虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

皇居外周コースはジョガー専用にあらず。都会の昆虫オアシスでもあります

 皇居の内堀にはイタドリが多いので、当然イタドリハムシがいます。イタドリは「蓼食う虫も好き好き」のタデ科の草ですが、タデ科の草には結構色々な種類の虫がいて、「蓼食う虫」の例えはあまりピンときませんね。

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イタドリと言えばイタドリハムシ。皇居外周コースにたくさんいます。

 イタドリにもタデ科独特の酸っぱいシュウ酸が多く含まれていて、スイバと同様、若芽の茎を食べると清涼感があるそうですが、まだ食べたことがありません。イタドリハムシとか、カツオゾウムシとか、ドロハマキチョッキリとか、カシルリオトシブミとか、みんな美味しそうにイタドリを食べるので、もしかしてかなり美味しいのかも、とか想像しています。きっとそのうち、食べて腹を壊すことになるでしょう。

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こんな感じでイタドリの葉の上にいれば、簡単に見つかるが

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実際はこんな感じで、葉裏からちょっとだけ顔を見せていることも多い

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ちょっと寸詰まりな感じのイタドリハムシもいました。

 内堀に添った皇居の外周路は、ジョギングのメッカで、虫探しをしている人は昆虫記者以外は誰もいませんが、都会に残された貴重な昆虫オアシスでもあるのです。しかし「ジョギングに疲れたら、虫探しはいかがでしょうか」などという提案は、絶対聞き入れられないでしょう。ジョガーにとって、昆虫記者のようにコース上にたたずむ者は、障害物でしかないのです。ぼんやりしていると、時々突き飛ばされそうになります。

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かなり前に撮った皇居のジョギング風景です。立ち止まって邪魔になっている男性は、虫ではなく鳥を撮りにきていた人です。

 そんなジョガーとのいさかいはさておき、本題はイタドリです。5月ごろ、ここのイタドリには、イタドリハムシ以外にもう1種類のハムシがいます。キボシルリハムシ(キボシナガツツハムシ)という小柄で地味なハムシです。普通種なのですが、昆虫記者はここのイタドリでしか見たことがありません。そして、ここのイタドリには、このキボシルリハムシが腐るほどいます。皇居の自然は東京都民にっとって貴重ですね。東京の虫好きにとってはもっと貴重です。

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これがキボシルリハムシ

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キボシルリハムシは、相当な数が皇居にいます

 ただ、皇居のお堀では定期的に草刈りが行われているようで、草刈りの後しばらくは虫がいなくなるので注意が必要です。できれば、草刈りをする際には、全部一斉に刈るのではなく、半分とか、せめて3分の1とかは雑草を残しておいてほしいものです。そうすれば、虫たちも喜ぶはずですが、草刈りの目的の1つは、じゃまな虫を減らすことにあると思うので、虫好きの思い通りにはならないのです。

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お堀の土手は定期的に草刈りが行われるようです

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草刈りのおかげで、こんな見通しの良い風景が生まれますが、虫はいなくなります。

 イタドリハムシの幼虫もたくさんいました。草刈りの時期までに蛹になって身を隠して欲しいものです。

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イタドリハムシの幼虫

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イタドリハムシの蛹

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6月に羽化したイタドリハムシの新成虫

 持ち帰った幼虫は、まもなく蛹になって、6月に羽化しました。

ツマキチョウの蛹は木のトゲにしか見えない超絶擬態

 先日の日比谷公園でのヒメシロコブゾウムシ探しの後は、皇居の内堀へと移動。このあたりは桜の季節なら可憐なツマキチョウの舞い姿が見られます。しかし訪れたのは5月だったので、もうツマキチョウはいません。それでも諦めないのが昆虫記者です。

 菜の花も咲き終わって、細長い実を付けている季節。ツマキチョウの幼虫がその実に擬態しながら、食事の最中かもしれないのです。

 菜の花の葉を主に食するモンシロチョウの幼虫とは違って、ツマキチョウの幼虫は主に実を食べます。ツマキチョウは春だけの蝶、スプリング・エフェメラル(春のはかない命)なので、春だけの食材である菜の花の実だけで命をつなぐことができるんですね。

 それで、幼虫は見つかったのか。執念で1匹だけ見つけました。皇居の内堀の土手は中には入れないため、道にはみ出している菜の花だけが頼りなので、幼虫を見つけるのは簡単ではないのです(苦しい言い訳です)。

