東京湾岸で、ある南国の虫がとんでもなく大発生しているようです。リュウキュウツヤハナムグリという、コガネムシ系のちょっときれいな虫です。
琉球の名があるので寒さには弱そうなのですが、何と今頃すでに羽化している個体もいるようです。つまり今なら、幼虫、蛹(蛹室)、成虫がワンセットで見られる可能性があるのです。
道路脇の側溝のようなところに、成虫の死骸が幾つか転がっていました。その下の落ち葉をかき分けると、何と成虫がモゾモゾと4、5匹はい出してきました。石垣の上から落ちた幼虫が、仕方なくこんなところで早めに蛹になって、羽化してしまったようです。
石垣の上の落ち葉の中には、ウズラの卵ほどの蛹室が幾つかありました。探している時に割れてしまった蛹室からは、成虫が顔を出していました。
侵略的外来種なら殲滅すべきなのでしょうが、このリュウキュウツヤハナムグリは、奄美あたりから、植物と一緒に伊豆諸島に入り込み、そこから伊豆航路で東京湾岸に来た可能性があるとのことです。つまり侵略者というよりは、長旅の末ようやく東京にたどり着いた渡航者、旅行者ですね。もともと日本の南方の虫なので、外来種でもありませんから、あまり敵視しなくていいかも。
しかし、その繁殖力は半端でないようで、湾岸の幾つかの公園(深い森ではなく、運動場などがある都市公園)では、林の地面がリュウキュウツヤハナムグリ幼虫の糞で埋め尽くされているところも。
石垣の上の林から糞があふれ出して、下の道路にこんもりと積もっている場所もありました。深い腐葉土の層があるような場所でもないので、コガネムシ系の幼虫が生きていくには厳しい環境に思えるのですが、都会的環境へのリュウキュウツヤハナムグリの適応能力はかなり高いようです。
この様子だと、近い将来、東京の都市公園はリュウキュウツヤハナムグリに占拠されて、カナブンとか、シロテンハナムグリとかは脇に追いやられてしまうかも。