虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

遊び人(鳥)のジョウビタキ。車の窓を滑り台に、小一時間遊びまくり。

 人なつっこくて、遊び好きの野鳥と言えばヤマガラが有名ですね。でも先日皇居周辺で遊びまくっていたのはジョウビタキのメス。

 駐車中の乗用車の窓を滑り台代わりに使って、飽きもせず、ずっと遊んでいました。30分ほど眺めて、時々写真を撮っていたのですが、途中でこっちの方が飽きてしまい、現場を後にしました。きっとその後もずっと、遊んでいたことでしょう。

 遊びができるのは頭のいい証拠とか言いますが、餌も探さず遊び続けるこのジョウビタキは、賢いのかアホなのか不明です。

斜めになった車の窓を滑り台にして遊ぶジョウビタキ

いったんワイパーの上で休んで。

再び滑り台に挑戦。

今度はサイドミラーにとまって。

サイドの窓でも滑り台遊び。もう、かってにしろ、って感じですね。

 ジョウビタキが遊ぶすぐ横では、ヤマガラが1羽、ずっと様子をうかがっていました。もしかしたら、このヤマガラがやっていた遊びをジョウビタキが真似したのかも。

ジョウビタキの遊びを見守るヤマガラ



 

無料で多摩動物園の動物が(ちょっとだけ)見られる多摩丘陵かたらいの道。キノコムシの集団越冬も

 節分の頃に、多摩丘陵かたらいの道を歩いてきました。平山城址公園から多摩テック跡地の横を抜けて、多摩動物園の脇の散策路へと続く道です。ここからは、ちょっとだけですが、多摩動物園の動物たちを見ることもできます。フェンスに目隠しみたいなものが貼り付けてあって、動物園内はかなり見にくいのですが、無料なので我慢しましょう(わざわざ園内の動物を見るために、この道を歩く人はいないと思いますが、ちょっとした話題には使えるかも)。

集団越冬していたヒメオビオオキノコ。起こしちゃってごめん。

ナガニジゴミムシダマシも越冬してました。

 ジョウビタキメジロなど常連の鳥を見ながら動物園脇を進むと、まず見えてくるのはオランウータン舎。その後はカンガルー、コウノトリ、トナカイなどがちょっとだけ見られます。ゾウもはるかかなたに見えます。

 途中の倒木には、ヒメオビオオキノコとか、ナガニジゴミムシダマシとかの姿がありました。啓蟄はまだだいぶ先の季節だったので、冬眠中に起こしてしまって申し訳なかったです。m(__)m。

多摩丘陵かたらいの道のコース図。

動物園脇のコースのフェンスには目隠しみたいのが張ってあって、園内の動物は非常に見にくいです。

かたらいの道から望遠で撮ったオランウータンの親子。

カンガルー舎はわりと良く見えます。

たぶんコウノトリ

たぶんトナカイ。

はるか遠くにゾウの姿も。

今回は南平駅方面へ下って、高幡不動から上り直すコースに。南平への道が険しいのでやめた方がいいです。

高幡不動です。

きれいどころが節分の豆まきをしてました。

高幡不動裏のコース。多摩動物園脇のコース入口まで、少し街中を歩かないといけないのが欠点。

  かたらいの道は、高幡不動多摩動物園の観光を兼ねてのハイキング、虫探しのコースと言えそうですね。片側は動物園なので、あまり多くの虫の収穫は望めないですが、今回はきれいどころの豆まきを見られたのが、最大の収穫ということで。

冬の暇つぶしに、今日もまたクワエダシャクの越冬幼虫探し。4連やⅩポーズ?も。

 昆虫趣味の冬は暇ですね。なので、暇つぶしについ、今日もまたクワエダシャクを探しに。

 おっ、1匹いました。でもよく見ると、枝擬態のクワエダシャク幼虫のすぐ下に、枝と並行に張り付いたのがもう1匹。

枝擬態のクワエダシャク幼虫。よく見るとすぐ下にもう1匹いるような。

少し離れて見ると、上にもう一匹いますね。

その上にももう1匹。

 もう少し離れて見ると、その上にさらに1匹。計4匹。これは1つの小枝で昆虫記者が見つけた最高記録です。

1つの小枝にクワエダシャク幼虫が4匹。過去最高記録です。

 周囲を探すと、このクワの幼木には、10匹以上、下手すると20匹ぐらいのクワエダシャク幼虫がいました。

 4匹がきれいに並んで、枝擬態している姿をご覧ください。短い小枝が妙に多いクワの木という感じですね。見事な連係プレー、シンクロナイズドスイミングの静止画像のようです。

