虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

ヤブガラシの茂みに潜むギョロリ目玉の怪物はセスジスズメの芋虫

 秋の芋虫探しの季節もそろそろ終盤。今回はヤブガラシに付く芋虫の第1弾、セスジスズメです。ヤブガラシツツジの植え込みの上などを覆っていることが多い、どこにでもある雑草。なので、ヤブガラシにいる芋虫は、都会の公園でも簡単に見つけることができます。「嬉しいですね」なんて言うのは、芋虫萌え派の虫好きだけです。一般人はスズメガの巨大芋虫など誰も見たくないものです。

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ヤブガラシの茂みに潜む怪物、セスジスズメの幼虫

 セスジスズメの終齢幼虫は、かなりきれいな(一般人はこれをグロテスクとも呼ぶ)芋虫の部類に入りますね。頭部近くの大きな目玉模様は、天敵を威嚇するためのものでしょう。ちょっといじめると、この目玉の部分を突き出すような動きを見せます。

 胴体にずらりと並んだ、小さめの赤い目玉模様もなかなかの出来栄えです。

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背中にきれいな目玉模様がずらりと並ぶセスジスズメの終齢幼虫

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横から見た全体像はこんな感じ

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路上にこんな大きな糞が落ちていたら上に巨大芋虫がいる証拠

 蛹になる直前には、蛹化に適した場所を探しているのか、縁石の上などを優雅に歩いているのを時々みかけますね。ギョッとして立ちすくむ人と、「うわー可愛い」と歓声を上げる人の比率は、100対1ぐらいでしょうか。

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大理石の縁石の上を散歩していた宝石をちりばめたような柄のセスジスズメ幼虫

 ヤブガラシの若葉で良く見られるセスジスズメの小さな幼虫も、黒い潜水艦の側面に黄色い丸窓が並んだような姿で、結構キュートです。ギョッとして後ずさりする人と、近づいて手に取ろとする人の比率は、10対1ぐらいでしょうか。

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ヤブガラシの若葉にはセスジスズメの小さな幼虫が多い。

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セスジスズメの小さな幼虫は、身に着けて歩きたいほどキュート

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少し大きくなると、目玉模様の兆しが見えてきます

 何にしても、セスジスズメの幼虫は、存在感のある芋虫です。ほかにも魅力的な芋虫がいるヤブガラシの茂みは、宝の山です。