虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

アサギマダラで真冬の東京でもイモムシ萌え

 真冬のイモムシ探しで一番萌え萌えになるのは、アサギマダラでしょう。白、黄、黒の組み紐のような胴体の模様も萌え要素ですが、若齢幼虫のブサカワ、キモカワの顔も、捨てがたい魅力があります。

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真冬のイモムシ萌え。アサギマダラのブサカワ、キモカワ系幼虫

 南国の蝶の印象が強いアサギマダラですが、幼虫は結構寒さに強く、真冬の東京でも食欲旺盛で、キジョランにせっせと丸い食痕を開けています。

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キジョランの葉に丸い穴がたくさんあれば、アサギマダラ幼虫がいる可能性大

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真冬はこんな極小の幼虫が多い。

 今年も八王子方面にアサギマダラ詣に行ってきました。マイナーな場所なので、食草のキジョランが繁茂する山道は人影もまばら。3密回避の余暇には絶好です。

 

 東京でのアサギマダラア幼虫の越冬には、冬も青々としたこのキジョランが欠かせません。幼虫の居場所の目印は、葉に開いた丸い穴。植物が出す毒液をあの有名なトレンチ行動で遮断しようと、円形に堀をめぐらせた後で、堀の内側の葉を食べるので、この丸い穴が開くのです。

 

 昆虫記者にしてみれば、アサギマダラの幼虫が「私はここにいますよ、見つけて下さい」と言っているようなものです。新しめの丸い穴(裏を見て穴の周囲に白い毒液がたくさんこびり付いているのが新しい穴です)が開いた葉が何枚か続いていたら、そのどれかの裏側にたいてい幼虫がいます。

 

 まずは極小の幼虫。この段階の幼虫の顔は黒一色であまり面白くありません。

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1齢幼虫か。芸のない黒い顔

 少し成長すると、突如デストロイヤーの覆面(若い人は誰も知らないので、要ネット検索)のような変な顔になることがあります。2、3齢ぐらいの幼虫でしょうか。昆虫記者はこの顔が一番好きです。

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デストロイヤー風の変顔のアサギマダラ幼虫

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この手のアサギマダラ幼虫はスターウォーズのストームトルーパーのようでもある

 このあたりまでの極めて小さな幼虫の方が、冬の寒さに強いようで、春まで生き残って立派な蝶になる確率が高いようです。

 

 5齢と同じような、お馴染みのテントウムシの背中の模様のような顔のもいました。これはなかなか端正な顔立ちと言えます。

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端正な顔立ちのアサギマダラ幼虫

 少し大きめの幼虫もいました。脱皮後間もないようで、顔は仮面ライダーの面を白塗りしたような感じです。背中の模様は、全体に黄色の斑をちりばめた立派な最終形態になりつつあります。

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脱皮したばかりらしい少し大きめのアサギマダラの幼虫

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大きめと言ってもこのサイズ

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黄色の斑がきれいにちりばめられた胴体の模様は、すでに最終形態に近い

 この時期にこの大きさになってしまった幼虫は、これまでの経験上、外では凍死する可能性が高いように思います。助けてやりたい気もしますが、そうすると2月ごろに成虫になって、これまた悲しい運命が待っています。頑張って寒さに耐えろと言うしかないですね。

丑年の初虫詣と言えば、言わずと知れた羽無し蛾のチャバネフユエダシャク

 丑年です。初詣は行きましたか。虫好きの丑年初詣と言えば、当然昆虫界のホルスタインこと、冬の羽なし蛾のチャバネフユエダシャク♀探しですね。

 丑年の3密を避けての静かな初詣には、チャバネフユエダシャク探しが最適。ただし、見つかるかどうかは時の運。見つかったら丑年の幸運を願って、二拝二拍手一礼しましょう。

 

 なぜ丑年にチャバネフユエダシャクなのか。虫好きには説明は不要ですね。羽の退化した♀のチャバネフユエダシャクは、その白黒まだら模様と、ふっくらした姿から、ホルスタインの通称で呼ばれることが多いのです。乳牛の代表のあのホルスタインです。

 

