知る人ぞ知る昆虫文学少女の新井麻由子ちゃんから、待望のボルネオ虫旅レポ第2弾が届きました。今回の主戦場はサラワク州のボルネオハイランド。いつも何かやらかしてくれる麻由子ちゃんと、麻由子ママ。今回もワクワク、ドキドキですね。皆様も、待ち遠しかったことでしょう。早く読みたいことでしょう。「邪魔な昆虫記者は早く引っ込め」という声が聞こえてきました。前置きも、結婚式のスピーチも、短いのがいいですね。
2018 3/29~ Borneo Highlands!
昆虫記者さんの読者の皆さま、再び失礼いたします。新井麻由子です。どうぞよろしくお願いします。
出発の一週間前、昆虫記者さんのタマン・ネガラからの無事お帰りのお知らせを受け、緊急ミーティングです笑。
色々やらかしていらしたお話を聞かせていただき(jiji.com
参照)、「この人は絶対に期待を裏切らない」と、尊敬を新たにせざるを得ない私たち親子。
それでいて「どうせまた何かやらかすんだから、しっかり写真撮ってくるようにね!」と昆虫記者さん手作りの愛用ライトトラップを持たせていただき、送り出されたのでした。
前回のサラワクでの美味しいものが忘れられず…
すっかりサラワクにはまってしまった私は、クチンから行けるところを探しに探し、ボルネオハイランドが有力候補に上がっていたのですが、情報が一切なく…
ギリギリまで悩んだ末、やっと最終決定に至りました。
今回は虫情報ほぼ皆無のここへナナフシがいそうな予感?だけを頼りに一か八かの勝負です!
前日の夜遅くにクチン入りしてすぐに前回通ったレストランへ直行、本日n回目の食事です♪
前回帰国してから何度も夢に見たサラワク料理です!心の底から「うまい♡」!
もう22時を過ぎているというのに、しかも機内で二度も夕食を済ませていたというのに、すべて飲み物のようにするするとお腹の中に吸い込まれてしまいました。
母も明日起こることなどは当然知る由もなく、機嫌よくサラワク料理を楽しみ、最高の気分でのスタートとなった今回の虫旅なのでした。
翌日は早起きして早速出かけます。クチンはマレー語で猫を意味します。町のいたるところに猫の像やおしゃれな首輪で着飾ったリアル猫ちゃんたちが溶け込んでいます。
みんな毛並みが良くとても人に慣れています。クチンの人々も猫ちゃんをとても大切にしています。
クチンちゃんおはよう!
かわいい♡
クチンちゃんはもうすぐお母さんになるみたいです。がんばってね。
こちらは猫の家族の像。
マンホールの蓋も猫!
クチンでは猫ちゃんはとても可愛がられるのですが、犬が割と厳しく飼われているようです。
大型犬を怒鳴りつけて頭をパチンと叩いた直後にまさしく猫なで声で猫ちゃんに話しかけている光景を何度か(も)見ました。> <
実は、こんなに早起きしたのには訳があります。どうしても食べてみたくて、わざわざそこに一番近いホテルを予約したというLAKSAのお店で朝食をいただくことが本日最初のミッションだったのです。
ローカルの人々に人気で、8時までには売り切れてしまうというので、開店時間の6時には支度を済ませ意気揚々とお店へと向かったのでした。
今回最大の楽しみと言っても過言ではありません。次々にやって来る車が目印になり、お店はすぐに見つかりました。
待ちに待ったLAKSAです♪すでに人がいっぱい!いい感じです!
しかーし!母は全く気がついていませんが、もはや私の目はその地味な貼紙に釘付けです。それは母にはものすごく言い難いことでした。
そうです!今の私たちにとって最もありえないことが書かれた貼紙です。
3/30~4/3 までお休み…
今日は紛れもなく3月30日。
ここからは皆さま私たち親子の落胆をお察しください。しばらくその誰もいないワゴンの前で貼紙を見つめる母。その背中には明らかに「絶望中」というテロップが見えるようでした。
何のためにクチンに来たのか…。そして二人して全ての思考がストップしてしまい、隣のワゴンで予定とは違う朝食をいただいてしまいます。
その間も、母は「なんで?」「聞いてない」などなど、ブツブツ言い続け、挙げ句の果てには「こんな悲劇があって良いの?」「お願い」とまだ見ぬLAKSAの店主へ訴え続け、その悲しみは半端ない。
これはこれでおいしかったのですが。そしてほぼ完食しかけたその時!私は大事な情報を思い出したのです!
「ある!この近くにもう一軒あったよ!LAKSAの名店!」
こうして朝からご飯のハシゴをすることになったのでした。
この豊かなエビとココナッツミルクのハーモニー!そうそう、これが本場のSARAWAK LAKSA!こちらはやや辛めですが美味しいー涙!噛みしめました!
