虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

こんな地味でも一応スプリングエフェメラルに入るミヤマセセリ。田園都市線青葉台付近ではまだ健在。

 ミヤマ(深山)の名を持ちながらも、結構都市近郊でも見られるミヤマセセリ。先週、田園都市線青葉台駅周辺の公園で見つけました。

 地味なセセリチョウですが、一応春にしか見られないスプリングエフェメラル(春の儚い命)の一員なので、春に1匹でも見つけないと何だか落ち着かないですよね。

 都市近郊では減少傾向にあるようですが、青葉台駅からバスで行ける幾つかの公園では、まだまだ健在。4月中ならたいてい1、2匹は出会えます。

こんな地味でもスプリングエフェメラルの一角を占めるミヤマセセリ。先週、青葉台駅周辺にて。

 今回は何とかメス(メスの方が模様がはっきりしていてきれいです)の撮影に成功して、面目を保つことができました。

 スプリングエフェメラルなので、成虫は間もなく姿を消しますが、その後は幼虫探しが楽しめます(真冬までずっと幼虫なので、探せる期間が異常に長い)。

 幼虫はコナラなどの葉をたたんだ中に隠れています。ヤマイモの葉をたたむダイミョウセセリの幼虫の隠れ方によく似ています。

 ミヤマセセリ幼虫の隠れ家は、特徴を覚えてしまえば、意外に見つけやすいです。なーんて言っても、これまでに幼虫を見つけたのはたったの3回なので、「簡単に見つかる」なんていう大口はたたけませんね。なにせ、コナラの木自体がものすごく多いので、幼虫のいる木に当たる確率は極めて低いです。

青葉台周辺で6月に見つけたミヤマセセリ幼虫の隠れ家。

前の写真の隠れ家の中にいたミヤマセセリ幼虫。

9月に高尾駅周辺で見つけたミヤマセセリ幼虫の隠れ家。

前の写真の隠れ家の中にいたミヤマセセリ幼虫。






 

水元公園で大判、小判がザクザク。何のことかと思ったら、オオバンとバンのことです。

 葛飾区の水元公園は、毎年のように大判、小判が見つかります。花咲かじいさんの童謡のようですね。

 金貨が埋まっていると思って、一攫千金を狙う人々が押し寄せたら大変なので、訂正します。大判は鳥のオオバンのこと。小判は鳥のバンのことです。

 オオバンは毎年たくさんやってきます。バンも数は少ないですが、毎年どこかに来ているようです。

 バンは目立つ鳥ではなくて、水元では数が少ないので探し出すのは一苦労です。まさに大判、小判の宝探しのようです。でも今年も何とか1羽だけ見つけることができました。一攫千金のチャンスにはとんと恵まれない昆虫記者ですが、まずはめでたし、めでたし。

バンです。水元ではたいてい、ハスの茂みの中にいますね。

見返り美人のバン。額板とくちばしがカラフルなのが特徴です。

ついでにどこにでもいるオオバン。こいつがいないと大判、小判の歌にならないので。

 

遊び人(鳥)のジョウビタキ。車の窓を滑り台に、小一時間遊びまくり。

 人なつっこくて、遊び好きの野鳥と言えばヤマガラが有名ですね。でも先日皇居周辺で遊びまくっていたのはジョウビタキのメス。

 駐車中の乗用車の窓を滑り台代わりに使って、飽きもせず、ずっと遊んでいました。30分ほど眺めて、時々写真を撮っていたのですが、途中でこっちの方が飽きてしまい、現場を後にしました。きっとその後もずっと、遊んでいたことでしょう。

 遊びができるのは頭のいい証拠とか言いますが、餌も探さず遊び続けるこのジョウビタキは、賢いのかアホなのか不明です。

斜めになった車の窓を滑り台にして遊ぶジョウビタキ

いったんワイパーの上で休んで。

再び滑り台に挑戦。

今度はサイドミラーにとまって。

サイドの窓でも滑り台遊び。もう、かってにしろ、って感じですね。

 ジョウビタキが遊ぶすぐ横では、ヤマガラが1羽、ずっと様子をうかがっていました。もしかしたら、このヤマガラがやっていた遊びをジョウビタキが真似したのかも。

ジョウビタキの遊びを見守るヤマガラ



 

