虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

東京都心、春の公園虫散歩(絶滅したはずのヤナギハムシ発見)

 ぶらぶらと、惰性のように「東京都心、春の公園虫散歩」を続けていたら、某区の某公園で、思いがけない虫に出会いました。それは憧れのヤナギハムシ。
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 ヤナギハムシは、東京都のレッドデータブックでは、「区部ではすでに絶滅したと考えられる」とされている虫です。なので、東京都民で、都会のおぼっちゃま育ちの虫記者にとっては、ヤナギハムシは憧れの存在だったのです。一見して「うわー、すごい」というような派手な虫ではありませんが、その繊細な模様は、虫好きの心を躍らせるものなのです。

 23区内には、いないはずの幻の虫、ヤナギハムシですが、全然絶滅なんかしてなくて、繁栄を謳歌していたのです。
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 実を言うと、恥ずかしながら、これまでは、都内はもちろん、どこでもヤナギハムシに出会ったことがなかったのです。それが何気ない日々の公園虫散歩で出会ってしまったのです。それも大量に。東京都心在住の虫好きなら鼻血が出ますよね。
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 これは大変なニュース。と思って調べてみると、何と昨年(2017年)5月30日に足立区が、桑袋ビオトープという公園でヤナギハムシを発見したと発表していて、産経新聞のニュースになっているではありませんか。「やられた」という感じです。

 今回見つけた公園は、別の区にある別の公園なのですが、「もし1年早く見つけていれば虫撮り仲間のヒーロになれたのに」と思うと、非常に悔しいですね。しかし、1年前にニュースになるくらいですから、やはり貴重な発見ではあります。

 桑袋ビオトープは比較的小さな公園なので、ちょっとしたことで、ヤナギハムシが姿を消し、再び区部絶滅となる可能性も否定できません。しかし、今回の某公園は都内有数規模の巨大な公園です。ということは、全体的にはすさまじい数のヤナギハムシが生息しているはずです。つまり、区部絶滅などという事態は、未来永劫(大げさすぎです)あり得ないということになるのです。これは東京23区住民(のごくごく一部の昆虫愛好者)としては、筆舌に尽くしがたい喜びであります。

 でもヤナギハムシは夏には休眠してしまうらしいので、しばらくすると、その姿を見られなくなってしまいます。来春には、虫仲間のみなさん、ツアーでも組んで探しにいきましょう。

 これが成虫3匹目です。
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 4匹目の成虫は羽化不全で、羽が閉じられなくなっていました。寸詰まりで、羽の模様もかなりゆがんでいます。
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 数は少ないですが、まだ幼虫もいました。
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 そして特徴的なのは、何となくエイリアン的な姿でぶら下がっている蛹ですね。クルミハムシの蛹と形状が似ています。
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 蛹の抜け殻は、20~30ぐらいありました。相当な数が生息しているということです。実は順番が逆になりますが、最初に見つけたのは、蛹の抜け殻のごく一部。こんなのでした。
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 もしかして、これはヤナギハムシの蛹の残骸では?。この発見からすべてが始まりました。いると信じて探すと、見つかる。これは虫探しの基本法則の一つですね。
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 周辺のヤナギを見回ると、蛹の抜け殻がたくさんぶら下がっていたのです。そして、これが成虫、幼虫の発見という劇的展開につながっていくのです。まさにドラマ。ドラマチックとは、こういうことを言うのです。