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菜の花の実にいるツマキチョウの幼虫。執念がないと見つけられない

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見やすいように接近してみました。

 まだ小さい幼虫だったのですが、菜種油の元である菜の花の実は栄養豊富なので、1週間後には幼虫は立派な終齢になり、木のトゲのような蛹へと変身しました。

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成長過程を撮り忘れたので、過去写真での大きくなった幼虫の様子です

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木のトゲのようなツマキチョウの蛹

 あのフニャフニャしたイモムシが、バラのトゲのような鋭角な蛹に変身するのは何とも不思議ですね。

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真上から見たツマキチョウの蛹。横に幼虫の脱皮殻があります。

 そしてそのトゲ型の蛹は、最初は緑色なのですが、何日かすると茶色に変色します。木々のトゲが若芽の時の緑色から、成長につれて茶色に変わっていくのに合わせているような、徹底した擬態ぶりです。自然界でこの茶色のトゲのような蛹を見つけるのは、至難の業でしょう。昆虫記者もこれまで、たまたまガードレールに張り付いていたのを見つけたことがあるだけで、木の枝など自然物に付いた蛹は見つけたことがありません。

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数日後、茶色くなったツマキチョウの蛹

 そして困ったことに、この蛹は当分羽化しません。なにせスプリング・エフェメラルですから、来年の春まで待たないと蝶の姿は見られないのです。

 

 なので、以前に撮った写真で、春の艶姿をご覧ください。

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精力絶倫ヒメシロコブゾウムシの交尾と恥じらいの出産と幼虫の大量発生

 日比谷公園の5月の名物と言えば。うーん、何だろう。考えてしまいますね。松本楼の10円カレーは、9月ごろだったし、桜もバラも季節外れだし。

 でも昆虫記者にとって、5月の日比谷公園と言えば、ヒメシロコブゾウムシです。アイビーとかヘデラとか呼ばれるセイヨウキヅタが所せましと生い茂っている中、ポツリ、ポツリと白い点が動き回っています。それがヒメシロコブゾウムシです。あまり注目されない虫ですが、よーくよく見るとミロのビーナスのような、大理石のギリシャ彫刻風の姿ですね。

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大理石の彫刻のようなヒメシロコブゾウムシ。下の蛆虫みたいなものの正体は?

 街中ではヤツデ、山ではシシウドでよく見かけるヒメシロコブゾウムシがなぜ、日比谷ではキヅタにいるのでしょうか。素晴らしい疑問ですね。

 それでは偉そうに解説しましょう。

 キヅタはツタの仲間ではありません。ツタはブドウ科ですが、キヅタは、ヤツデとかウドとかと同じウコギ科の植物なのです。従って、ヒメシロコブゾウムシがキヅタにいるのは何の不思議もないのでした。

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ヒメシロコブゾウムシのカップ

 でもキヅタでヒメシロコブゾウムシが大量発生している場所は、私の活動範囲では日比谷公園だけです。恐らくあまり好まれる餌ではないのでしょう。きっと日比谷にはほかにいい餌場がなかったので、しかたなくキヅタを食べているうちに、キヅタが国民食のようになったのでしょう。科学的根拠は全くありませんが、とりあえず、そういうことにしておきましょう。

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5月の日比谷公園はまだ外出自粛の最中。昼時にこんな静かな日比谷公園の風景なんて、普通ならあり得ない

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樹木の下をキヅタが埋め尽くしています

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心字池。以前会社が日比谷公園にあったので、よくここで弁当を食べたりしていた

 それはともあれ、気になるのは最初の写真の下半分の、気色悪い蛆虫のような奴らです。

 実は彼らは、ヒメシロコブゾウムシの幼虫なのです。大きさは1~2ミリほどでしょうか。こんな蛆虫モドキになぜ関心があるのかというと、実は全く関心などなかったのです。

 

 関心があったのは、ヒメシロコブゾウムシの産卵シーンだったのです。ではその産卵シーンを見てみましょう。

 

 さっきまで交尾していたヒメシロコブゾウムシのカップルのうち、♀がキヅタの葉の一部を折りたみはじめました。そして、折りたたんだ葉を腰巻きのようにして下半身を包みました。まるで、恥じらう乙女のようですね。なんかちょっと、セクシーです。

