夏休みだー。カブトムシだ、クワガタだー。という男の子たちが、デジタルゲームがあふれるこの時代にどれほど生存しているのか、はなはだ疑問ではありますが、それでもきっと、夏休みになればやっぱりカブト、クワガタ探しに明け暮れる子供たちがいるはずというのは、昆虫記者の熱き願いです。
子供たちの夢は叶えたいけれど、東京都心に住んでいて、コロナ禍で遠出もままならない現状では、カブクワ探しは無理と思っているお父さん、お母さんも多いことでしょう(昆虫記者の願望です)。ところがどっこい。カブトムシとノコギリクワガタなら、田舎に行くよりも、都心の公園の方がずっと楽ちんで、出会いの確率も高いという、驚くべき事実があるのです。
なぜでしょうか。それはカブト、クワガタが発生しやすい環境(堆肥や倒木を積み上げている)をわざわざ整えている親切極まりない公園が多くあり、なおかつそのほとんどが採集禁止(子供たちは無視して捕まえたりしますが、それは大目に見ることにしましょう)なので、生息数が非常に多く、本来夜行性のカブクワを昼間でも多く目にすることができるのです。
さらに、観察しやすいように散策路が整えられている公園も多いので、カブクワ探しは楽ちんなのです。田舎でカブクワを探そうとすると、毒虫や毒蛇の恐怖に脅えながら、藪をかき分けて進まなければならないことも多いですよね。そんな危険が都心の公園にはほとんどない(樹液に集まるススメバチだけは要注意)のです。
昆虫記者も夏休み時期になると、童心に戻ってカブクワ探しの血が騒ぎだします。ということで、雨ばかりだった今回の4連休、降雨の間隙をついて新宿御苑へと出陣しました。御苑に付くとギョエー(しゃれです)。入園料が何と500円もするではありませんか。彼女や愛人とのデートならともかく、カブクワを見に来ただけで500円とは、これいかに。
それでも柵を乗り越えて不法侵入するわけにはいかないので、渋々500円を払います。新宿御苑には熱帯の植物が生い茂る大温室もあるので、温室の入場料と思えば500円ぐらいは妥当かもしれませんね(なんて全然思えない。住民税払ってる都民は無料にしてくれー)。
などと文句ばかり言っていてもはじまらないので、まずはカブトです。今年も山ほどいました(できれば朝=開門9時は虫撮りには遅すぎだと思う=の方がいいですが、昼間でも結構います)。
そしてカブトよりも難度が高いノコギリクワガタは見つかるのか。去年までノコギリの宝庫だったご神木が倒れてしまっていたので、ちょっと心配したのですが、牙(大顎)の湾曲した大型♂が見られたので、何とか最低限の偵察隊の役割は果たせたかなと思います。
ノコギリクワガタの♂は、大きさと牙の形がバラエティーに富んでいて、小さい♂は別の種類のクワガタのように見えます。牙が下方に湾曲せずスラリと長い♂をイトノコ(糸ノコギリ)と呼んだりしますね(もしかするとこの呼び名は、私の子供時代の仲間内だけのものかも)。
今回はそんなイトノコにも及ばない、爪切りサイズの牙の♂を見つけました。チビのくせに、自分より体重のありそうな♀をしっかりガードしている気概は、見上げたものです。
そして大温室に向かいます。なぜ?。それは当然、500円の元を取るためです。意地でも温室に行かないわけにはいきません。