虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

ハイパーインフレをタマムシの金運で乗り切る

 梅雨が明けたら突然の猛暑。1日中、外で虫撮りなんかしていたら、虚弱体質の昆虫記者は間違いなく熱中症で倒れるでしょう。「夏こそ昆虫の季節なのに、弱音を吐いてどうする」と昆虫の神様の厳しい声が聞こえてきますが、死んでしまっては元も子もないので、午前中だけ近場に出かけることに。

 今回の目的地は新宿御苑です。びっくりしたのは入園料の高さ。何と500円もするのです。前に来た時はたしか200円だった気がします。ついに日本もデフレを脱却して、ハイパーインフレの時代に入ったようです。

 これなら、年間パスポート(2000円)を買った方がお得。年に4回来れば元が取れるのです。あるいは、シニア料金が適用される65歳になるまでは、来ないようにするか。

 とてつもない値上げのせいか、猛暑のせいか、土曜日なのに園内の人影はまばら。外国人がちらほらいるだけで、日本人はほとんどいません。

 500円の衝撃は貧乏人には非常に大きいものです。何一ついい虫が取れなければ、大損した気分になります。かと言って、元を取るために1日中園内の歩き回っていたら、絶対に熱中症で倒れます。

 早めにいい虫が出てきてくれることを祈るだけです。

 すると、昆虫記者の声が天に届いたのか、倒木の上に、キラキラと輝く虫の姿が。おお、あれこそは、金運をもたらすという伝説の虫。と言うほど大したことはありません。結構都内にも普通にいるヤマトタマムシです。

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東京都心にも多いタマムシ

 玉虫厨子とか、玉虫色とか、持ち上げられている虫なので、かなり珍しいのでは、と思っている人もいるようですが、都心でもある程度の規模がある公園なら、たいていタマムシが生息しています。

 明治神宮新宿御苑、代々木公園にはかなりの数がいます。昆虫文学少女の新井麻由子ちゃんによれば、靖国神社にも毎年たくさん出現するそうです。

 エノキが好物ですが、都内にやたら多い木のケヤキやサクラにもいるので、幼虫が食い込めるような古木がある公園や神社なら、ほぼ確実にタマムシが生息しています。

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最高気温35度。猛暑の日の虫撮りは午前中だけにしないと命取りに

 タマムシをあまり見かけないという人は、恐らく暑さに弱い人です。タマムシが好物のエノキの周りをブンブン飛び回るのは、真夏のカンカン照りの日が多いので、暑さをものともしない、勇敢なる虫好きだけが、毎年のように出会えるのです。最近昆虫記者がタマムシと出会う機会が少ないのは、昼間は冷房がないと生きていけない体になっているからです。

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太い倒木の近くで待っていると、タマムシが産卵にやってくる

 美しいタマムシに迫る魔の手。

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 と言ってもポーズだけです。新宿御苑は生き物の採集が禁止なので、金運にめがくらんでも、タマムシをつかまえてはいけません。

 

 危険を察知したタマムシは、ブブーンと飛んでいってしまいました。タマムシは重々しい見た目にもかかわらず、非常に良く飛びます。近づくとすぐに飛んで逃げるので、遠くから望遠で写真を撮っておいてから、徐々に近づくことをお勧めします。

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ボケボケで何だか分かりませんが、タマムシが飛び去る姿です

 今回はタマムシの写真が撮れたので、500円の入園料の衝撃も幾分緩和されました。その後、ノコギリクワガタやカブトムシもたくさん見つけたので、なんとか元が取れたかもしれません。カブト、クワガタは次回に紹介します。

 たぶん、今年はもう2度と新宿御苑には来ないと思うので、もったいぶって、ネタを小出しにすることに。だって、もう1回来たら、合わせて入園料1000円ですよ。皇居東御苑とか、明治神宮とか、代々木公園とか、葛西臨海公園とか、どこも無料なのに、この値段はきつい。