皇居の内堀にはイタドリが多いので、当然イタドリハムシがいます。イタドリは「蓼食う虫も好き好き」のタデ科の草ですが、タデ科の草には結構色々な種類の虫がいて、「蓼食う虫」の例えはあまりピンときませんね。
イタドリにもタデ科独特の酸っぱいシュウ酸が多く含まれていて、スイバと同様、若芽の茎を食べると清涼感があるそうですが、まだ食べたことがありません。イタドリハムシとか、カツオゾウムシとか、ドロハマキチョッキリとか、カシルリオトシブミとか、みんな美味しそうにイタドリを食べるので、もしかしてかなり美味しいのかも、とか想像しています。きっとそのうち、食べて腹を壊すことになるでしょう。
内堀に添った皇居の外周路は、ジョギングのメッカで、虫探しをしている人は昆虫記者以外は誰もいませんが、都会に残された貴重な昆虫オアシスでもあるのです。しかし「ジョギングに疲れたら、虫探しはいかがでしょうか」などという提案は、絶対聞き入れられないでしょう。ジョガーにとって、昆虫記者のようにコース上にたたずむ者は、障害物でしかないのです。ぼんやりしていると、時々突き飛ばされそうになります。
そんなジョガーとのいさかいはさておき、本題はイタドリです。5月ごろ、ここのイタドリには、イタドリハムシ以外にもう1種類のハムシがいます。キボシルリハムシ(キボシナガツツハムシ)という小柄で地味なハムシです。普通種なのですが、昆虫記者はここのイタドリでしか見たことがありません。そして、ここのイタドリには、このキボシルリハムシが腐るほどいます。皇居の自然は東京都民にっとって貴重ですね。東京の虫好きにとってはもっと貴重です。
ただ、皇居のお堀では定期的に草刈りが行われているようで、草刈りの後しばらくは虫がいなくなるので注意が必要です。できれば、草刈りをする際には、全部一斉に刈るのではなく、半分とか、せめて3分の1とかは雑草を残しておいてほしいものです。そうすれば、虫たちも喜ぶはずですが、草刈りの目的の1つは、じゃまな虫を減らすことにあると思うので、虫好きの思い通りにはならないのです。
イタドリハムシの幼虫もたくさんいました。草刈りの時期までに蛹になって身を隠して欲しいものです。
持ち帰った幼虫は、まもなく蛹になって、6月に羽化しました。