生け花の材料に花ナスというのがありますね。その中に黄色い出来損ないのカボチャみたいなのがあって、ツノナスとかフォックスフェイスとか呼ばれています。「昆虫記者は生け花の心得もあるのか」などと感心した人もいるかもしれませんが、とんでもありません。
今回のネタは、そのツノナスによく似た物体です。その物体は、時々ヌルデの木に付いているのですが、昨年晩秋に初めてその物体を発見しました。
ヌルデの実ではありません。ヌルデの実は小さな粒々ですね。この物体はヌルデミミフシと呼ばれる虫こぶです。やっぱり虫です。でも、こんな見事な造形の虫こぶってあまりないですよね。生け花にしてじっくり鑑賞したいものです。生薬やお歯黒の材料にもなる貴重な物体でもあるようです。
しかし、そこには大きな問題が。虫こぶの多くは、アブラムシが作ります。という事は、この虫こぶの中にも大量のアブラムシが詰まっているのでは。
念のため、ちょっと中を覗いてみましょう。すると案の定。アブラムシがぎっしり詰まっていました。でも幼虫か無翅型のようなので、ブワーッと飛び出てくることはありませんでした。
しかし数週間後に同じ木にあったヌルデミミフシを開いてみると「ウギャー」。羽のある成虫がぎっしり。あわてて投げ捨ててしまいました。
こんなのを生け花に使ったら大惨事になりかねませんね。みなさん気を付けましょう。でも、一度そんなことをやってみたい気もします。