レンタカー会社の方と約束しているので、急いでホテルに戻ります。
今回は前回の反省とともに、かの昆虫写真家の巨匠・海野さんに SUV車を借りるように言われていた母は、一旦海野さんに選んでいただいた車をそのまま予約していたのですが、直前になってそれではホテルに届けてもらえないことがわかり、急いで別の会社を探します。
けれども出発までもう日にちがなく、空いているSUV車はトラックのようなすごみありのものばかり…
その大きな車を運転できる気がしなかった母は、何れにしてもゲートに車を置いて上までは送迎をお願いするからと、またもやマレーシア国産のコンパクトカーにお世話になることになったのでした。
まだ朝食を食べたばかりでしたが、山に入るとベジタリアンフードばかりなので、クチンの町を出る前にランチです。
ココナッツチーズタルト
超美味 ^ ^
さあ出発です!走り始めて小一時間で町を抜け、次第に山道に…
途中、これで最後かもという感じのミニスーパーでお水などを調達。約2時間でボルネオハイランドのゲートに到着です。
「無事に着いたね〜」母が運転を終えホッとしています。
ただ、この日はどこまでも悲運な母なのでした笑。
早朝のLAKSAの悲劇がまだ癒えず、やっとたどり着いたと思ったその時に、ゲートのおじさんに笑顔で当然のように「自力で上まで行けるよ」と言われてしまったのです。
これはとてつもなく大きな誤算でした。そこでよく話を聞いてみると、途中オフロードかと思っていた道は綺麗に舗装されていて、ゆっくり行けば大丈夫、「No problem!」らしいのです。
「この小さい車でも?」
「Sure!」
「・・・・・」
「うそ」(母)
「大丈夫?」(私)
「泣きたい」(母)
「先泣く?笑」(私)
そしておじさんはさらに肝が凍りつくような情報をくれたのでした。
「早く行ったほうがいいよ、雨が降ったら霧が出る」
「!!!!!!!!!」(母・私)
こんなにいい天気なのに?しかもさっきゆっくり登れと言ったよね?
「急ごう」(母)
うとうとしていましたが完全に覚醒です!
マレーシアの霧の怖さは、2015年のキナバルへの山道で痛感している・・・
こうして今日の運勢間違いなく最下位の母は山上へ向かう道へと、やっと運転に慣れたマレーシア産コンパクトカー発進させたのでした。
すぐにクネクネの山道が始まりました。
時折樹々の隙間から開ける視界は、その度に明らかに上昇しています。
せっかく登ったのにまた下って…を繰り返しながら登って行きます。
「人生は〜紙ひこうき〜」なぜか懐かしい AKBを口ずさむ私でした。スリル感満載です。
車もコンパクトカーなのにがんばって急勾配を登ってくれています。
「行けちゃうもんだねぇ」と調子に乗り始めた時です。
ポツ・・・ポツ・・・
雨?と思うと同時にたちまち霧が立ち込めて来た!
自然は怖いです。大きいです。
しかもまだ対向車に一度も出会っていない。後続の車もいない。つまりは人の気配がしないのです!
まるで雲の中を走っているかのような濃霧があっという間にあたり一面を覆い、前方の視界が遮られてしまいます。
霧の中に森の精霊なども混ざっていそうな異次元感!
山の天気は変わりやすいと言いますが、こんなにいきなり変わるものなのかと驚きました。さっきまで快晴だったのに…
ファンタジーの設定によくあるように、こういう時に別の世界へ続くトンネルが現れるのかもしれない…
珍しく母の口数が減ります。
最後までノロノロ運転で進み、ゲートから10km少し
の山上まで45分。
やっとたどり着いたのです。
そして45分振りに会えたヒト!
山上のゲートにおじさんの満面の笑みを見た時のあの安堵感!
おじさんは前歯が一本なかったけれど私たちに心から歓迎の気持ちを表現してくれていたように思えました。
山上では霧もなくクチンの町よりずっと気温が低くとても気持ちの良い気候です。
この山全体がゴルフ場を中心としたリゾートになっています。
さあ、この山でナナフシに出会うことはできるのでしょうか!
でも今日から泊まるホテルは一体どこ?まだ到着ではありませんでした。このゲートからさらに10分ほど上って今度こそやっと到着です。
今日からお世話になるホテルです。
またまた余計者の昆虫記者の介入です。長くなってきたので、ここで第一部終了。猫尽くし、美食尽くしの第一部は、怒涛のごとき昆虫襲来前の静けさなのでしょうか。余韻を残して次回に続きます。