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キヅタの葉の腰巻きで下半身を覆って産卵するヒメシロコブゾウムシの♀。乙女の恥じらいを感じさせる

 ヒメシロコブゾウムシの♀は、この腰巻きの中で産卵するのです。出産シーンを目の前の♂に見られたくないという、乙女心ですね。

 

 ♀は産卵しながら次第に腰巻きを、ジプロックのように閉じていきます。何やらノリのようなものを分泌して、折りたたんだ葉を接着していくようです。

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 ♀がジプロックを閉じて、産卵を終えるやいなや、♂は恋人が腰巻きから産卵管を抜き取るのさえ待てないかのように、再び♀の上にのしかかって、交尾態勢に入りました。いやはや、おさんかなことです。

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いままさに、産卵管を腰巻から引き抜こうとするヒメシロコブゾウムシの♀

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立ち合い出産で、産卵の様子を見守るヒメシロコブゾウムシの♂

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♀が産卵管を腰巻から引き抜く

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すると、すぐさま襲いかかる♂。立ち合い出産の狙いはこれだったのか。

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出産直後の♀とすぐさま交尾態勢に入るせっかちな♂

 卵が産みつけられた腰巻きを「ベリベリ」と無理やり開いてみると、中には20~30個の卵が産みつけられていました。

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卵が産みつけられている場所は、ノリで貼り付けられたようになっている。

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折りたたまれた葉の中には、20~30個の卵

 この段階で、昆虫記者のヒメシロコブゾウムシの生態に関する関心はほぼ満たされたのでした。

 

 そして何日か後。ヒメシロコブゾウムシたちを自然に戻そうとプラケースの掃除を開始したのですが、その時、ケースの底の綿ゴミの中に、微小な蛆虫がうごめいているのに気付いたのでした。

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ケース底の綿ゴミの中でうごめいていたヒメシロコブゾウムシの幼虫

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霧吹きの水滴の中に取り込まれたヒメシロコブゾウムシの幼虫

 ヒメシロコブゾウムシの幼虫は、腰巻きの中で孵化すると、地面に落ち、土に潜って植物の根などを食べて育つらしいです。つまり、プラケースの底の蛆虫たちは、ヒメシロコブゾウムシの幼虫だということです。仕方なく、幼虫たちも拾い集めて、成虫と一緒に自然に戻しました。何と心優しい昆虫記者であることよ。

 

 近所の公園で来年、ヒメシロコブゾウムシが大量発生したら、見て見ぬふりをしようと思います。

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 まあヒメシロコブの植物への被害は、微々たるものなので、誰も気にはしないでしょう。日比谷公園のキヅタの緑は色あせることなく、毎年ヒメシロコブを養い続けていることですし。

黒鯛が何十と群れる小名木川

 今回はわが家の庭のような小名木川隅田川と荒川を結ぶ水路です)で、魚、カニなどの観察です。昆虫記者がなぜ魚なのかというと、時間がないので、やっつけ仕事ということです。

 虫の記事だと妙に力が入りますが、それ以外だと、エイヤッとばかり、やっつけになるのは何故でしょう。

 まずは、エイヤッと黒鯛の群れです。

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黒鯛が群れる美しい海辺、と言いたいところですが、汚い水路です

 水面に日の光が反射するので、遠くの黒鯛はうまく撮れないのですが、ざっと目に入るだけで、20匹ぐらいはいました。

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10匹以上の黒鯛が写っているはずですが、光の反射でほとんど識別不能です

 こんなにたくさん居るのに、簡単には釣れないのが黒鯛様ですね。狙っている人はけっこう多いのですが、釣れているのを見たことはまだありません。

 

 そしてスズキです。大きな黒鯛も同居していました。

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スズキもたまに浅瀬で休憩している

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スズキの隣にいた黒鯛

 水がきれいとはとても言えない水路なので、汽水域ならどんな汚いところでもいるボラは常連さんです。

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汽水域の汚い水路と言えば、常連さんのボラ

 あの大きな体で時々すごい水音を立てて連続ジャンプするので、道行く人々がびっくりします。ボラの三段跳びなんて言うらしいです。

 

 岸辺のヨシのすきまには、ベンケイガニがいる場所があって、ザリガニ釣りの要領で、スルメイカなどを使ってカニ釣りをしている人を時々みかけます。結構大きいカニなので、釣りごたえもありそうですね。

