先日うん〇マークのようにとぐろを巻いたハバチの幼虫を紹介しまいたが、今回はうん〇つながりで、卵から幼虫、成虫と一生うん〇にこだわって生きるハムシを紹介したいと思います。
センチコガネのような糞虫は、一生他人の糞の世話になって生きていくのですが、ツツジコブハムシ(通称ツツジムシクソハムシ)は、自分の糞と、糞擬態に頼って生きていくという、独立独歩の一本筋の通った虫です。
成虫の糞擬態と、幼虫の移動式糞ハウスは、何度も目にしていたのですが、今回初めて、卵の糞コーティングを目撃したので、これは紹介しないといけないと思い立ったわけです。
そんなもの、誰も見たくないですよね。そして、普通の人間生活をしていれば、決して見るはずのないものです。でも見てしまったからには、いかに反発があろうとも、昆虫記者として紹介しないわけにはいきません。
先日のことです。いつものように、ツツジの葉先にイモムシの糞に擬態したムシクソこと、ツツジコブハムシを見つけました。全然珍しくないです。銀座のツツジやサツキの植え込みにもたくさんいます。
しかし、どこか様子が変。接近して、カメラのレンズを通して見てみると、後ろ足に小さな緑色のくす玉のようなものを抱えています。くす玉の上部はツツジの葉に固定されているようです。
「オオ、あれこそは、世に名高いムシクソハムシの糞コーティング卵ではないか」。感動の一瞬です。大げさですね、誰もこんなものに感動しません。
このくす玉は、成虫の糞でできています。緑色なのはたぶん葉の葉緑素が残っているからで、糞が新鮮な証拠です。母親は卵を産み付けたあと、大切な我が子を愛おしむように、こうして丁寧に新鮮な糞でコーティングするのです。愛の深さを感じますね。大げさです。だれも愛など感じません。
卵が孵化すると、このコーティングが幼虫の最初の移動式ハウスになるらしいです。幼虫は葉を食べて糞を出し、自分の糞で、移動式ハウスをだんだん大きくしていくのです。すごいですね。ヘンゼルとグレーテルのお菓子のお家も魅力的ですが、自分の糞で作った持ち運び可能なお家というのも素敵です。
これが大きくなった幼虫の家です。幼虫は、このとんがり帽子のような家の中でヤドカリのように暮らします。
ついでと言ってはなんですが、近くにクビボソハムシの仲間の幼虫がいました。彼らはムシクソハムシのような芸術家ではないので、単に背中に自分の糞を背負っているだけです。敵から身を守る手段なのでしょうが、虫探しの最中にやつらがいる草むらに踏み込むと、ズボンがネトネトの糞で汚れるので困りものです。
これはトホシクビボソハムシの幼虫。杏仁豆腐に付きもののクコの実で有名な雑草、クコにたくさんいますね。
こちらは、たぶんキイロクビナガハムシの幼虫。ヤマイモ系の葉を食べます。
トホシクビボソハムシもキイロクビナガハムシも、成虫になると気取った虫になって、うん〇まみれだった幼虫時代の過去を捨て去ってしまいます。