大都会東京の繁華街新宿には、大型の虫の中ではピカイチの美しさを誇るヤマトタマムシがたくさんいます。新宿3丁目駅で地下鉄を下車して徒歩5分ほどで、もう昆虫天国の新宿御苑に到着です。
タマムシは、虫と植物の関係・新宿御苑編のフィナーレを飾るにふさわしい虫ですね。
タマムシ成虫の餌になる植物として一般的なのはエノキですね。でもエノキはどこにでもある木で、かなりの大木になります。そしてタマムシは、カンカン照りの日にエノキの上の方の日当たりのいい場所を飛んでいることが多いので、写真に撮るのは至難の業です。
なのでエノキにやってきたタマムシの写真は、苦労して撮った過去写真です。これも都心での撮影です。
タマムシの写真を簡単に撮りたい人は、伐採木置き場に行くのが得策です。わりと太めの広葉樹(エノキ、ケヤキ、桜などが好みですが、クヌギ、コナラにもよく来ます)の材が多い所で、これまたカンカン照りの日にじっと待ち続けていると、熱中症になる頃にたいてい2、3匹は目撃できることでしょう。
タマムシの仲間は、前羽(鞘翅)を広げた際に見える柔らかい腹部まで、キンキラです。今回は羽の下の腹部までよく見える写真(冒頭の1枚)が撮れました。奇跡の1枚とはこのこと。さすがプロ(誰が?)ですね。
タマムシは表(背中)側だけでなく、ひっくり返した裏側も無駄にきれいです。ひっくり返すとたいてい死んだふりをするので、裏側の写真を撮るのは、プロ(誰が?)でなくても簡単です。
そして今回は、もう1種類、新宿御苑の植物と虫の関係を語りたいと思います。
卵、幼虫、蛹、蛹の抜け殻をご覧ください。これで何の虫か言い当てる事ができたら、あなたも立派な虫屋(だれも立派な虫屋になりたいとは思わない?)です。
ジャガイモ、ナスなどの大害虫として、農家に嫌われていると言えば、ピンと来た人も多いでしょう。
そうです。ニジュウヤホシテントウですね。でも畑のない都会では、ニジュウヤホシは害虫どころか、益虫と呼んでもいい存在なのです。ナス科のいやらしい雑草のイヌホウズキやワルナスビなどをボロボロにしてくれます。
特にトゲトゲで繁殖力の強いワルナスビは名前からして悪い茄子ですから、ニジュウヤホシは「悪者退治の正義の味方」ですね。なーんて言っても、どこからも拍手は聞こえてきません。なにせ、どこにでもいる、目立たない、超雑虫のニジュウヤホシですから。ニジュウヤホシが大好きなんて人は、虫好きの中でも聞いたことがありません。
「タマムシまででやめておけば良かったのに」という落胆の声が聞こえてきます。失敗しました。