丑年です。初詣は行きましたか。虫好きの丑年初詣と言えば、当然昆虫界のホルスタインこと、冬の羽なし蛾のチャバネフユエダシャク♀探しですね。
丑年の3密を避けての静かな初詣には、チャバネフユエダシャク探しが最適。ただし、見つかるかどうかは時の運。見つかったら丑年の幸運を願って、二拝二拍手一礼しましょう。
なぜ丑年にチャバネフユエダシャクなのか。虫好きには説明は不要ですね。羽の退化した♀のチャバネフユエダシャクは、その白黒まだら模様と、ふっくらした姿から、ホルスタインの通称で呼ばれることが多いのです。乳牛の代表のあのホルスタインです。
では参拝に出かけましょう。と言っても、見つけたのは2020年の12月末なので、なんちゃって初詣です。でもコロナ禍の現在、3密を避けるため、初詣を前年末に前倒しする人も多かったようなので、大目に見ることにしましょう。
まずは毎年冬にほぼ確実にホルスタインに出会える超穴場の生田緑地です。やっぱり今回もいました。丑年こそコロナ禍が過ぎ去って良い年になりますよう、手を合わせて拝みます。
今回のホルスタインは、こんな目立つ場所にいました。
「今回の」発見場所が目立つ場所だったと言うより、「今回も」と言った方がいいかもしれませんね。「お前の目は節穴か」と良く言われる老眼が進行した昆虫記者が、あの地味なフユシャク♀たちを見つけられる場所は、ほとんど公園の木柵に限られるからです。
しかし何と、生田緑地散策の数日後、今度は多摩丘陵で、エノキの幹に張り付いているホルスタインを見つけたのです。樹上でホルスタインを見つけたのは、たぶん今回が初めて。これは、丑年こそは絶対に良い年になるという、神様の予言のようなものですね。賽銭をはずみたいところですが、ここは森の中。お金が無駄になるので、開きかけた財布を閉じて節約しました。
チャバネフユエダシャクの♀は、別にホルスタインに擬態しているわけではありません。丑年だからといって、特に人気が急上昇しているわけでもありません。実際には、鳥の糞に擬態していると言われていて、全然めでたい存在ではないのです。
近くにあった鳥の糞を写真に撮ってみました。確かにチャバネフユエダシャクの♀に似ていると言えば、似ています。
他のフユシャク♀は、チャバネよりさらに地味です。1月に入ってから小野路で、地味な♀を2種類見つけました。たぶんシロオビフユシャクと、ナミスジフユナミシャクです。
丸っこいシロオビフユシャク♀は、とても蛾には見えません。アブラムシ(アリマキ)を巨大にしたような雰囲気ですね。
ナミスジフユナミシャクの♀は、使い物にはならない小さな羽を持っているので、一応蛾らしくも見えますが、やはり飛べません。羽は飾りのようなものですね。
近くにナミスジフユナミシャクの♂もいました。じっとしている♀に夜這いをかけないといけないので、♂の方には立派な羽があります。