虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

どうでもいいコスズメの芋虫は元気に育ち、貴重なブドウスズメは寄生蜂の餌食になるという不条理

 秋の芋虫探し、ヤブガラシ編第2弾は、コスズメとブドウスズメです。コスズメは毎年腐るほど出会うので、どうでもいいと言えば、どうでもいいのですが、ブドウスズメはなぜか出会いが少ないので、大切に育てたいと思っていました。

 ところが、どうでもいいやつほど元気に育ち、お姫様のように大切に育てた芋虫ほど、あっけなく死んでいくのが、世の常。

 コスズメの芋虫は、正体不明だった幼少時代から、目玉模様の緑の芋虫になり、終齢になると、突然不気味な茶色い芋虫に変身し、蛹になりました。

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コスズメはヤブガラシで一番多く見つかる芋虫かも

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このサイズになると目玉模様が出てきてコスズメだと確認できる。

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今回のコスズメ幼虫は終齢で茶色に変身。

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目玉模様のインパクトは茶色の方が大きいかも

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コスズメの名にかかわらず、結構大きな芋虫になる

 ところがブドウスズメの芋虫方は、食欲がないし、全然大きくならない。変だなと思っていたら、ある日背中に寄生蜂の繭を背負っていました。そして当然、芋虫は死に、繭からは、憎き蜂が、やたら元気に飛び出してきました。

 これが自然界の掟というものです。寄生蜂がいなければ、世の中は芋虫の天下となって、植物はすべてボロボロになってしまいます。うまくバランスが取れているというわけです。

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そしてこちらが貴重なブドウスズメの芋虫。

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小さい幼虫でもこのカラフルなお尻の角でブドウスズメと分かる

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背中に寄生蜂の繭を背負ったブドウスズメ幼虫

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ブドウスズメを殺害した憎き寄生蜂はこいつ

 しかし、どうせ寄生するなら、コスズメとか、セスジスズメとか、腐るほど出会う方の芋虫を選んでほしいものです。わざわざ貴重(昆虫記者にとってだけです)なブドウスズメを選んで寄生しなくてもいいのに。まるで「嫌がらせ」「虫好きハラスメント」だ、などと激怒するのは昆虫記者の身勝手というものですね。