虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

可愛いのは幼少の一時だけ。外来の嫌われ者になったキマダラカメムシ

 最初は外来種の大型カメムシということで、ちょっと物珍しかったキマダラカメムシですが、いつの間にか関東では、ほとんどどこの公園でも見られる邪魔者、嫌われ者になりました。なにせカメムシですから、臭い。大型だから臭さも大型。在来のカメムシを圧倒する繁殖力は、在来種の保護を目指す人々を怯えさせています。

 

 そんなキマダラカメムシですが、孵化の後のほんの一時だけ、異様なほどの可愛らしさを発揮します。

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孵化間もないキマダラカメムシの幼虫はお菓子系で本当に可愛い

 6月上旬の葛飾水元公園で、キマダラカメムシの孵化直後の幼虫の一団に遭遇しました。卵の殻を囲んで、心細げに顔を寄せ合う姿は、虫好きでなくともほおずりしたくなるほどの可愛さですね。

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幼少期のキマダラカメムシはつい手にとってみたくなる可愛さ

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葦の葉の上に卵の塊が何カ所も見られました。たいていは12個単位のようです

 人間でも犬でも猫でも、小さい時は可愛いものですが、その容姿は徐々に変わっていくので、可愛さが消えていく過程はそれほどショックではありません。しかし、カメムシは脱皮するたびに劇的に姿を変えるので、可愛さが失われるスピードも劇的です。

 

 幼少期の姿がかわいいので、どんな成虫になるのか期待して飼育してみようなんて考える人がいるかもしれませんが、キマダラカメムシに関する限り、やめておいた方が身のためです。幼虫のかわいい姿だけで満足しておくのが正解です。

 

 と言いながらも、やはり昆虫記者としては、生態を解明しないわけにはいきません。

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葛西臨海公園で見たキマダラカメムシ幼虫

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もう少し大きくなった幼虫。もはや生まれたての可愛さは全くありません。

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そしてキマダラカメムシ成虫。今年は既に何匹目にしたことか。家から10分ほどの公園にもいます。