 では参拝に出かけましょう。と言っても、見つけたのは2020年の12月末なので、なんちゃって初詣です。でもコロナ禍の現在、3密を避けるため、初詣を前年末に前倒しする人も多かったようなので、大目に見ることにしましょう。

 

 まずは毎年冬にほぼ確実にホルスタインに出会える超穴場の生田緑地です。やっぱり今回もいました。丑年こそコロナ禍が過ぎ去って良い年になりますよう、手を合わせて拝みます。

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丑年の初詣は、ホルスタインことチャバネフユエダシャクの♀を拝みましょう

 今回のホルスタインは、こんな目立つ場所にいました。

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こんな目立つ場所にいたチャバネフユエダシャク♀

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昆虫記者以外は誰も、おめでたいホルスタイン様に見向きもしません

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ここまで近づくと、ようやく、鳥の糞でないことが分かりますね

 「今回の」発見場所が目立つ場所だったと言うより、「今回も」と言った方がいいかもしれませんね。「お前の目は節穴か」と良く言われる老眼が進行した昆虫記者が、あの地味なフユシャク♀たちを見つけられる場所は、ほとんど公園の木柵に限られるからです。

 

 しかし何と、生田緑地散策の数日後、今度は多摩丘陵で、エノキの幹に張り付いているホルスタインを見つけたのです。樹上でホルスタインを見つけたのは、たぶん今回が初めて。これは、丑年こそは絶対に良い年になるという、神様の予言のようなものですね。賽銭をはずみたいところですが、ここは森の中。お金が無駄になるので、開きかけた財布を閉じて節約しました。

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エノキの樹上で見つけたチャバネフユエダシャク♀

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手乗せしてみると、チャバネフユエダシャクは意外に足が長い

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正面から見たチャバネフユエダシャク♀。少し蛾らしく見える。

 チャバネフユエダシャクの♀は、別にホルスタインに擬態しているわけではありません。丑年だからといって、特に人気が急上昇しているわけでもありません。実際には、鳥の糞に擬態していると言われていて、全然めでたい存在ではないのです。

 

 近くにあった鳥の糞を写真に撮ってみました。確かにチャバネフユエダシャクの♀に似ていると言えば、似ています。

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近くにあった鳥の糞。チャバネフユエダシャク♀に似ていると言えないこともない

 他のフユシャク♀は、チャバネよりさらに地味です。1月に入ってから小野路で、地味な♀を2種類見つけました。たぶんシロオビフユシャクと、ナミスジフユナミシャクです。

 

 丸っこいシロオビフユシャク♀は、とても蛾には見えません。アブラムシ(アリマキ)を巨大にしたような雰囲気ですね。

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たぶんシロオビフユシャクの♀。アブラムシの巨大版のようで、とても蛾には見えない

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シロオビフユシャク♀を指乗せ

 ナミスジフユナミシャクの♀は、使い物にはならない小さな羽を持っているので、一応蛾らしくも見えますが、やはり飛べません。羽は飾りのようなものですね。

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木柵の上にいたナミスジフユナミシャク♀

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ミスジフユナミシャク♀の羽は飾りのようなもの

 近くにナミスジフユナミシャクの♂もいました。じっとしている♀に夜這いをかけないといけないので、♂の方には立派な羽があります。

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ミスジフユナミシャクの♂。メスに夜這いをかけるため立派な羽がある

 

秋の野山散策で意地汚く無料の食料を探す

 今時になって秋の野山の味覚です。完全に一般社会と時間軸がずれているのが、常人たらぬ昆虫記者です。

・柿

 まずは代表的な秋の味覚の柿。これはほとんどの場合、所有者がいるので、勝手に取って食べることはできませんが、鳥や虫は勝手に食べています。うらやましい。

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柿は成虫越冬する蝶の大好物。クロコノマチョウとキタテハ。

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メジロムクドリなどの鳥が食べた後の柿が、蝶の食卓になります。

 そして栗。丹波栗のような立派な栗はやはりたいてい所有者がいますが、山栗は野山の散策路にたくさん落ちていますね。これはたいてい所有者がいないので、無料で取り放題、食べ放題です。昨年は多摩丘陵で拾った山栗をたらふく食べました。