無料で多摩動物園の動物が(ちょっとだけ)見られる多摩丘陵かたらいの道。キノコムシの集団越冬も

 節分の頃に、多摩丘陵かたらいの道を歩いてきました。平山城址公園から多摩テック跡地の横を抜けて、多摩動物園の脇の散策路へと続く道です。ここからは、ちょっとだけですが、多摩動物園の動物たちを見ることもできます。フェンスに目隠しみたいなものが貼り付けてあって、動物園内はかなり見にくいのですが、無料なので我慢しましょう(わざわざ園内の動物を見るために、この道を歩く人はいないと思いますが、ちょっとした話題には使えるかも)。

集団越冬していたヒメオビオオキノコ。起こしちゃってごめん。

ナガニジゴミムシダマシも越冬してました。

 ジョウビタキメジロなど常連の鳥を見ながら動物園脇を進むと、まず見えてくるのはオランウータン舎。その後はカンガルー、コウノトリ、トナカイなどがちょっとだけ見られます。ゾウもはるかかなたに見えます。

 途中の倒木には、ヒメオビオオキノコとか、ナガニジゴミムシダマシとかの姿がありました。啓蟄はまだだいぶ先の季節だったので、冬眠中に起こしてしまって申し訳なかったです。m(__)m。

多摩丘陵かたらいの道のコース図。

動物園脇のコースのフェンスには目隠しみたいのが張ってあって、園内の動物は非常に見にくいです。

かたらいの道から望遠で撮ったオランウータンの親子。

カンガルー舎はわりと良く見えます。

たぶんコウノトリ

たぶんトナカイ。

はるか遠くにゾウの姿も。

今回は南平駅方面へ下って、高幡不動から上り直すコースに。南平への道が険しいのでやめた方がいいです。

高幡不動です。

きれいどころが節分の豆まきをしてました。

高幡不動裏のコース。多摩動物園脇のコース入口まで、少し街中を歩かないといけないのが欠点。

  かたらいの道は、高幡不動多摩動物園の観光を兼ねてのハイキング、虫探しのコースと言えそうですね。片側は動物園なので、あまり多くの虫の収穫は望めないですが、今回はきれいどころの豆まきを見られたのが、最大の収穫ということで。

冬の暇つぶしに、今日もまたクワエダシャクの越冬幼虫探し。4連やⅩポーズ?も。

 昆虫趣味の冬は暇ですね。なので、暇つぶしについ、今日もまたクワエダシャクを探しに。

 おっ、1匹いました。でもよく見ると、枝擬態のクワエダシャク幼虫のすぐ下に、枝と並行に張り付いたのがもう1匹。

枝擬態のクワエダシャク幼虫。よく見るとすぐ下にもう1匹いるような。

少し離れて見ると、上にもう一匹いますね。

その上にももう1匹。

 もう少し離れて見ると、その上にさらに1匹。計4匹。これは1つの小枝で昆虫記者が見つけた最高記録です。

1つの小枝にクワエダシャク幼虫が4匹。過去最高記録です。

 周囲を探すと、このクワの幼木には、10匹以上、下手すると20匹ぐらいのクワエダシャク幼虫がいました。

 4匹がきれいに並んで、枝擬態している姿をご覧ください。短い小枝が妙に多いクワの木という感じですね。見事な連係プレー、シンクロナイズドスイミングの静止画像のようです。

クワエダシャク幼虫4匹がきれいに並んで枝擬態。

 この時期のクワエダシャク幼虫の大きさはこんなものです。手のひらと比べてみるとかなり小さいことが分かります。

この時期のクワエダシャク幼虫はこんなに小さい。

 そんなこんなでクワエダシャク幼虫とたわむれていると、クワエダシャク幼虫2匹が交差してⅩ状態になっている光景に遭遇。

Ⅹ字状態に交差した2匹のクワエダシャク幼虫。

 なんて訳はないですね。1匹を撮影していた時に枝を揺らしてしまったようで、別の1匹が驚いて、上から糸で吊り下がってきたのでした。冬でも危険を感じると、糸を出してぶら下がることがあるんですね。