クワエダシャク幼虫4匹がきれいに並んで枝擬態。

 この時期のクワエダシャク幼虫の大きさはこんなものです。手のひらと比べてみるとかなり小さいことが分かります。

この時期のクワエダシャク幼虫はこんなに小さい。

 そんなこんなでクワエダシャク幼虫とたわむれていると、クワエダシャク幼虫2匹が交差してⅩ状態になっている光景に遭遇。

Ⅹ字状態に交差した2匹のクワエダシャク幼虫。

 なんて訳はないですね。1匹を撮影していた時に枝を揺らしてしまったようで、別の1匹が驚いて、上から糸で吊り下がってきたのでした。冬でも危険を感じると、糸を出してぶら下がることがあるんですね。

 せっかく静かに越冬していたのに「起こしやがって、コノヤロー!」というダメ出しのⅩ、バツ印かもしれません。

 

「はやにえ」にされたトゲナナフシ。極寒の中でも虫を探す懲りない人々。

 極寒の1月中旬、昆虫写真家の森上信夫さん(最近は荻野目洋子さんと共演でバラエティー系にも進出)と、イモムシ専門家の井上けいこさんを誘って千葉の公園で虫探し。「寒いのは嫌だ!」とごねていた森上氏も、タテジマカミキリの極秘の越冬場所を教えるという「餌」をぶら下げると、食い付いてきました。

 しかし、今回の最大の収穫は、井上さんが見つけた「はやにえ」。昨年秋に必死で探し回ったトゲナナフシが、モズに捕まって枝にぶっ刺され、昇天していまいた。トゲナナフシは基本、夜行性なので、モズに見つけられてハヤニエにされることは極めてまれではないかと思います。

モズの「はやにえ」にされたトゲナナフシ

 トゲナナフシの「はやにえ」は、重量感もあって被写体には絶好。井上さんが見つけたのに、絶好の撮影ポジションは森上氏が独占してしまいました(昆虫写真で食べていくには、そのくらいの押しの強さが必要です)。

「はやにえ」にされたトゲナナフシを撮影する森上氏。

 タテジマカミキリの越冬場所でもやはり、森上氏が最高のポジションを占拠。井上さんはライティング係に使われていました。

 このポイントでは、森上、井上両氏に、「このへんにいるので、探してみてください」と、15分ほどの猶予を与えたのですが、結局自力での捜索は徒労に終わりました。

 「ほら、ここにいるでしょ」と越冬場所を指し示した時の、昆虫記者の優越感は、はんぱないものでした(自分が見つけた時も30分ぐらい探し回ったことは棚に上げて、自慢し放題)。

カクレミノの枝で越冬中のタテジマカミキリ。森上さんの写真は、この100倍ぐらいきれいだった。

タテジマカミキリを撮影する森上氏。ライティング担当は井上さん。

 このほかにも、ナミテントウの越冬集団、オオムラサキの越冬幼虫、クワエダシャクの越冬幼虫(山ほど)、ヤサイゾウムシの幼虫、ホルスタイン柄のチャバネフユエダシャクのメスなど、獲物が盛りだくさんの真冬の虫探しでした。腰が痛いだの、寒いだの、文句たらたらだった森上氏もきっと満足したことでしょう。

今冬のムラサキツバメの越冬集団。自己最高記録更新か。

 川崎市の公園でムラサキツバメの越冬集団を見つけました。シロダモ(たぶん)の木のちょっと高い場所だったので、あまりいい写真は撮れなかったのですが、30匹近くいるようです。昆虫記者が見つけた集団としては、過去最高記録かもしれません。近くを飛んでいるのもいたので、最終的にはもう少し大きな集団になるかも。