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山栗は無料の高級食材

・山栗レシピ

 一番簡単な食べ方は、一晩水に漬けたり、ゆでたりしてから鬼皮をむいて素揚げにして、軽く塩を振るだけというものです。実はこれしか食べ方を知らないのに、レシピなどとおこがましいですね。

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昨年拾った山栗

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山栗の素揚げは、渋皮ごと揚げるので手間が少ない。揚げた後で渋皮を取り除いてもいい

 ムカゴ・レシピ

 山芋を掘るのは大変ですが、ムカゴなら簡単にいくらでも収穫できます。山道を散策しながら、大きいムカゴを見つけるたびに摘んでいくのは楽しいものです。さて、レシピですが、これまたバカの一つ覚えで、塩ゆでしてそのままいただくというのが、唯一知っているレシピです。これが結構おいしい。

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ヤマイモの茎に付くムカゴ

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ムカゴの塩ゆで。塩は濃いめの方が美味しいかも。味はヤマイモの粉で作ったタピオカパールのような感じ、って全然分からないですね。

 銀杏

 イチョウの実である銀杏は、踏んでしまうとウンコのような悪臭が靴底について嫌ですね。なので、可能な限り拾って食べてしまいましょう、と言いたいところですが、子供が何十粒も食べると食中毒になる恐れがあるので注意が必要。大人で10粒ぐらいまでなら、何の問題も無いようです

 

 イヌマキ

 葛西臨海公園の鳥類園に向かう駐車場前の道には、イヌマキの生垣があります。イヌマキの実は、花托という赤い部分がほんのりと甘く、そのまま食べられます。しかし、その先の緑色の種子の部分には毒があるので気を付けましょう。

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見た目もかわいいイヌマキの実

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葛西臨海公園の鳥類園に向かう道の駐車場前にイヌマキの並木がある

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イヌマキの実。食べられるのは赤く膨らんだ部分。緑の種子には毒がある

 ガマズミ

 ガマズミは、小さな赤い実がびっしりと付いて、秋の野山の色模様として親しまれていますが、意外にも食用になります。でも小さい実なので、全く食べ応えがありません。しかも、葉が茂っている頃はまずいらしいです。初冬になって葉が落ちた頃に、一粒、二粒つまんで、甘酸っぱさを愛でるのがいいようです。昆虫記者は昨年初めて食べてみましたが、酸っぱいだけという感じでした。時期が早かったのかも。

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ガマズミの赤い実は秋の野山の彩り

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12月下旬のガマズミの実。葉が全部落ちた後の方が美味しいらしい。

 クコ

 クコの実は、杏仁豆腐の上にポチっと乗っている赤い実です。乾燥させてナッツ類と一緒に食べたりもしますね。でもこの乾燥が難しい。何回かチャレンジしましたが、美味しい乾燥クコの実になったためしがありません。

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クコの実。乾燥させるのが難しい。

 ケンポナシ

 ケンポナシは、枝が食用になるという不思議な木です。写真で枝先に付いている丸いのが実。その後ろの太くなった枝(花梗とか花柄とかよばれる花や実の後ろの部分で、厳密には枝ではないようです。サクランボを食べる時につまむ緑色の部分ですね)が、梨のような味がするようです。昆虫記者が食べた印象は、甘さの強いサトウキビのような感じでした。1つ目、2つ目めぐらいは良かったのですが、その後で食べたらお酒の味がして、アルコールに弱い昆虫記者は、しばらく酩酊状態になりました。落ちてから時間が経つと発酵することもあるようです。気を付けましょう。ケンポナシはあまり多くない木で、東京中心部では、戸越八幡神社林試の森公園小石川植物園などで見られます。

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ケンポナシの実(先の丸いもの)と膨らんだ枝(花托)

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拾い集めたケンポナシの枝と実

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戸越八幡神社のケンポナシの木


 秋の野山の無料の味覚を紹介していたら、もう春、夏の味覚が恋しくなる意地汚さ。野イチゴとか、クワの実とか、よだれが出そうですね。

 

賑わう葛西臨海公園、シジミチョウの越冬にも3密の懸念?

