虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

えー、今頃ゼフィルス?。雨の季節の蝶と蛾とデンデン虫

〇えー、今頃ゼフィルス?。雨の季節の蝶と蛾とデンデン虫

 「雨の季節ですね」。と言っても、台風でも秋雨前線でもなくて、昆虫記者の在庫整理は未だに梅雨です。まったく、うっとうしいですね。

 

 ゼフィルスというのは西風の神様ですが、昆虫界では年に1回だけ初夏に登場する樹上性のきれいなシジミチョウの仲間のことで、「ゼフ」なんていう昆虫業界用語を使うと、かっこいいですね。

 

 東京周辺の平地性のゼフは、6月上旬から発生し、中旬が最盛期の感じでしょうか。

 ミドリシジミは5月分で紹介しましたね。6月1日の高尾で最初に出会ったゼフは、ウラゴマダラシジミでした。

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ウラゴマダラシジミです。植樹はイボタ系。

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ウラゴマダラシジミの翅裏は名前の通り、ゴマダラです

 次は一番出会う機会が多いアカシジミです。郊外に行くと山ほどいるのに、不思議なことに都心の公園では見かけたことがありません。

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6月1日に見たアカシジミ

 この日はなぜか、常連のウラナミアカシジミには出会えず。年によって当たり外れがあるのかも。ゼフの最後は、ボロボロのミズイロオナガシジミ。ここまでボロボロのも珍しい。ミズイロオナガは、都会でも時々出会います。葛西臨海公園にも多い。

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ボロボロのミズイロオナガシジミ

 ここでしばし休憩。梅雨時のスローペースの生き物と言えば、カタツムリ。昆虫記者の在庫整理と同じ超スローライフですね。

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雨に濡れた苔の緑が似合うカタツムリ

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雨の日のベンチはカタツムリのテリトリー

 ここからの第2部は、蝶と蛾です。

 まずはアサギマダラ。盛夏は涼しい高地に行っていて、秋風が吹きだすとまた平地に戻ってきます。

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6月の高尾のアサギマダラ

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アザミの花が似合うモンキアゲハ

 ここからはガガガガ―っとガです。

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飛び出す絵本のような立体的翅を持つクロホシフタオ

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岩場に群れていたビロードナミシャク。岩の割れ目に似ていることを自覚しているのかも

 

 小さい蛾にはきれいなのが意外に多い。これもそんな蛾の一つ。昆虫記者の貧弱な記憶力ではとても覚えられない長い名前の蛾なので、ブログ上に整理しておくと便利。

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ニセギンボシモトキヒメハマキというとても覚え慣れない名前の蛾

 

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ウスキオオエダシャク

 

 キアシドクガはミズキの多い場所で大量発生することが多く、樹上を乱舞する姿はモンシロチョウの群れのように見えます。

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羽化したばかりのキアシドクガ。上にあるのが抜け殻になった蛹

 

 そのキアシドクガの蛹から伸びた細い糸の先にぶら下がっているのは、ホウネンダワラです。ホウネンダワラは豊作を告げる吉兆とされますが、実はホウネンダワラチビアメバチという寄生バチの繭。キアシドクガの幼虫に寄生してた蜂の幼虫が、ドクガの蛹の中身を食べてから繭を作ったというわけです。ホウネンダワラはハチが害虫を駆除した証なので、豊作の吉兆なのです。

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キアシドクガの蛹にぶら下がったホウネンダワラ

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ホウネンダワラを近くで見るとこんな感じ

 

 草間彌生さんの水玉芸術を思い起こさせるツマキシロナミシャク

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たぶんツマキシロナミシャク

 6月分の在庫整理、もう少しの辛抱です。あとは蛾のイモムシが少々。

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久々に登場したムラサキシャチホコの幼虫です

 すさまじい馬面のイモムシがシオデとサルトリイバラにいました。トモエ蛾の仲間の幼虫でしょう。

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シオデにいたトモエ蛾の仲間の幼虫。たぶんシロスジトモエ。すごい馬面

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たぶんシロスジトモエの若齢幼虫

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終齢幼虫はこんな感じ

 

 クルミにいたバイバラシロシャチホコの異形の幼虫

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バイバラシロシャチホコの幼虫。シャチホコの仲間はエイリアン風幼虫が多い

 ふーっ、やっと終わった。と思ったら、1つ疑問の蛾の繭が残っていました。こんな変な、緑色の笹の葉のような繭が低木からぶら下がっていました。

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不思議な形の蛾の繭

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不思議な形の繭の中にはちゃんと蛾の蛹が

 この蛹を羽化させれば何蛾か分かったはずなのですが、掌の上で観察していた時に一陣の風が繭をどこかへ吹き飛ばしてしまいました。昆虫記者としたことがとんだ不覚です。というか、いつも不覚をとってばかりの昆虫記者です。どなたか、この繭が何蛾のものかご存知の方がいたら教えて下さい。