虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

スソビキアゲハの得意技は、おしっこ飛ばし=タイ・カオヤイの旅

 タイ・カオヤイ国立公園の蝶の中で、一番見過ごしがちなのはスソビキアゲハでしょう。アゲハの仲間では世界最小。なのに、体長比での尾(尾状突起)の長さはすさまじく、まさにドラゴン級。なので英語では、ドラゴン・テールと呼ばれているようです。

 しかし、ドラゴンと呼ぶには、あまりにもキュート。細い草の葉の上にとまった、この愛らしい姿をご覧ください。絶対に指乗せしたい蝶ですね。
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 ですが、スソビキアゲハをこうして、草の上で見かける機会はあまりありません。よく見るのは水辺で吸水している姿。
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 実は、先日掲載したアオスジアゲハ、ミカドアゲハ、オナガタイマイらの井戸端会議の場にも、スソビキアゲハは同席していたのですが、恐らく気付いた人はいなかったでしょう。

 ほれ、ここにいます。ヨットの帆のようなアオスジ、ミカドの羽の後方に。
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 ことほど左様に、吸水中のスソビキアゲハは、大きくて派手な蝶の陰に隠れて目立ちません。

 そして、人が水辺に近づくと、蝶は一斉に舞い上がり、天上世界の光景になりますが、そんな時、スソビキアゲハは上空には向かわず、地面すれすれを、まるで蜂のように飛び回ります。

 透明な三角窓のある羽を小刻みに震わせ、敏捷に飛ぶ姿は、とても蝶には見えません。飛び方は、ヒラヒラとは程遠く、ブンブンブンです。知らない人は、蜂が飛んできたと思って、逃げ惑ったりしてしまいます。

 そんな異色のアゲハ蝶スソビキアゲハには、人前では、特に女性の前ではちょっと口にしにくい異色の得意技があります。それは、おしっこ飛ばし。非常に勢いよく、遠くまで飛ばします。男の子なら、誰しも経験があることでしょう。男子の特権ですね。
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 水辺に集まるアゲハの仲間は♂ばかりと言われているので、スソビキアゲハのおしっこ飛ばしも、♂だけの密かな楽しみということになります。