 冬の葛西臨海公園と言えば、ムラサキツバメ(蝶です。鳥ではありません)の集団越冬ですね。「ですね」って、だれも同意しないんですけど…と言われそうですが、昆虫記者的には、冬の葛西はやっぱり、何と言われようとも、ガン無視されようとも、ムラサキツバメの集団越冬です。

 

 撮影時がまだ11月下旬だったので、まだ臨戦態勢、有事にはいつでもスクランブルをかけられるぞ、という姿勢で集合していました。

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10匹ほどのムラサキツバメの集団越冬。日当たりが良く、雨風もしのげる位置のマテバシイなどの葉の上が人気の場所です。

 これが真冬になると、みんなべったりと寝そべって、ゴミ集積所のような光景になります。それにしても密集、密接の蜜ですね。森の中のマテバシイの葉の上なので密閉は避けられていますが、互いの距離は新型コロナ禍の今、懸念されるほどの接近ぶりです。まあ、蝶にコロナは感染しない(と思う)ので、杞憂ではありますが。

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ムラサキツバメの姿が5,6匹確認できます。このあたりでも越冬集団が形成されそうな気配

 やはり懸念されるのは蝶より人間の密集ですね。週末の葛西臨海公園はいつもカップルや家族連れで大賑わいです。野外なので、コロナ感染の危険性は低いと思いますが、どうせなら公園の中でも密になるスポットではなく、ムラサキツバメの越冬観察地のような、絶対に密にならないスポットを巡るのもいいかも。しかし、お父さんがそんなことを主張したら家庭が崩壊するかもしれないし、彼氏がそんなことを提案したら、彼女に見捨てられるかもしれませんね。そうなっても昆虫記者は責任を持ちません。

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週末はいつも大賑わいの葛西臨海公園

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葛西臨海公園内を周遊できるパークトレインも大人気

 ついでに葛西臨海公園の初冬の花を紹介します。これは家庭崩壊、カップル解消にはならないネタですね。初冬の代表的な花の1つはビワです。そんなにきれいではありませんが、甘い香りは恋の気分を盛り上げるのに十分。

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ビワの花を訪れるアオスジアゲハ

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成虫越冬するテングチョウはビワの花の常連

 そして、この香りは蝶を引き付けるにも十分です。間違ってこの時期に羽化してしまったアオスジアゲハや、これから成虫越冬に入るテングチョウの姿が見られました。

幸せの青い蝶と幸せの青い鳥、真冬の対決の勝者は?

 11月下旬の葛西臨海公園。晩秋から冬にかけてのこの公園の名物と言えば、ムラサキツバメ、ムラサキシジミという2種類の幸せの青い蝶ですね。なんて思っているのは、虫好き、あるいは昆虫記者のような虫バカだでです。

 

 ムラサキツバメ、ムラサキシジミにはそれぞれにテリトリーがあるようで、2種類が一緒に羽を広げて、青い紋を見せつけている場面は滅多に見られません。本当に、本当に滅多に見られません。はっきり言って、同時に2種類の開翅を写真に収めることなど、ほぼ不可能です。なぜここまでしつこく、その難度を強調するのかと言うと、今回その写真が撮れたからです。単なる自慢です。「自慢、高慢、馬鹿のうち」「自慢の糞は犬も食わぬ」ですね。

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手前がムラサキツバメ、後ろがムラサキシジミ。青い羽を開いて一緒に一枚の写真に収まることは滅多にない。

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上がムラサキツバメの♀、下がムラサキシジミの♀。ムラサキツバメには燕尾服のように尾状突起があります。

 望遠カメラを担いで葛西臨海公園を訪れる人々の99%は鳥目当て。虫目当てなどという不届き者は、昆虫記者ぐらいです。幸せの青い鳥と言えば、一番ポピュラーなのはカワセミでしょう。珍しい鳥だと思っている人もいるでしょうが、池があったり、小川が流れていたりする公園ならば、都内でも大抵どこにでもいます。我が家の近くのさして大きくない猿江恩賜公園でも時々見かけるし、仙台堀川なんていう墨田川と荒川を結ぶ水路にもいます。そうなのです、取り立てて騒ぐほどの鳥ではないのです。そしてこの日の葛西にも、カワセミはいました。やっぱりどこにでもいる鳥なのです。