シロダモの葉上のムラサキツバメの越冬集団。

蜘蛛の巣に引っかかった落ち葉のように見えるムラサキツバメの越冬集団。ゴミ擬態と言えるかも。

折り重なっていて数えるのが難しいですが、30匹近くいるかも。

 でも、虫好き以外にとっては、ただのゴミですね。ゴミ擬態と言えるかもしれません。ゴミに見えれば、鳥など天敵に襲われる危険性が低下するでしょう。翅を開くときれいな蝶なのに、ゴミを装うとは。

ムラサキツバメのメス。翅を開くときれいな蝶ですね。

 虫好きにとっても、このゴミ擬態によって、ムラサキツバメの越冬集団を見つけるのが難しくなります。

 こうした集団を効率的に見つけるには、晴れて暖かい日を選ぶのがいいです。そんな日には、越冬集団から離れて飛び回り、翅を開いて日光浴をした後、また集団に戻る蝶もいます。なので、真冬に日光浴をしているムラサキツバメを見つけたら、その近くに越冬集団が存在する可能性があります。

今冬も越冬中のタテジマカミキリ、1匹発見。隠れ身の術、敗れたり。「勝った!」

 今冬も千葉市の公園のカクレミノの木で、越冬中のタテジマ化キリを1匹発見。「カクレミノ」の木を「隠れ蓑」にする「隠れ身の」術、敗れたり。

 「勝った!」と叫びたいところですが、必死で1時間ほど探して、見つけたのはたったの1匹。「負けた」に近い勝利ですね。

今冬のタテジマカミキリの越冬姿。明るくすると正体バレバレですね。

 

暗い状態では特に擬態を見破りにくい。

今冬いたのはこんな所。タテジマカミキリが小さく写っているのですが、どこにいるか分かるでしょうか。

 今年はもう一カ所、八王子市でもタテジマカミキリがいる場所を見つけたので、来年からは勝率が少し上がるかもしれません。

 越冬する位置、体勢とかが分かってくると、だいぶ有利になりますね。

昨冬に越冬していた場所を夏に撮影。この木にタテジマカミキリがいる証拠ですね。

こういう幼虫の食痕もタテジマカミキリがいる証拠です。

 

晩秋の可愛い蛾「ミノウスバ」。庭にマサキ、マユミ、ニシキギを植えている人はイモムシ被害に要注意

 11月後半の新治市民の森。虫が減って寂しい季節ですが、ミノウスバは見頃。マユミの木で何組か交尾に精を出していました。

 胴体を覆う黄色い毛(蓑=ミノ)と半透明の翅(ウスバ)を持った、ちょっとおしゃれで可愛い蛾ですね。

交尾中のミノウスバ。体の下にはすでに卵がびっしり。

ミノウスバのメスの毛はまさに蓑。お尻の毛束は、卵を覆うのに使うのだと思われます。

ミノウスバのオス。触覚が立派。

 でも大量の卵を産み付けられた枝を放っておくと、翌春にうじゃうじゃ幼虫が出てきて、庭木、生垣のマサキ、マユミ、ニシキギなどが丸坊主にされてしまうので、植栽を管理する人にとっては大問題です。卵のうちに駆除してしまうのが得策ですが、ミノウスバの産卵を観察して喜ぶ虫好きは、どこに卵があるのか、教えてあげようなどとは全然思いません。

マユミをボロボロにするミノウスバの幼虫集団。

 ミノウスバ以外では、しぶとく生き残っていたヒメアカタテハツマグロヒョウモンオオカマキリキボシカミキリなどが見られました。温暖化のせいなのか、夏、秋の虫が長生きするようになりましたね。

センダングサの花にヒメアカタテハ

ツマグロヒョウモン

瀕死のキボシカミキリ

瀕死のオオカマキリとその卵

たぶんモンキアゲハの幼虫

越冬態勢に入ったツヤアオカメムシ