春ですね。春は嬉しい季節ですが、あまりにも足早に過ぎ去っていくので悲しい季節でもあります。短い春の間だけ姿を見せて、可憐な姿を披露したと思ったら、あっという間になくなってしまう「春の短い命」のことを、スプリングエフェメラルと呼ぶそうです。
草花なら代表はニリンソウとかカタクリとかでしょうが、虫好きにとっては春だけに出現する蝶たち、ギフチョウとか、ツマキチョウとかのことです。
でも東京ではめったにギフチョウにはお目にかかれない(裏高尾で一度だけ撮ったことがありますが、詳しい人に聞いたらたぶん放蝶だろうとのことでした)ので、コロナ禍の今、東京で撮れるスプリングエフェメラルは、地味なのが多くなります。
今回のはその中でも特に地味なやつ。3月27日に裏高尾で撮ったコツバメです。
幼虫はアセビの葉や花を食べるので、成虫の蝶もアセビの花に来ることが多いですね。
ちなみにアセビは「馬酔木」と書きます。毒があって馬が食べると酔っ払ったようになるのでこの名があるとか。蝶の幼虫は体に毒をため込むのが多いですが、コツバメも例に漏れず毒が好きなようです。
コツバメの名は小さい燕ということだと思いますが、ツバメの名が付くシジミチョウは、ツバメシジミ、ムラサキツバメなど、燕尾のような尾状突起を持っているのが普通ですね。なのにコツバメには燕尾らしい尾がありません。「黒っぽくて素早く飛ぶ姿がツバメのようだから」というのが、コツバメの名の由来らしいのですが、何だか納得がいかないですね。
そんなことはともかくとして、あまりにも地味なスプリングエフェメラルなので、ついでに裏高尾の春の花々も紹介しておきます。
これはたぶんタカオスミレだと思います。花の知識はほとんどないので、間違ったらごめんなさい。
カタクリの花の中にある、もう一つの花のような模様は蜜標というやつですね。ギフチョウがこの密標に来るのが、一番スプリングエフェメラルの絵になるのですが、東京でそんな写真を撮るのは、まず不可能です。
でもカタクリと来れば、やっぱりギフチョウなので、ずっと昔に撮ったギフチョウの写真をおまけに付けておきます。東京にもギフチョウが復活してほしいですね。