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葛西の鳥類園の観察小屋にカメラマンがわんさと集まっていました。目当てはきっとカワセミ

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カメラの先にはやっぱりカワセミ

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人気があることを知って、おごり高ぶった態度です

 それと比べて、ムラサキツバメ、ムラサキシジミはどうかと言うと、これまた、もっと、もっと、都内のどこにでもいる普通の蝶です。しかも、真冬も含めてほぼ1年中、見られます。

 なので、被写体としてそれほど人気がありません。この日、カワセミのポイントには人だかりができていたのに、青い蝶のポイントには昆虫記者以外、誰もいませんでした。

 

 しかーし、この蝶が羽を大きく広げて、青く輝く紋を見せつけるのは、圧倒的に11、12月なのです。成虫越冬する蝶なので、晩秋から初冬の暖かい日差しの日には、ぬくもりを惜しむかのように、日向ぼっこに精を出すのです。カワセミなど、1年中いつでも同じような写真が撮れるのに、なぜそんなにもてはやすのか。今、撮るべきはムラサキツバメ、ムラサキシジミだと言いたい。

 とか言いながら、やっぱり昆虫記者も人だかりに割り込んで、カワセミの写真を撮ってしまいましたとさ。めでたし、めでたし。

 

 ムラサキシジミはオスもメスも青い紋があってきれいですが、ムラサキツバメのオスは、羽を広げても、一見しただけでは喪服のように黒っぽいだけの蝶です。しかし、このオスも光の当たり方によっては、美しく輝くことがあります。なので、今回も色々な角度からムラサキツバメのオスを撮ってみたのですが、ダメでした。

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ムラサキツバメのオス。今回はダメでしたが、光の当たり方によっては、美しく輝くことも。

 何年も前に一度だけ、ムラサキツバメのオスの光り輝く瞬間が撮れたことがあるので、以下にそのリンクを貼っておきます。

 

mushikisya.hatenablog.com

 ちなみに、羽を閉じたムラサキツバメ、ムラサキシジミはオス、メスともに、かなり汚らしい感じの蝶です。この点は、カワセミに負けていると言えないこともありません。

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翅を閉じたムラサキツバメは、全く目立たない地味な姿

 さて、いかがでしたでしょうか。青い蝶ムラサキツバメとムラサキシジミvs青い鳥カワセミ。勝者は当然、青い蝶ですね…なんて言うとバードウォッチャー軍団に大砲のような望遠レンズでボコボコにされそうなので、一応引き分けということで、お茶を濁しておきたいと思います。

虫グルメフェスで昆虫記者憧れのサゴワームを食す

 11月下旬、東京駅のスクエアゼロで開かれていた虫グルメフェスに行ってきました。知らなかったけど、スクエアゼロは駅構内なので、東京経由の定期券とかない人は入場券(140円)が必要なんです(涙)。

 でも、ボルネオで探して見つからず、食べられなかったヤシオオオサゾウムシの幼虫「サゴワーム」をついに食すことができただけで、大満足でした。このサゴワームはサゴヤシの木の中に食い込んで枯らしてしまうという大害虫なので、食べても罪悪感を持たずに済みます。サゴヤシの幹から取れるデンプンは、ボルネオの一部では重要な食料になっているらしく、それを食べるサゴワームは、非常に美味しいと評判です。

 コロナ禍が過ぎ去ったら、いつの日にかボルネオでサゴワームの串焼きを食べたいというのが、昆虫記者の夢です。

 

 昆虫食と言うとゲテモノ感を持つ人が多いですが、虫グルメフェスの店先に並んだ品々は、おしゃれな料理や、可愛いパッケージ入りの食材が多くて、原宿あたりの店で誰でも(JK、JD、OLでも)気軽に食べられそうな雰囲気でした。

 

 まずは憧れのサゴワームです。オオスズメバチの幼虫とのセットで、バターソテーで提供されていました。豪華ですね。

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左の黒っぽい集団は試食用に提供されていたコオロギの素揚げです。

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サゴワームとオオスズメバチ幼虫のソテー。はまる食品さんで食材購入できます。

