虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

カマキリの洗脳に失敗したハリガネムシの壮絶な最期…と思ったら昆虫記者のおせっかで復活。

 先週末に三鷹市の野川の川辺で壮絶な光景を見かけました。必死の形相で木にしがみつくハラビロカマキリの腹部から2匹のハリガネムシが突き出ていたのです。カマキリの脳を操って、ハリガネムシの繁殖の場である川の流れの中に飛び込ませようとしたのでしょうが、川まであと一歩のところで、カマキリが力尽きてしまったようです。

カマキリ腹から突き出た状態で干からびたハリガネムシ。入水自殺させるための洗脳に失敗したようだ。

ハリガネムシをぶら下げたカマキリがいたのは矢印の場所。左に川がある。

発見時のカマキリとハリガネムシの状況。

ハリガネムシのうち1匹はカマキリの腹を突き破っていた。痛そう。

野川の川辺はのんびりできて素敵な所。

 1匹のハリガネムシはカマキリの尻から、もう1匹はカマキリの腹を突き破って、外界に顔を出したのですが、そこに水はなく、もがき苦しむうちに干からびてしまったのでしょう。自然界の驚異、生命の不思議、時に残酷な生存競争など(大げさ)を思い起こさせる壮絶、かつ荘厳な光景でした。

 しかし、それだけでは昆虫記者の科学的探究心(と言うより幼稚な好奇心)は満たされません。カマキリの腹からハリガネムシの全身を引っ張り出して、水を入れた容器にひたしてみました。果たして、干からびたハリガネムシは復活するのか。

 しばらすると、ハリガネムシは本来のツヤツヤした肌を取り戻し、クネクネと動き始めました。そして心優しい昆虫記者は、復活したハリガネムシを川に放してやったのでした。

カマキリの腹から引き出した2匹のハリガネムシ。この段階では干からびてカチカチ状態。

干からびたハリガネムシを水に入れたら見事に復活しました。

 ツルの恩返し、浦島太郎のカメの恩返しのように、きっとハリガネムシの恩返しがあることでしょう(恩返しに寄生されたらどうしよう)。