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ヨシの葉陰にはベンケイガニ

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背中のゴツゴツした模様が弁慶の形相に似ているとか

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カニ釣りを楽しむ人々

 背中のゴツゴツとした模様が武蔵坊弁慶のいかつい形相に似ていることがベンケイの由来だそうです。確かに恐そうな面構えですね。

葛西でシギとシギゾウムシを見てナス田楽を思う

 葛西臨海公園で鴫(シギ)を撮る人は多いですね。シギゾウムシを撮る人は少ないです。両方撮る人はめったにいない。

 鴫とシギゾウムシが両方見られる場所は結構少ないし、両方撮りたいなんて思うおかしな人はもっと少ない(昆虫記者ぐらい)です。

 

 では、ここでクイズです。次の連結写真のシギの名前は何でしょう。

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シギ3種、と言っても中に一匹まがい物が

 昆虫記者は鳥には詳しくないので、間違っているかもしれませんが、葛西臨海公園にあった写真説明を参考にすると、一番上はたぶんキアシシギ、上から2番目はアオアシシギのようです。

 では一番下は?。これはかなりの難問です。臨海公園の説明にも載っていません。それも当然。もう分かっていると思いますが、これがシギゾウムシの仲間です。

 しかし、シギゾウムシの仲間は似たのが多くて、識別が難しいのです。ヒントになるのは、何の木に居たか。今回のシギゾウムシはグミの木の隣にいたので、ナツグミシギゾウムシだと思います。背中の3つの白い紋(うち一つは小楯板)が特徴です。

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グミの茂みにいたので、恐らくナツグミシギゾウムシ

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背中の3つの白い点がナツグミシギゾウムシの特徴のようです

 もちろんシギゾウムシのシギは鳥の鴫(シギ)から取られた名前です。クチバシが長ければ、何でもシギの名前を付けてやれという、安易な発想ですね。魚にもシギウナギという、長いクチバシを持ったのがいるらしいです。

 では、食べ物では鴫焼きはなぜシギなのか。鴫焼きはナス田楽のことで、全然細長くないです。

 調べてみると、昔は文字通り、鳥の鴫を焼いて食べたり、鴫とナスを一緒に焼いて食べたりしていたらしいのです。それがなぜか江戸時代ぐらいから、鴫の肉の代用品としてナスが使われるようになったようです。鴫の肉とナスの見た目とか食感が似ていたのでしょうか。

 肉の代用品の豆腐ステーキとか、魚の代用品の刺身こんにゃくとかと同じようなものかもしれなません。ちなみに、鴫はヨーロッパでは結構高級なジビエのようです。

 写真を撮ったのは5月。たいていのシギゾウムシは、ドングリとか、クリとかツバキとかの実ができ始めるころに出現するので、春にはいません。それでも、何とかしてシギつながりにしようという涙ぐましい努力を続けていると、やはり天は努力する者を見捨てないのです。

 グミの茂みでグミチョッキリを撮っていた時に現れた見慣れぬシギゾウムシが、今回のナツグミシギゾウムシです。

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こちらはグミチョッキリ。アリンコぐらい小さいチョッキリです

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小さいながらも青い輝きは結構きれいなグミチョッキリ

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グミの花の後ろに小さな実ができていました。

 グミチョッキリも、シギゾウムシほどではないですが、口吻はそこそこ長いですね。まあ鳥に例えるならサギぐらいのレベルでしょうか。やはりシギに例えるならシギゾウムシがいないと困る(誰も困らない)。

 

 ものはついでなので、鳥と紛らわしい名前の虫を紹介しておきます。うっかり間違えると大変ですからね(誰もまちがえないし、間違えても何の問題もない)。

 ツバメシジミは、語順からツバメのような尾状突起を持ったシジミチョウだろうと推察できますが、ムラサキツバメとなると、紫色をした鳥のツバメだと思われがちですね。

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ツバメシジミです

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ムラサキツバメの♀

 ミミズク、コミミズクなんてのは、鳥と虫が全くの同名なので、非常に紛らわしい。鳥の方は非常に人気があり、虫の方は全く不人気の雑虫なので、虫系の人が「オッ、ミミズク発見」などと叫ぶと、近くにいた鳥系の人々が、「エッ、どこだどこだ」とざわめく事態になります。

