「フユシャク界のホルスタインこと、チャバネフユエダシャク♀を最低1匹は見つけること」を毎冬のノルマ(何とばかばかしいノルマであることか)としている昆虫記者。今冬は絶望か、と思われたのですが、何とかギリギリでノルマを達成しました。めでたし、めでたし。パチ、パチ、パチ(誰も拍手してくれないので、自分で拍手)。
ばかばかしいようなノルマですが、虫の少ない冬は、虫探しで歩き回る頻度が落ちて、運動不足に陥り、フレイル化し、痴呆化しがちなので、虫好き中高年にはこうしたノルマが不可欠なのです。
しかし、ホルスタイン(牛ではありません。チャバネフユエダシャクの♀です)は、年々数を減らしている(年々昆虫記者の視力が低下している)印象があります。毎年ほぼ確実に見つけていた場所でも今冬は出会いがなく、半ば諦め気分で、1回しか実績のない横浜市の金沢自然公園に向かいました。
しかし、モーモー鳴く声(フユシャクのホルスタインは鳴きません)もせず、ホルスタインの気配は全くありません。
しかたなく、裏道を通って横浜自然観察の森まで足を延ばすことに。金沢動物園の裏の散策路(高速道路・横横道の下をくぐるコースと、上を陸橋で渡るコースがあります)を通っていくと、ゆっくり歩いて1時間ほどで、横浜自然観察の森にたどり着けます。
しかし、「絶対居そう」 な印象の自然観察の森でもホルスタインを1匹も見つけられませんでした(過去の実績ゼロ)。
打ちのめされた気分で、バス停への道を下ります。すると、道路脇の三角コーン(工事現場などによくあるやつです。プラスチック製が多いですが、今回のはコンクリート製)の上部に何やら生物の気配。
「オオ、オオ、あれこそは、紛いもなくホルスタイン(オヨヨと泣き崩れる昆虫記者)」。生き別れになった妻に異国で出会ったかのように、三角コーンに駆け寄り、その姿をしっかと確認しました。
こんな「ありえへん」場所で、最後の最後にホルスタインが待っていてくれるとは、まさに「人生はドラマ(というほど大したことではありません)」ですね。