ゴミ屋敷と言えば、悪臭が問題ですが、昆虫写真のゴミ屋敷でも、悪臭を放つカメムシの写真が溜まっていきます。
嫌ですねー、ゴミ屋敷の悪臭。嫌ですねー、カメムシ。
でも昆虫記者は、結構カメムシが好きです。ほかの虫は、目立つ姿を見せるのは一年の一時期だけというのが多いのですが、カメムシは真冬を含めて一年中、昆虫趣味の人間に付き合ってくれるからです。
しかし、基本的に人気のないカメムシですから、ささっとゴミ箱の代わりにブログに片付けようと思います。
5月の高尾で気になったカメムシ。最初はアカスジオオカスミカメです。普通の人々にとっては、「ちょっときれいだけど、どうでもいいカメムシ」ですが、虫好きにとっては、これが「カスミカメ」の仲間だということが、「びっくり仰天」の驚きなのです。カスミカメと言えば、ほんとうに霧(きり)か霞(かすみ)のような、吹けば飛ぶようなゴミのようなのが多いのですが、このアカスジオオカスミカメは、体長12ミリほどと巨大なのです。
「たった12ミリで巨大って、馬鹿じゃないの」とか言われそうですが、カスミカメとしては世界最大級なのです。
角ばった独特の模様も、ロボットフィギュアを思わせるカッコよさ。初めて見たのは上高地でした。それが高尾で再会できるとは。予想外の嬉しい出会いでした。
次はイチモンジカメム。胸部と小楯板(背中の三角形部分)の境に、横一文字があるのが特徴です。シンプルな特徴なのですが、この一文字部分が鮮やかな赤というのは初見です。これまでは、白っぽい一文字ばかりだったので、ちょっと嬉しい。人生にはこうした、小さな喜びが大切です。
冷たい風が吹く家庭内や窓際の職場には、あまり喜びが転がっていないという、昆虫記者のような人々にとっては、特に大切です。そして、虫探しの中には、たくさんこういう小さな喜びが転がっているのです。
最後はアカサシガメ。何やら黒い虫を口で突き刺しています。サシガメの仲間は悪臭が気になるものは少ないのですが、問題はこの口。大型のサシガメに口を突き刺されると激痛(経験済み)が走りますから、要注意。
悪臭にせよ、激痛にせよ、あまり歓迎されない理由たっぷりのカメムシですが、その窓際的存在は、加齢臭から「カメムシの生まれ変わり」などと自宅でも疎まれる昆虫記者の心を癒してくれます。