虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

空飛ぶパンジー、タテハモドキ=タイ・カオヤイの旅

 タイ・カオヤイの旅。今回はタテハモドキの仲間です。なんでモドキなんだと反発されそうです。人間なのに、人間モドキなんて呼ばれたら、嫌なのと同じです。マグマ大使を知らない世代に、人間モドキなんて言っても、きっと「何じゃそりゃ」って感じですね。
 タテハモドキは、れっきとしたタテハチョウ科タテハチョウ亜科の蝶で、何とかタテハとよばれる連中との違いをあえて探せば、ジャノメチョウ風の目玉模様があって、サイズがちょっと小さめというくらい。

 その中で、かなりお気に入りなのがアオタテハモドキ。カオヤイの草原でいちばん多い蝶でしょう。英語名はブルー・パンジー。タテハモドキの仲間は何とかパンジーと呼ばれるものが多いようです。アオタテハモドキは、ちょうどバンジーぐらいの大きさで、まさに青いパンジーの花が、風に吹き飛ばされて、蝶に変身したかのような印象です。
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   アオタテハモドキの♂

 羽の青い部分が多いのは♂です。♀は青い部分が全くないのもいて、その場合はかなり地味です。だからこれまでは、♂はきれい、♀は汚いという偏見を抱いていたのですが、今回その偏見が見事に打ち砕かれました。

 ♀のアオタテハモドキの中にも青色を持つものがいて、それが♂よりずっと美しいのです。目玉模様もオスよりずっとはっきりしていて、青、赤、オレンジ、茶色といった配色が実に見事なのです。
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   アオタテハモドキの青色入りの♀

 カオヤイのアオタテハモドキの♀は、圧倒的にこのタイプが多く、青色の入っていない♀を探すのが難しいほどです。

 やっと見つけた地味なタイプの♀です。
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 でも、♂は♂で、やっぱり美しい。アオタテハモドキが地面に10匹ほど群れているところがあったのですが、そこにいたのはすべて♂。蝶の世界では、群れたがるのはなぜか♂が多い。こういう集団の美となると、やっぱり青い部分が大きいことが物を言います。
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 ブルー・パンジーがあれば、イエロー・パンジーもあります。ルリボシタテハモドキです。黄色中心の蝶で、こちらの方が、パンジーの花に似ているかもしれません。ルリ色の紋は、下羽の上部に控えめにちょこんと入っているだけという奥ゆかしいパンジーです。
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 羽を閉じると、その存在すら消えてしまうほど地味です。この傾向は、タテハモドキ系全般に共通しています。
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 そして、表も裏も地味で、とてもお花畑とは言えない、本当にパンジーの仲間なのか疑いたくなるのもいます。分類学の知識が全くない虫記者は、こんなのはタテハモドキじゃなくて、タテハかジャノメにしちゃえばいいのにと思ったりします。

 その名もジャノメタテハモドキ。ジャノメでいいのに。
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 もっと地味なのがクロタテハモドキ。タテハでいいのに。
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