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虫の方のミミズクです

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虫の方のコミミズクの幼虫

 虫系の人は、虫のミミズクを見つけても声に出さない方がいいです。鳥系の人に説明するのも面倒だし、説明すると「なーんだ虫ケラか」と落胆されていまうので。

大島小松川公園に不時着した謎のUFOから宇宙人出現

 大島小松川公園では、地球に不時着したと思われる未確認飛行物体(UFO)らしきものを見つけました。捏造写真ではありません。中に宇宙人が乗っているというよりは、物体そのものが、生命を有しているように見えます。

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小松川公園に不時着した謎のUFOの正体は?

 物体表面の奇妙な凸凹は当然、飛行しやすくするためのディンプルですね。日本語にすると笑くぼのことです。ゴルフボールを飛びやすくするあの無数の凸凹です。

 

 そしてある日、UFOの上に丸い穴が開いていました。宇宙人が抜け出したに違いありません。

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ある日気付くとUFOの上部に宇宙人が脱出した穴が

 近くを見回すと、緑色の宇宙人がいました。宇宙人と言えば、青白いか緑色が多いですね。

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UFOから出てきた緑色の宇宙人…と言うか宇宙ゾウリムシ

 そういえば、大島小松川公園の展望の丘には、宇宙人のような姿のオブジェがありました。「ムー大陸よりⅡ」という名のオブジェで、謎のムー大陸とUFO。やはり何か関係があるのでしょうか。

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UFOとつながりがありそうなオブジェ「ムー大陸からⅡ」

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展望の丘から旧中川方面を望む

 でも、宇宙人と言うよりは、どちらかと言うと微生物のゾウリムシか細胞内のミトコンドリアに似ているような。

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少し大きくなると、ますますゾウリムシに似てきた

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顔はゾウリの下に隠れれていた

 もう分かりましたね。UFOはシジミチョウの卵。宇宙人はシジミチョウの幼虫です。今回のシジミチョウは、ギシギシやスイバの葉に卵を産むベニシジミです。越冬明けだと、赤い模様が入ったもっときれいな幼虫も散見されるのですが、今頃のはたいてい緑一色。

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以前に撮った赤い模様入りのベニシジミ幼虫

 

 実は話の順番は、UFO発見が先ではなく、ベニシジミ発見が先でした。まず、ベニシジミの♀がギシギシの葉に止まって産卵するのを見つけたのでした。

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ギシギシの葉に産卵中のベニシジミ

 そしてその卵を持ち帰って、1週間後ぐらいに卵が空になっているのに気付いて周囲を探したのでした。

 

 小さな幼虫は、葉裏の葉肉を削ぎ取るようにして食べて、葉の表面の半透明の薄皮だけを残します。このため、ギシギシの葉には特徴的な食痕が残ります。

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ベニシジミの小さな幼虫がギシギシの葉に残した食痕

 上の写真は、葉の表側。この記事の3枚目の写真で幼虫の上に写っているクレータのような窪みが、葉裏の食痕です。幼虫が大きくなると、葉に完全に穴を開けてしまったり、葉の端からバリバリかじったりします。

 しかし、「この食痕を目印に探せば、すぐにベジシジミの幼虫が見つかる」などと簡単には行かないのが人生です。まあ、こんな食痕を探す人生なんて、まずあり得ないのですが。

 

 実は似たような食痕をギシギシに残すやつがいるのです。それはハグロハバチの幼虫。ベニシジミの幼虫の100倍、1000倍ぐらいの数がいるので、結果的に「どの葉を裏返しても、ハグロハバチの幼虫ばかり」ということになります。

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この日もハグロハバチの幼虫が山ほどいました。

 なので、ベニシジミの幼虫を探すには、越冬幼虫が大きくなった3月ぐらいが都合がいいのです。そのころにはハグロハバチの幼虫は、いたとしても非常に少ないので、特徴的な食痕があれば、ベニシジミ幼虫の仕業である可能性が極めて高くなります。

 

 従って、5月以降にベニシジミの幼虫を確保する一番簡単な方法は♀が産卵するのを見つけることです。ただし卵は異常に小さいので、虫メガネが必要になります。

 

