最低気温も20度を切り、めっきり秋らしくなってきましたが、真夏のネタが山ほど残っていて、何とか消化しないといけません。「別にいいじゃん、放っておけば」と言う人もいるでしょうが、そうはいかない事情が虫撮り好きにはあるのです。いつ、どこで、どんな虫の写真を撮ったのか、認知症気味の昆虫記者はすぐに忘れてしまうのです。そこで役立つのがこういうブログ。虫の名前で簡単に検索できるというのは、非常にありがたいことです。
加えて、死蔵してしまうのはもったいない、きれいな虫、カッコイイ虫が、夏場は多いのです。そんな虫を見ると「ああ、地球に生まれて良かった。生きてて良かった」としみじみ思いませんか(山ほど反論があるでしょうが、全く気にしません)。
多摩センター駅周辺の散策、今回は長池公園です。悔しかったのは、飛んでいたタマムシがどこかに止まるのを待って写真を撮ろうとしていたら、虫捕り親子がやってきて、あっさりと網で捕まえてしまったことでした。「虫捕り組」と、「虫撮り組」の間には、しばしばこうした火花を散らす戦いが繰り広げられます。
そんな悔しさを晴らしてくれたのが、ルリボシカミキリでした。生物学者の福岡伸一博士の名著「ルリボシカミキリの青」で有名な、あの神秘的な深い青色を目にすると「人生って何て素晴らしいんだろう」と思いますよね(全然思わないという人も多いでしょうが、全く気にしません)。
カミキリ虫ではほかに、ヤハズカミキリ、キスジトラカミキリがいました。ヤハズカミキリは折れて枯れかかった枝に飛んで来たところを目ざとく見つけました。こういうまだ葉が付いている枯れかけの枝が好みらしいです。ヤハズの名は矢に弓弦を掛けるⅤ字型の部分「矢筈」から取られたもの。鞘翅の後端が矢筈のような形になっているが分かるでしょうか。
長池公園に来ると、毎回お目にかかる蝶がゴイシシジミです。他の公園では、滅多に出会わないので、長池名物と言ってもいいでしょう。ゴイシの名は一目瞭然。羽の模様が碁石を並べたみたいだからでしょう。
そして、ススキの葉の上には、超小型のエビ煎餅のような姿のエビイロカメムシの幼虫。成虫は非常に地味なのですが、幼虫は小さければ小さいほど、かわいい。エビ煎餅だと思ってたべてしまいたいぐらいです(嘘つき!という批判が聞こえますが、嘘です。食べたくはないです)。
長池公園に行くのは、車があれば簡単なのですが、電車だと駅からかなり遠くて大変です。ですが、昆虫記者は唐木田駅から「よこやまの道」という、虫の多い散策路(結構長距離)を通って行くので、苦になりません。
公園に「よこやまの道」からの地図があったので、紹介しておきます。こんな経路で長池公園に行く人は、100人に1人どころか、1000人に1人もいないと思うので、普通の人(常識のある人のことです)は誰も、そんなまねはしませんね。
上の地図にある長池上山田陸橋を渡る頃には、雨が降ってきて、カタツムリがのんびりと陸橋を渡っていました。この陸橋は、ほとんど長池公園とよこやまの道をつなぐ専用道路のようなものなので、人通りがほとんどありません。なので、カタツムリも悠々と行進していたのでしょう。
細い枝にびっしりと張り付いていたタンポポの種のようなものは、何だか分かりますか。これも虫です。
正体はベッコウハゴロモの幼虫でした。まさに芸術ですね(反論は受け付けません)。