一向に進まない昆虫ゴミ屋敷の写真整理。小さい虫が、せっせと整理整頓していく姿は、胸に突き刺さるものがありますね。
今回はチョッキリさんです。ゴミ屋敷のようになったメモリーの中を、チョッキリさんのように、次々とチョッキリしていければいいなと思います。
まずは5月初めに高尾で見たカエデをチョッキリするチョッキリさん。カエデにいるのは、イタヤハマキチョッキリかファウストハマキチョッキリですが、小さいし口が短いので、ファウストと思われます。
こやつらは、カエデの葉を1枚巻くなどという、みみっちいことはしません。時には何十枚もの葉をひとまとめにして巻いて、子供たちの餌にします。
多分元気な葉は巻きにくいのでしょう。まずは枝をチョッキリします。枝が切り口から折れ曲がると、若干しおれた葉がひとかたまりになりますよね。そのタイミングで、一気に葉を巻きあげるようです。
きっと口先に鋭い歯があるのでしょう。枝をギコギコする手際は見事ですね。
巻き上がった葉は、こんな風になります。
イタヤハマキチョッキリの場合は、葉巻がこの何倍もの大きさになることもあります。園芸家にとっては大敵ですね。なので、都会のカエデでは、こやつの姿は滅多に見られません。人間に嫌われた虫は、生きていくのが大変です。
次はドロハマキチョッキリ。これまた5月の高尾です。結構太い枝をギコギコやっています。人間に置き換えたら、二抱えもある大木を、歯で削って切り倒すようなものです。とんでもない荒業と言えます。
ドロという名前は汚い感じですが、青や緑の金属光沢が美しいチョッキリです。ドロの名は、ドロノキという木の葉を巻くかららしいのですが、ドロノキは少ないので、イタドリで探すのが見つけやすくていいですね。
ドロハマキチョッキリの葉巻も、とてもこんな小さな虫が作ったとは思えないほど巨大なので、イタドリが多い峠道などを歩くと、すぐに目に入ります。葉巻を見つけて、それから周辺に作者がいないか探すと、季節が合えばかなりの確率できれいなドロハマキチョッキリが見つかります。
などと説明しても、葉巻やチョッキリに目を向けてくれる人は、ほとんどいません。悲しい。でも、せっかく野山にいったなら、きれいな景色、きれいな草木だけでなくて、虫の仕業の造形にも目を向けてみてはどうでしょう。えっ、そんな汚らしいもの見たくないですか。そうですよね。造形などと言っても、しょせんは虫食いですから。悲しい。
最後に気付いたのですが、虫写真のゴミ屋敷整理にチョッキリ風のやり方は適しません。チョッキリがチョキチョキした枝は、すっぱり切り落とされるわけではなく、皮一枚でつながってぶら下がっているのです。これでは、ゴミ屋敷の状況を悪化させるだけですね。