 サゴワームもオオスズメバチもナッツ系の味でとても美味しいです。サゴワームの方が歯ごたえがあっていい感じ。オオスズメバチは、中身がツブツブ感がありますが、サゴワームはなめらかなクリーム状でした。

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冷凍されたサゴワーム

 はまる食品さんのホームページでは、冷凍サゴワームは45グラムで1150円でした。一度食べたら「はまる」かも。って、頼まれてもいないのに、はまる食品さんの宣伝してしまいました。

 サゴワームは非常に美味しかったのですが、絵的には、サゴワームをトップバッターにしたのは失敗ですね。原宿系のJC、JK、JDやおしゃれなOLさんは一斉に引いてしまったことでしょう。

 

 でもその他の食材昆虫は、そんなにゲテモノ風でもグロでもありません。

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コオロギのゴーフレットなんて、お子様のおやつに喜ばれそうですね。

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ジビエと昆虫食で有名なチェーン店、米とサーカスさんのメニューです

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おにぎりやお茶漬けも

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昆虫系の飲み物も豊富です

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タガメサイダー。タガメはタイでは、香辛料、調味料として利用されていて、特に♂は洋ナシ風の素敵な香りがします。

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タランチュラ、シロアリなんかも食材になるんですね

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サソリも食べちゃう。人間の食への探求心はすさまじい。

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大切なあの人に、記憶に残るギフト。すごいキャッチフレーズですね。確かに記憶には残るでしょう。ただし贈り先を選ぶ際には慎重さが求められます。

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東京農大の学生さんたちがやっていたブースには、生きたコオロギの姿も。コオロギは生産コストが低く、栄養豊富で、味も良く、一番将来性のある昆虫食材です。頑張って研究して下さい。応援しています。

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生きたコオロギさん

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虫グルメフェスはそこそこ賑わっていました。昆虫食の夜明けは近い?

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昆虫食の講演。こういう美しい方々とご一緒できるなら、一層食欲が増すでしょう。

 

3密回避の静かな観光地チバニアンで化石と晩秋の虫撮り

 GO TOトラベルの影響もあって、この3連休は各地の観光地が芋の子を洗う3密のすごい人出になってますね。新型コロナの感染者が急増していて、また緊急事態宣言とか、完全テレワークとかなるのは嫌ですよね。しかし観光地だからすべて大混雑というわけではありません。地磁気逆転の地層で世界的に有名になったチバニアンは、静かで、落ち着いた観光地でした。

 

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蝶の蛹と養老川の緩やかな流れ

 養老川のゆったりした流れと、蝶の蛹。昆虫記者ならではの、全くちぐはぐな組み合わせですね。羽化間近の羽の模様で何の蝶か分かったら、あなたももう、こちら側の世界の人間です。普通の世界には戻れません。

 

 チバニアンには車で行くのが便利ですが、小湊鉄道月崎駅から、ひなびた田舎道の雰囲気をのんびりと味わいながら行くのもいいものです。

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こんな田舎の駅(月崎)から出発

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ひなびた田舎道をテクテクと30分ほどの行程です

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途中、こんな光景も。オオッ、今時菜の花畑が!などと血迷ってはいけません。セイタカアワダチソウです。

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小湊鉄道の車窓から見えたのも、菜の花ではなくセイタカアワダチソウ

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あのきれいな黄色い花は何?、菜の花かしら?、と言っている観光客もいました

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ようやくチバニアンビジターセンターの駐車場に到着。アユの塩焼き、ソフトクリームなども売られています。

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ビジターセンター。勉強熱心な人はここでパンフをもらうのがいいようです。

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駐車場奥、ビジターセンターの後ろからの、ユウガオ畑の上のこの道が近道

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ユウガオ(カンピョウの原料)の実がたくさん転がっていました

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途中にもチバニアンの説明があるので、勉強熱心な人は読みましょう

 そしてチバニアン到着。車で来ると駐車場からあっという間の到着なので、時間を持て余しそう。車の無い昆虫記者のような貧乏人の旅の方が、全行程を半日ほど楽しめてお勧めです。ボランティアのオジサン(下の写真の右端)が代わる代わるやってきて無料で解説してくれるので、オジサンがいない時は、ちょっと待ってみましょう。ただし平日はいないかも。

