虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

シンガポールの沿線昆虫ガイド⑮マリーナベイサンズの庭

 MRTのベイフロント駅前にそびえる巨大ホテル、マリーナベイサンズはシンガポールのランドマークとしてすっかり定着しましたが、その庭とも言うべき巨大植物園、ガーデンズ・バイ・ザ・ベイの知名度は低いかもしれません。101ヘクタールもある広大なこの植物園は2012年にオープンしたばかりで、まだまだ昆虫濃度は低いですが、熱帯のシンガポールですから、いずれは昆虫天国になることでしょう。

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マリーナベイサンズの写真は海側から撮ったものが多いですが、ガーデン側から撮る写真の方が南国らしくていい感じです。ドラゴンフライ・レイクのトンボのオブジェが虫好きを引き付けます

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ガーデンの木々を前景に撮ったマリーナベイサンズ

 ここを紹介するからには、ベイサンズに泊まったのだろうと思う人もいるかもしれませんが、そんな金銭的余裕はありません。ただ見上げるだけです。

 このあたりはかつては昆虫記者の庭のようなものでした。シンガポール特派員時代、休日にはよく虫探しに来たものでした。当時はまるでジャングルのようなところで、ふんだんに虫がいて、時々毒蛇のコブラに遭遇したりする楽しくもあり、恐ろしくもある場所でした。

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今はまだ虫が少ないガーデンズ・バイ・ザ・ベイですが、いずれ昆虫天国になるでしょう。小さなハゴロモを見つけました

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シンガポールではよく見かけるハゴロモですが、近寄って見ると意外にきれいです

 今ではそのジャングルが一掃され、ベイサンズとガーデンズ・バイ・ザ・ベイになっています。クルーズ船センターに至る海岸線は、まだ植林の途中で、更地のままのところも多く見られます。コブラはいなくなったでしょうが、虫や鳥、その他の生き物も激減したと思われます。世界中から訪れる観光客にとっては喜ばしく、昆虫記者にとっては悲しい現実です。

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ガーデン内にはこんな芸術作品も

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ガーデン内を歩く観光客はほとんどいません。地元の幼稚園の遠足でしょうか。

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ドラゴンフライ・レイクには葦原のような環境も整備されているので、そのうちトンボも増えるでしょう

 

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まだトンボも多くはありません。

 でもガーデンズ・バイ・ザ・ベイという新たな緑のオアシスを作ってくれたことは、せめてもの慰めです。熱帯の昆虫はしぶといですから、いつの日か、かつての繁栄を取り戻すことでしょう。

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ガーデン内には巨大なグリーンハウスがあります。

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対岸に見える巨大観覧車、シンガポールフライヤー

 新しい植物園より、街中の空き地の方が管理が行き届いていない分、虫の姿が多く見られます。

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空き地にいた虫。たぶんカッコウムシの仲間

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空き地にはチビフタオチョウの幼虫もいた

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シンガポールのアオスジアゲハの幼虫は、野生のシナモンの葉を食べる

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バナナの葉を巻いていたのは、たぶんバナナセセリの幼虫

 でも、そんなただの空き地を散策するのは、飼い犬の用足しを目的とした人ぐらいしかいません。まして、そんなところで虫を探す怪しい人物は昆虫記者だけです。