 そして幼虫は、ギシギシの葉をたべてグングン大きくなり、半月ほどで蛹になり、さらに1週間ほどで羽化しました。

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蛹化が近いずんぐりした幼虫

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ベニシジミの前蛹

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薄茶色だった蛹が羽から順番に黒っぽくなってきたら間もなく羽化

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そして羽化

 ベニシジミの成虫は本当にきれいな蝶です。ただ小さいし、数が多いので、誰も注目しません。これが大きな蝶だったら、実に見事な生き物なのですが。

 近所の公園でベニシジミを目にする機会が有ったら、是非近寄って、その可憐な姿を覗いてみて下さい。宇宙人ではありませんが、地球の恵みの素晴らしさに驚嘆するかもしれません。

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ベニシジミはよくよく見ると、本当にきれいな蝶

 

タコの八ちゃんを求めてアルファルファタコゾウムシを飼育するアホ

  5月上旬、大島小松川公園の展望の丘を囲む斜面には、アカツメクサの花がたくさん咲いていました。アカツメクサシロツメクサを巨大にして、花をピンクに模様替えしたような植物です。草花を愛でる清らかな乙女たちの気を引こうと、昆虫記者もアカツメクサの花を愛でるふりをします。しかし、風体に問題があるので、乙女たちが振り返ることは決してありません。

 

 それでも一応、アカツメクサナミアゲハという、のどかな風景など撮ってみます。こんな風景を取るカメラマンのなんと素敵なことか。変わり者の乙女の一人ぐらい、振り向いてほしいものです。

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アカツメクサナミアゲハ。清らかな乙女が好む風景です

 でも狙いは、ナミアゲハなどではありません。誰一人見向きもしない、どうでもいい虫のアルファルファタコゾウムシです。名前がタコとは変ですね。その理由には後で触れるとして、まずはアカツメクサの葉の上で見つけたアルファルファタコゾウムシの芸術的な蛹室です。

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アルファルファタコゾウムシの蛹室は、中華高級食材のアマツバメの巣のようだ

 なんと美しい。まるで高級中華料理の食材であるアマツバメの巣のようですね。などと言うと、ツバメの巣のスープを平気で注文できる大金持ちのようですが、実は昆虫記者はそんな高級中華は一度も食したことがありません。「そんなものおいしいはずがない」と決め付けてしまえば、羨ましさもなくなります。ちなみにアマツバメは、ツバメとはかなり違う種類の鳥らしいので、間違えて普通のツバメの巣を煮込んで食べたりしないよう気を付けましょう。

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蛹室の実際の大きさはこんな極小。とても中華料理にはならない

 アマツバメの巣のような蛹室の中には、アルファルファタコゾウムシの蛹が入っています。しかしゾウムシ自体が小さいので、蛹室を見つけるのも一苦労。それでもどうしてもこの極小アマツバメの巣を見たいと言う人は、アカツメクサやどこにでもある雑草のカラスノエンドウに山ほどいるアルファルファタコゾウムシの幼虫をとってきて、飼えばいいのです(そんな物好きはどこにもおらん)。

 

 幼虫はこんなです。3~5月ぐらいにカラスノエンドウの若葉が丸まっているあたりを見れば、街中の道端でも、いくらでも見つかります。

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アルファルファタコゾウムシの幼虫

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幼虫はこんな風にグチャグチャしたところに潜り込んでいることが多い

 成虫はこんなです。全く見栄えのしない虫なので、わざわざ探そうとする人はまずいません。

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アルファルファタコゾウムシの成虫

 

 そして、問題はタコの名の由来です。超有名な某昆虫サイトによれば、この仲間のゾウムシは奇形が発生する率が高く、脚が通常の6本ではなく、8本あるケースが散見されるのだそうです。そうです「タコの八ちゃん」です。某昆虫サイトには、実際に8本足のタコゾウムシの写真もありました。

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これも脚を数えてみたら、普通に6本だった

 8本脚のタコゾウムシ、是非見つけてみたい…なんて思う人はまずいないでしょうが、昆虫記者はタコ八ゾウムシに憧れます。でもこれまで何十匹も見てきて、そんなのはいなかったので、恐らくは、千に一つ、万に一つなのでしょう。幼虫を山ほど捕まえてきて育てれば、タコ八に出会えるかもなんて、考えたりしますが、1000匹育てても会えなかったら、ただのアホです。1000匹の成虫の足の数を確認するだけでも、大変な手間ですから。