新型コロナウイルスの感染拡大で外出する気になれず、鬱々としている人も多い今日このごろ。昆虫記者も、ウジウジと部屋にこもって、過去の海外虫旅を懐かしんだり、次の虫旅に思いをはせたりしています。
日本政府は水際対策を逐次強化するとか言ってますが、米国のように最初にバーンと強力な入国禁止措置を取って、不要なら逐次緩和していく方が人々は安心するような気がしますが、いかがでしょうか。
ということで、鬱々、ウジウジしながら、今回はシンガポール虫旅の第18回、パシリスの蝶とイモムシと蛹です。
シンガポールが街中に蝶を呼ぶプロジェクトを進めていることは、バタフライ・トレイル@オーチャードの回に紹介しましたね。実はここパシリスでも駅前にカバマダラの食樹のジャイアント・ミルクウィード(アコン)をたくさん植えて、蝶を集めているのです。
アコンの花の周囲にはたくさんのカバマダラが群れ飛んでいました。
ここが駅の出入り口です。左側の黄緑色の並木がアコンです。
まだ木が小さいので、蝶も、幼虫も、蛹も見つけやすくなっています。シンガポールに来てどうしてもカバマダラの幼虫や蛹が見たいという人(そんな人いるかわけない)はMRTイーストウェスト線の終着駅のパシリスに行きましょう。ただし、普通の観光客が見たいようなものは、一切ありません。
駅前の商店街を行き来する人々は、蝶に無関心のようですが、こういう何気ない町中の風景に蝶の姿が溶け込んでいるというのが、ナチュラルでいいですね。
カバマダラの幼虫の姿も簡単に見つかります。激しく食害された葉っぱが目印です。
蛹もいくつかぶら下がっていました。マダラチョウの仲間独特のヒョウタンのようなツルンとした蛹です。
アコンの花と実はこんな感じです。実はガガイモ科独特の形ですね。実が割れると巨大タンポポの種のような綿毛付きの種が出てくるのでしょうか。
駅を出ると、目の前の森がパシリスパーク。その先にパシリスビーチがあります。
パシリスパークに入ると、前羽が青く輝く蝶がいました。最初はルリマダラかツマムラサキマダラの♂かと思ったのですが、蝶の専門家の友人から、ヤエヤマムラサキの♀だと教えていただきました。タテハチョウ科マダラチョウ亜科の蝶ではなく、タテハチョウ科タテハチョウ亜科の蝶だそうです。
毒のあるマダラチョウの仲間に擬態して、身を守っているらしいです。マダラチョウでは♂が派手なのに、ヤエヤマムラサキは♀が派手ということで、複雑怪奇ですね。
パシリスからの帰りにマーライオン公園に寄り道。ここから眺めるマリーナベイサンズも見ごたえがあります。
望遠で撮ると、マリーナベイサンズの屋上プールで記念撮影する人々の姿まで見えます。
そして、マーライオンパークと言えば、マーライオンですね。まずは小マーライオン。普段は無視されがちな小マーライオンが人だかりになっているのは不思議だと思っていたら、すぐにその理由が分かりました。
何と、大マーライオンは修復工事中で、檻の中に閉じ込められていたのでした。最近は世界三大がっかりの汚名を返上した感のあったマーライオンですが、これは超ガッカリ。超ガガーンな展開ですね。虫ばかり持ち上げて、観光名所をないがしろにしてきた昆虫記者の普段の行いの報いでしょうか。