ブキティマ山のふもとの秘密の小道には、蝶も多かったし、小川にはスッポンもいました。でも、本当は歩いてはいけない危険な道だったのです。
花に来ているエルナシロサカハチシジミは可愛いですが、実は獣糞など汚いものも大好きです。
チャイロタテハ(クルーザー)も吸水に来ていました。
そして流れの中にはおいしそうなスッポンの姿も。
しかし、虫探しを満喫していたその時、騒々しいマウンテンバイクの一団が襲ってきたのです。そこのけ、そこのけとばかりに、全くスピードを落とすことなく、昆虫記者の前後を走り抜けていきます。自転車の暴走族です。か弱い昆虫記者は、身ぐるみはがれて、裸一貫で放り出されるのでしょうか。
しかし、自転車暴走族の連中は、何かの標識を指差して、ぐちゃぐちゃと文句を言っただけで、去っていきました。昆虫記者の気迫に恐れをなしたのでしょうか。
ふと彼らが指差した標識を見ると、何と「ハイキング禁止」と書いてあるではありませんか。ここはマウンテンバイクの専用コースだったのです。こんな素晴らしい昆虫歩道をマウンテンバイク専用にするとは何事でしょう。彼らは鳥や虫や自然には興味がないと思われるので、コースはもっと荒れ果てた場所でいいと思うのですが。
結局この道は周回コースだったようで、入口に戻ってしまいました。そこからすごい遠回りをして、MRTのキングアルバートパーク駅に着きました。
駅近くの車道の上には鉄橋のような構造物。MRTはここでは地下を走っているはず。ではこの鉄橋は何なのか。実はこのあたりは、以前マレー鉄道が走っていたのです。
鉄道跡地は今はグリーンコリドーという果てしなく長い緑道になっています。
虫も多そうないい緑道なのですが、この日はマウンテンバイク軍団に襲われたりで疲れ切っていたので、MRTでホテルに戻ることに。
列車がホテルのあるテロックブラガに近づいた時、隣のハーバーフロント駅から、有名観光地のセントーサ島へ行こうと思い立ちました。開発が進んだセントーサにはあまり虫はいないでしょう。それなのになぜ行くのか。それは、ここにきれいな白砂のビーチがあるからです。ビーチには水着姿の美女が群れているかもしれません。疲れ切った昆虫記者には、眼の保養が必要なのです。
では、お待ちかねの眼の保養をどうぞ。
でも、眼の保養ばかりしていたので、虫の収穫はゼロ。森の中の小さな滝に鳥が集まっていたのが唯一の収穫でした。