仲良く蜜を吸っています。たいていは、顔を合わせればけんかばかりです。
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 メスはご存知の通り、飛んでいる時、羽を広げている時はモンシロと見間違えるような、お地味な蝶です。あまり春っぽくはありません。羽を閉じると、白に緑の迷彩柄で、雑草や灌木の若葉に紛れてしまって、ドロンと姿を消します。

 完全に草と同化している♀です。
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 ところがどっこい、♂はこのメスのにおいを嗅ぎつけて、どこからともなく現れて、ちょっかいを出してきます。

 嫌われても、嫌われても、何度も何度も、しつこく言い寄ってきます。やめときゃいいのに、まるでストーカー行為ですね。
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 ♀がお尻を突き上げていますね。これは、男を誘惑しているのではありません。嫌い、嫌い、やめて、やめて、もういい加減にして、どこかへ消え失せてというサインです。
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 ストーカー男も、一人ならともかく、二人もとなると、これはややこしい。三角関係のストーカー行為ですから、もうこれは、警察権力が介入した方がいい状況です。
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 なんと、今度は上下から挟み撃ち攻撃です。それでも動じることなく、食事を続ける♀の堂々たる態度。女の強さを感じさせますね。
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 なんで♀嫌がっているか、言い寄る男たちを相手にしないかと言うと、たぶんそれは、すでに意中の♂との交尾を終えて、産卵態勢に入っているからでしょう。

 あちこちで産卵中の♀の姿が見られます。もう男なんか、用済みで、どうでもいいんですね。春だけの短い命。来春の子孫繁栄に向けて、子宝を残すことに忙しいというわけです。
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 産み付けられたばかりの卵をチェックしてみました。
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 ツマキチョウの卵は、こうして、蕾の下の茎に産み付けられるのがほとんどです。幼虫は、菜の花などの蕾や小さな実を食べて成長するんですね。これもモンシロと違うところです。モンシロは葉に卵を産んで、幼虫は葉っぱ食べますが、ツマキチョウの幼虫は、栄養豊富な実が主食。翌春までほぼ1年間も、蛹の姿で耐え忍ぶには、高い栄養価が欠かせないのかもしれません。