MRTのベイフロント駅前にそびえる巨大ホテル、マリーナベイサンズはシンガポールのランドマークとしてすっかり定着しましたが、その庭とも言うべき巨大植物園、ガーデンズ・バイ・ザ・ベイの知名度は低いかもしれません。101ヘクタールもある広大なこの植物園は2012年にオープンしたばかりで、まだまだ昆虫濃度は低いですが、熱帯のシンガポールですから、いずれは昆虫天国になることでしょう。
ここを紹介するからには、ベイサンズに泊まったのだろうと思う人もいるかもしれませんが、そんな金銭的余裕はありません。ただ見上げるだけです。
このあたりはかつては昆虫記者の庭のようなものでした。シンガポール特派員時代、休日にはよく虫探しに来たものでした。当時はまるでジャングルのようなところで、ふんだんに虫がいて、時々毒蛇のコブラに遭遇したりする楽しくもあり、恐ろしくもある場所でした。
今ではそのジャングルが一掃され、ベイサンズとガーデンズ・バイ・ザ・ベイになっています。クルーズ船センターに至る海岸線は、まだ植林の途中で、更地のままのところも多く見られます。コブラはいなくなったでしょうが、虫や鳥、その他の生き物も激減したと思われます。世界中から訪れる観光客にとっては喜ばしく、昆虫記者にとっては悲しい現実です。
でもガーデンズ・バイ・ザ・ベイという新たな緑のオアシスを作ってくれたことは、せめてもの慰めです。熱帯の昆虫はしぶといですから、いつの日か、かつての繁栄を取り戻すことでしょう。
新しい植物園より、街中の空き地の方が管理が行き届いていない分、虫の姿が多く見られます。
でも、そんなただの空き地を散策するのは、飼い犬の用足しを目的とした人ぐらいしかいません。まして、そんなところで虫を探す怪しい人物は昆虫記者だけです。