 せっかく静かに越冬していたのに「起こしやがって、コノヤロー!」というダメ出しのⅩ、バツ印かもしれません。

 

「はやにえ」にされたトゲナナフシ。極寒の中でも虫を探す懲りない人々。

 極寒の1月中旬、昆虫写真家の森上信夫さん(最近は荻野目洋子さんと共演でバラエティー系にも進出)と、イモムシ専門家の井上けいこさんを誘って千葉の公園で虫探し。「寒いのは嫌だ!」とごねていた森上氏も、タテジマカミキリの極秘の越冬場所を教えるという「餌」をぶら下げると、食い付いてきました。

 しかし、今回の最大の収穫は、井上さんが見つけた「はやにえ」。昨年秋に必死で探し回ったトゲナナフシが、モズに捕まって枝にぶっ刺され、昇天していまいた。トゲナナフシは基本、夜行性なので、モズに見つけられてハヤニエにされることは極めてまれではないかと思います。

モズの「はやにえ」にされたトゲナナフシ

 トゲナナフシの「はやにえ」は、重量感もあって被写体には絶好。井上さんが見つけたのに、絶好の撮影ポジションは森上氏が独占してしまいました(昆虫写真で食べていくには、そのくらいの押しの強さが必要です)。

「はやにえ」にされたトゲナナフシを撮影する森上氏。

 タテジマカミキリの越冬場所でもやはり、森上氏が最高のポジションを占拠。井上さんはライティング係に使われていました。

 このポイントでは、森上、井上両氏に、「このへんにいるので、探してみてください」と、15分ほどの猶予を与えたのですが、結局自力での捜索は徒労に終わりました。

 「ほら、ここにいるでしょ」と越冬場所を指し示した時の、昆虫記者の優越感は、はんぱないものでした(自分が見つけた時も30分ぐらい探し回ったことは棚に上げて、自慢し放題)。

カクレミノの枝で越冬中のタテジマカミキリ。森上さんの写真は、この100倍ぐらいきれいだった。

タテジマカミキリを撮影する森上氏。ライティング担当は井上さん。

 このほかにも、ナミテントウの越冬集団、オオムラサキの越冬幼虫、クワエダシャクの越冬幼虫(山ほど)、ヤサイゾウムシの幼虫、ホルスタイン柄のチャバネフユエダシャクのメスなど、獲物が盛りだくさんの真冬の虫探しでした。腰が痛いだの、寒いだの、文句たらたらだった森上氏もきっと満足したことでしょう。

今冬のムラサキツバメの越冬集団。自己最高記録更新か。

 川崎市の公園でムラサキツバメの越冬集団を見つけました。シロダモ(たぶん)の木のちょっと高い場所だったので、あまりいい写真は撮れなかったのですが、30匹近くいるようです。昆虫記者が見つけた集団としては、過去最高記録かもしれません。近くを飛んでいるのもいたので、最終的にはもう少し大きな集団になるかも。

シロダモの葉上のムラサキツバメの越冬集団。

蜘蛛の巣に引っかかった落ち葉のように見えるムラサキツバメの越冬集団。ゴミ擬態と言えるかも。

折り重なっていて数えるのが難しいですが、30匹近くいるかも。

 でも、虫好き以外にとっては、ただのゴミですね。ゴミ擬態と言えるかもしれません。ゴミに見えれば、鳥など天敵に襲われる危険性が低下するでしょう。翅を開くときれいな蝶なのに、ゴミを装うとは。

ムラサキツバメのメス。翅を開くときれいな蝶ですね。

 虫好きにとっても、このゴミ擬態によって、ムラサキツバメの越冬集団を見つけるのが難しくなります。

 こうした集団を効率的に見つけるには、晴れて暖かい日を選ぶのがいいです。そんな日には、越冬集団から離れて飛び回り、翅を開いて日光浴をした後、また集団に戻る蝶もいます。なので、真冬に日光浴をしているムラサキツバメを見つけたら、その近くに越冬集団が存在する可能性があります。