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チバニアン地層の説明に熱心に聞き入る人々。偉いですね。昆虫記者は傍観です。

 77万年前、最後の地磁気逆転が起きた時期の地層の位置が、火山灰の狭い層のお陰で誰にでも簡単に分かるというところが、チバニアン時代という千葉を世界に知らしめる時代名称が採用された大きな理由のようです。ほーら、昆虫記者もちゃんと勉強しているのです。今また突然地磁気が逆転すると、航空機がまともに飛べなくなったり、とんでもないことが起きるそうです。なんかワクワクしてしまうのは変でしょうか。

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左の倒れた木のあたりから右に伸びる黒い線(所々緑の苔が生えている)が77万年前という時代を決定付ける白尾火山灰層です。昆虫記者って結構勉強熱心なんだなーと感心して下さい

 川底が柔らかい石でできていて平らなので、化石が露出しているところも多いです。大抵の人はチバニアン地層だけ見て帰ってしまいますが、それではもったいない。77万年前、ここが水深500メートル以上の海の底だった時の化石ですよ!。三葉虫みたいなカッコイイ化石ではありませんが、少しは感動しましょう。

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浅い川底にはたくさんの貝類の化石が

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サザエみたいな巻貝の化石らしいです。

 海底で生活していた生物の巣穴や移動の跡を示す生痕化石という、さらに地味な化石もあります。うーん、これで感動しろと言われても、ちょっと難しいかも。

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これが生痕化石。うーん、相当に地味だ

 川の浅瀬に入るためには、こんな雨除け靴カバーを持っていくといいかも。昆虫記者は雨の日のジャングルのために、これを常備しています。

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雨除け靴カバーがあると運動靴でも川に入れる。何と準備の良いことよ

 オオーッ!アンモナイトの化石が!なーんて真っ赤な嘘です。近くにあったアオツヅラフジの実から取り出した種です。この種はアンモナイトに似ていることで有名ですよね。

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アンモナイトの化石が!というのは嘘。アオツヅラフジの種です。

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アオツヅラフジの実。秋の野山にたくさんあります。

 川の中には魚の姿も。アユ!と思ったら大間違い。今時アユはいません。どこにでもいるオイカワ(ヤマベ)ですね。昆虫記者はかつては釣りも趣味だったので、魚の知識も多少あります。何て偉いんだ!

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ゆったりとした川の流れの中には魚の姿も

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橋の上から眺めると、たくさんの魚が確認できます

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この長い尻びれはオイカワですね。

 オッと忘れてました。甌穴(ポットホール)です。川底が柔らかいので、窪みに入り込んだ石などが長い間回転してこんな丸い穴ができると、昔科学番組で見たような。

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大小さまざまな甌穴が川岸や浅い川底に見られるのが、養老川の特徴の1つ

 そして虫です。冒頭の写真で登場した蛹は、カラムシの葉で作られた広い蛹室の中にあるアカタテハの蛹です。近くにたくさんありました。この時期、さすがにもう幼虫はいなくて、全部蛹でした。

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カラムシの葉で作られたアカタテハの蛹室

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蛹室の扉を開けると中に蛹があります

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羽化の時期が近づいている蛹も

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成虫のアカタテハもたくさん飛んでいました。成虫越冬なので真冬でも暖かい日には日向ぼっこする姿が見られます

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羽化直後のきれいなアカタテハはこんな感じ

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成虫越冬するテングチョウの姿も見られました

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ミスジは幼虫越冬なので、これは成虫の最後の雄姿。

 鳥系の方々にも配慮して、最後は農家の庭先でのモズの高鳴きです。キチキチバッタの音を100倍にしたような、キチ、キチ、キチ、キチと鳴き続ける声は本当にうるささい。

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キチキチキチとうるさいモズの高鳴き

 こんなつたない記事を読んで、チバニアンにいってみようと思った人がいれば嬉しいです。月崎から歩きがお勧めと書きましたが、電車の本数が非常に少ないので、本当は裕福な方々にとっては車がお勧めです。