〇東京都心でカブト対クワガタの決闘に遭遇
大都会東京の真ん中にある新宿御苑でカブトムシ対ノコギリクワガタの決闘に遭遇してしまいました。
まずはカブトムシに遭遇。と言ってもメスばかりです。メスを4匹見つけたところで、オスはどこへ消えたのか探してみると、足もとににカラスに襲撃されたと思われる死骸が転がっていました。総じてオスの方が寿命が短いのは、昆虫全般、あるいは生物全般に言えることなので、すでにオスの最盛期は終わったのかもしれません。
その上、ここ新宿御苑は大型のノコギリクワガタが非常に多いので、カブトのオスは日々ノコギリとの闘いに明け暮れて、早死にするのかもしれません。男たちの世界は厳しいのです。男たちの生きざまは悲しいのです。そしてメスたちは、オスの死を悲しむこともなく、せっせと産卵にいそしむのです。
餌場争いの闘いが激しいクヌギ林では、生き残ったカブトムシのオスは少ないに違いないと判断した昆虫記者は、シラカシの林に向かいます。樹液のおいしさからすると、クヌギは高級クラブ、シラカシは場末、ガード下の酒場といったところでしょうか。
それにシラカシの樹液は根元から出ることが多いので、天敵のカラスに見つかる可能性が小さいと思われます。場末の酒場でちびちびやっているカブトの方が、結果的に長生きするというのは、貧乏人の昆虫記者にとっては、嬉しい逸話です。
そして、ついに、安酒場で飲んだくれているオスのカブトムシを発見しました。つきあってくれるメスもいない悲しい酒ですね。
何となく親近感を感じて、すぐそばに寄り添って写真を撮っていたら「男は一人で酒を飲みたいときもあるのさ」という感じで、さびしいカブトは席を立ってしまいました。
しかし、移動した先が悪かった。カシの木の裏側にも小さな酒場があって、カブトはそこへ移動しようとしたのですが、何と先客がいたのです。
それも女連れ。顔を泥だらけにした荒くれ者風の大型のノコギリクワガタのオスが、傍らにメスをはべらせていい気持ちになっていたのでした。
ノコギリクワガタのオスが牙を振り上げると、カブトのオスはすぐに戦意を失って、退散です。ノコギリのオスには守るべき相手がいる。それに対し、カブトのオスは、いい格好を見せる相手がいないのです。勝負の行方は火を見るより明らかなのでした。
ちょっと格好悪いカブクワ対決を見た後は、熱帯温室を覗きます。なにせ500円の入園料を払っているのですから、一番値が張りそうな施設である温室に行かないと、大損をした気分になります。温室もガラガラで、昆虫記者以外は1、2組しか入場者はいませんでした。やはり500円は一般庶民にとっては相当な痛手なのでしょう。
その後、新宿三丁目駅近くのQQタピオカで豆腐スイーツとでも言うべき豆花(トウファー)を買って帰りました。
なぜ今豆花なのか。それは、次の海外虫旅行の目的地が台湾だからです。日本と本場台湾の味を比べてみたいと思ったのです。食の大国の台湾で虫探しだけと言うのはもったいないですからね。それに台湾は温泉王国でもあります。虫旅に食と温泉も加えた欲張りな旅をもくろんでいるのです。