虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

秋の野山散策で意地汚く無料の食料を探す

 今時になって秋の野山の味覚です。完全に一般社会と時間軸がずれているのが、常人たらぬ昆虫記者です。

・柿

 まずは代表的な秋の味覚の柿。これはほとんどの場合、所有者がいるので、勝手に取って食べることはできませんが、鳥や虫は勝手に食べています。うらやましい。

f:id:mushikisya:20210101105039j:plain

柿は成虫越冬する蝶の大好物。クロコノマチョウとキタテハ。

f:id:mushikisya:20210101105154j:plain

メジロムクドリなどの鳥が食べた後の柿が、蝶の食卓になります。

 そして栗。丹波栗のような立派な栗はやはりたいてい所有者がいますが、山栗は野山の散策路にたくさん落ちていますね。これはたいてい所有者がいないので、無料で取り放題、食べ放題です。昨年は多摩丘陵で拾った山栗をたらふく食べました。

f:id:mushikisya:20210101105330j:plain

山栗は無料の高級食材

・山栗レシピ

 一番簡単な食べ方は、一晩水に漬けたり、ゆでたりしてから鬼皮をむいて素揚げにして、軽く塩を振るだけというものです。実はこれしか食べ方を知らないのに、レシピなどとおこがましいですね。

f:id:mushikisya:20210101105405j:plain

昨年拾った山栗

f:id:mushikisya:20210101105501j:plain

山栗の素揚げは、渋皮ごと揚げるので手間が少ない。揚げた後で渋皮を取り除いてもいい

 ムカゴ・レシピ

 山芋を掘るのは大変ですが、ムカゴなら簡単にいくらでも収穫できます。山道を散策しながら、大きいムカゴを見つけるたびに摘んでいくのは楽しいものです。さて、レシピですが、これまたバカの一つ覚えで、塩ゆでしてそのままいただくというのが、唯一知っているレシピです。これが結構おいしい。

f:id:mushikisya:20210101105703j:plain

ヤマイモの茎に付くムカゴ

f:id:mushikisya:20210101105744j:plain

ムカゴの塩ゆで。塩は濃いめの方が美味しいかも。味はヤマイモの粉で作ったタピオカパールのような感じ、って全然分からないですね。

 銀杏

 イチョウの実である銀杏は、踏んでしまうとウンコのような悪臭が靴底について嫌ですね。なので、可能な限り拾って食べてしまいましょう、と言いたいところですが、子供が何十粒も食べると食中毒になる恐れがあるので注意が必要。大人で10粒ぐらいまでなら、何の問題も無いようです

 

 イヌマキ

 葛西臨海公園の鳥類園に向かう駐車場前の道には、イヌマキの生垣があります。イヌマキの実は、花托という赤い部分がほんのりと甘く、そのまま食べられます。しかし、その先の緑色の種子の部分には毒があるので気を付けましょう。

f:id:mushikisya:20210101105926j:plain

見た目もかわいいイヌマキの実

f:id:mushikisya:20210101110031j:plain

葛西臨海公園の鳥類園に向かう道の駐車場前にイヌマキの並木がある

f:id:mushikisya:20210101110125j:plain

イヌマキの実。食べられるのは赤く膨らんだ部分。緑の種子には毒がある

 ガマズミ

 ガマズミは、小さな赤い実がびっしりと付いて、秋の野山の色模様として親しまれていますが、意外にも食用になります。でも小さい実なので、全く食べ応えがありません。しかも、葉が茂っている頃はまずいらしいです。初冬になって葉が落ちた頃に、一粒、二粒つまんで、甘酸っぱさを愛でるのがいいようです。昆虫記者は昨年初めて食べてみましたが、酸っぱいだけという感じでした。時期が早かったのかも。

f:id:mushikisya:20210101110257j:plain

ガマズミの赤い実は秋の野山の彩り

f:id:mushikisya:20210101110338j:plain

12月下旬のガマズミの実。葉が全部落ちた後の方が美味しいらしい。

 クコ

 クコの実は、杏仁豆腐の上にポチっと乗っている赤い実です。乾燥させてナッツ類と一緒に食べたりもしますね。でもこの乾燥が難しい。何回かチャレンジしましたが、美味しい乾燥クコの実になったためしがありません。

f:id:mushikisya:20210101110443j:plain

クコの実。乾燥させるのが難しい。

 ケンポナシ

 ケンポナシは、枝が食用になるという不思議な木です。写真で枝先に付いている丸いのが実。その後ろの太くなった枝(花梗とか花柄とかよばれる花や実の後ろの部分で、厳密には枝ではないようです。サクランボを食べる時につまむ緑色の部分ですね)が、梨のような味がするようです。昆虫記者が食べた印象は、甘さの強いサトウキビのような感じでした。1つ目、2つ目めぐらいは良かったのですが、その後で食べたらお酒の味がして、アルコールに弱い昆虫記者は、しばらく酩酊状態になりました。落ちてから時間が経つと発酵することもあるようです。気を付けましょう。ケンポナシはあまり多くない木で、東京中心部では、戸越八幡神社林試の森公園小石川植物園などで見られます。

f:id:mushikisya:20210101110523j:plain

ケンポナシの実(先の丸いもの)と膨らんだ枝(花托)

f:id:mushikisya:20210101110637j:plain

拾い集めたケンポナシの枝と実

f:id:mushikisya:20210101110819j:plain

戸越八幡神社のケンポナシの木


 秋の野山の無料の味覚を紹介していたら、もう春、夏の味覚が恋しくなる意地汚さ。野イチゴとか、クワの実とか、よだれが出そうですね。