今回は少し虫に詳しい人以外には、どうでもいい話かもしれません。話題は「絶滅していなかった東京のアカマダラハナムグリ(アカマダラコガネ)」です。東京・町田市の某所にてクヌギの樹液で見つけました。東京では絶滅種扱いのようなので、生存が確認されて「大はしゃぎ」するのは、一般社会から隔絶されたごく一部の虫好き都民(昆虫記者を含む)だけでしょう。
さしてきれいでもなく、さして大きくもなく、目立たない虫なので、カブト、クワガタ、タマムシなど一般に人気の虫を探している男の子なんかだと、見逃してしまう虫かもしれませんね。
実際、恥ずかしながら昆虫記者も、アカマダラハナムグリ(アカマダラコガネの方が一般的呼び名ですが、正式にはハナムグリ系のようです)を視界の端に捉えながらも、「なんか薄汚れたハナムグリがいるな」ぐらいに思って、近くにいたクワガタを先に撮影していたくらいです。まさに昆虫記者の名折れですね。
コアオハナムグリの褐色型を少し大きくして、泥をこびり付かせたら、こんな感じになるのではないかと思わせる色模様でした。
しかし、小楯板(背中の固い羽をつないでいる蝶番のような部分です)に特徴的な「矢印」のような模様。これはアカマダラに相違ありません。
以前に「バカの壁」などの著書で有名な解剖学者の養老孟子さんに、箱根で見つけたアサカミキリの写真を見せた際に、各地で絶滅が危惧されているので、詳しい生息場所は明らかにしない方がいいと忠告されたことがあるので、今回も詳しい場所は紹介しません。でも町田ですから、山奥ということではなくて、近くに家並みが見える普通の雑木林でした。
幼虫が猛禽類の巣の中で育つことが多いとのことなので、町田市の丘陵地帯、里山地帯は多くの猛禽類の生息地としても、貴重な場所なのかも。町田に残された自然を守ることの必要性を訴える一助になれば、うっかり昆虫記者に発見されてしまったアカマダラハナムグリとしても、鼻が高いことでしょう。
貴重な生物なので、もちろん標本になどしていません。写真を撮った後は、指先から飛び去るにまかせて逃がしてやりました。