春本番ですねー。新型コロナウイルスの影響で、自粛ムードで閑散だった都内の観光地ですが、先日の「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」の提言がどう誤解されたのか、間違ったのか、そもそも理解可能だったのか疑問のあるところですが、都内の多くの人々は、自粛緩和ないし、解除OKと受け止めたようで、各地の行楽地、デートスポットは前週までとは大違いの賑わいになったようですね。
昆虫記者も、提言をしっかりと受け止めた上で、近場でまだ行った事のない秘境に、マスク着用で行ってみようかと思い立ったのです。
近場の秘境?。そんなところ、あるわけないですね。でも調べてみると、ウッソー、マジ?。何と世田谷区に等々力渓谷という、滝の水音が轟き、野生動物が跳梁跋扈し、古代人が墓を掘っていた秘境があるというではありませんか。
ん?。古代人?。つまりそれは大昔の出来事であって、今はマンション街やオフィス街の地下を流れる暗渠のどぶ川渓谷になっているのでは。
しかし調べてみると、どうやら今現在もなお、秘境の雰囲気を残している貴重な都会のオアシスらしいのです。なにせ「渓谷」ですよ。世田谷区で。と言っても、ネット上で見るデジタル写真は、どうにでも加工できるので、怪しげな部分もあります。
疑ってばかりいてもしかたがないので、推定無罪ということで、現地調査におもむくことに。
とりあえず、秘境らしい雰囲気ということで、
等々力渓谷で出会ったガマ仙人ないし、カエルの神様です。
これのどこが秘境なのかとの疑問はもっともですが、カエルが神様になるまでには、
深山幽谷での相当な修行が必要と思われます。ゆえに、
等々力渓谷は秘境に違いないということになるのです。
階段を降りると、あら不思議。風景は一変して、深い森に包まれた渓谷にタイムスリップです。しかし、ここで昆虫記者は、激しい疎外感に襲われることになったのです。
それは「ラブラブの
カップルばっかりだー」という状況。昆虫記者の存在は全く場違いです。都会に残された最後の秘境とか言わずに、「絶好のデートスポット」とか「熱愛
カップル天国」とか書いてあれば、連休にノコノコと昆虫記者が出かけていくことなどなかったのに。
恐らく検索の仕方が悪かったのでしょう。都会の隠れた秘境を探すのではなく、都心デートスポットとかのキーワードで探しても、
等々力渓谷の名が轟き渡るのでしょう。
しかし、来てしまった以上、今さら引き返すことはできません。
カップルたちのつないだ手を断ち切ってやりたいとか、川に突き落としてやりたいとか、でも突き落とすなら男の方だけにして、女を連れて逃げようとか、不穏な衝動がわき起りますが、多勢に無勢なので、川に突き落とされたり、袋叩きになるのは昆虫記者の方だというのは自明の理なので、やめておきました。
でもいいですね、若いって。その恋が誤解で、幻想はすぐに消え去ることをまだ知らないのです。
そのうち、なぜ
カップルに人気なのか分かってきました。ここ、道が狭いんです。しかも片側は川。ということは、自然と二人の距離は接近します。彼女がちょっとよろけたりしたら、「危ないよ」と自然に腰を引き寄せたりもできます。
カルガモまで
カップルで戯れていました。
その上、一休みする甘味処もあるし、恋愛成就をお願いする神社やお寺もあるし、
歴女のための遺跡もあるし、数少ない虫ガールのための緑も多いし、花も結構あるし、虫もいる。
途中にある等々力
不動尊は、立派なお寺で、参拝者が絶えません。谷を見下ろすお寺の見晴らし台もなかなかに景色がいい。お寺の隣の喫茶コーナーは非常にリーズナブルな値段で、コーヒー100円とお財布にやさしい。
不動尊と川の間には小さな祠がいくつかあって、その中の1つが最初の写真のカエルの神様です。
かつて瀧音を轟かせ、
等々力渓谷の名のもとになったという不動の滝は、今は岩肌をちょろちょろと伝う湧き水です。昔はここで、多くの修行僧が滝行を行ったらしいですが、
カップルだらけの今はちょっと恥ずかしいかも。それでも一応、滝行をできるスペースは残されているので、注目を集めたい人はやってみるのもいいかも。
渓谷を流れる谷沢川を、さらに少し下ると多摩川に出ます。河川敷でピクニックシートを広げ、お弁当というコースも可能です。
広々とした河川敷の彼方には、台風被害で有名になった武蔵小杉の高層マンション群。台風の爪痕も河原に多く残っています。
「はい、お口開けて、あーん」なんてやる相手のいない昆虫記者は、ここでも虫探し。
台風被害のせいか、大した虫はいませんでした。って、完全な言い訳ですね。次はもっと頑張ります。