虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

精力絶倫ヒメシロコブゾウムシの交尾と恥じらいの出産と幼虫の大量発生

 日比谷公園の5月の名物と言えば。うーん、何だろう。考えてしまいますね。松本楼の10円カレーは、9月ごろだったし、桜もバラも季節外れだし。

 でも昆虫記者にとって、5月の日比谷公園と言えば、ヒメシロコブゾウムシです。アイビーとかヘデラとか呼ばれるセイヨウキヅタが所せましと生い茂っている中、ポツリ、ポツリと白い点が動き回っています。それがヒメシロコブゾウムシです。あまり注目されない虫ですが、よーくよく見るとミロのビーナスのような、大理石のギリシャ彫刻風の姿ですね。

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大理石の彫刻のようなヒメシロコブゾウムシ。下の蛆虫みたいなものの正体は?

 街中ではヤツデ、山ではシシウドでよく見かけるヒメシロコブゾウムシがなぜ、日比谷ではキヅタにいるのでしょうか。素晴らしい疑問ですね。

 それでは偉そうに解説しましょう。

 キヅタはツタの仲間ではありません。ツタはブドウ科ですが、キヅタは、ヤツデとかウドとかと同じウコギ科の植物なのです。従って、ヒメシロコブゾウムシがキヅタにいるのは何の不思議もないのでした。

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ヒメシロコブゾウムシのカップ

 でもキヅタでヒメシロコブゾウムシが大量発生している場所は、私の活動範囲では日比谷公園だけです。恐らくあまり好まれる餌ではないのでしょう。きっと日比谷にはほかにいい餌場がなかったので、しかたなくキヅタを食べているうちに、キヅタが国民食のようになったのでしょう。科学的根拠は全くありませんが、とりあえず、そういうことにしておきましょう。

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5月の日比谷公園はまだ外出自粛の最中。昼時にこんな静かな日比谷公園の風景なんて、普通ならあり得ない

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樹木の下をキヅタが埋め尽くしています

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心字池。以前会社が日比谷公園にあったので、よくここで弁当を食べたりしていた

 それはともあれ、気になるのは最初の写真の下半分の、気色悪い蛆虫のような奴らです。

 実は彼らは、ヒメシロコブゾウムシの幼虫なのです。大きさは1~2ミリほどでしょうか。こんな蛆虫モドキになぜ関心があるのかというと、実は全く関心などなかったのです。

 

 関心があったのは、ヒメシロコブゾウムシの産卵シーンだったのです。ではその産卵シーンを見てみましょう。

 

 さっきまで交尾していたヒメシロコブゾウムシのカップルのうち、♀がキヅタの葉の一部を折りたみはじめました。そして、折りたたんだ葉を腰巻きのようにして下半身を包みました。まるで、恥じらう乙女のようですね。なんかちょっと、セクシーです。

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キヅタの葉の腰巻きで下半身を覆って産卵するヒメシロコブゾウムシの♀。乙女の恥じらいを感じさせる

 ヒメシロコブゾウムシの♀は、この腰巻きの中で産卵するのです。出産シーンを目の前の♂に見られたくないという、乙女心ですね。

 

 ♀は産卵しながら次第に腰巻きを、ジプロックのように閉じていきます。何やらノリのようなものを分泌して、折りたたんだ葉を接着していくようです。

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 ♀がジプロックを閉じて、産卵を終えるやいなや、♂は恋人が腰巻きから産卵管を抜き取るのさえ待てないかのように、再び♀の上にのしかかって、交尾態勢に入りました。いやはや、おさんかなことです。

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いままさに、産卵管を腰巻から引き抜こうとするヒメシロコブゾウムシの♀

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立ち合い出産で、産卵の様子を見守るヒメシロコブゾウムシの♂

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♀が産卵管を腰巻から引き抜く

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すると、すぐさま襲いかかる♂。立ち合い出産の狙いはこれだったのか。

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出産直後の♀とすぐさま交尾態勢に入るせっかちな♂

 卵が産みつけられた腰巻きを「ベリベリ」と無理やり開いてみると、中には20~30個の卵が産みつけられていました。

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卵が産みつけられている場所は、ノリで貼り付けられたようになっている。

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折りたたまれた葉の中には、20~30個の卵

 この段階で、昆虫記者のヒメシロコブゾウムシの生態に関する関心はほぼ満たされたのでした。

 

 そして何日か後。ヒメシロコブゾウムシたちを自然に戻そうとプラケースの掃除を開始したのですが、その時、ケースの底の綿ゴミの中に、微小な蛆虫がうごめいているのに気付いたのでした。

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ケース底の綿ゴミの中でうごめいていたヒメシロコブゾウムシの幼虫

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霧吹きの水滴の中に取り込まれたヒメシロコブゾウムシの幼虫

 ヒメシロコブゾウムシの幼虫は、腰巻きの中で孵化すると、地面に落ち、土に潜って植物の根などを食べて育つらしいです。つまり、プラケースの底の蛆虫たちは、ヒメシロコブゾウムシの幼虫だということです。仕方なく、幼虫たちも拾い集めて、成虫と一緒に自然に戻しました。何と心優しい昆虫記者であることよ。

 

 近所の公園で来年、ヒメシロコブゾウムシが大量発生したら、見て見ぬふりをしようと思います。

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 まあヒメシロコブの植物への被害は、微々たるものなので、誰も気にはしないでしょう。日比谷公園のキヅタの緑は色あせることなく、毎年ヒメシロコブを養い続けていることですし。

黒鯛が何十と群れる小名木川

 今回はわが家の庭のような小名木川隅田川と荒川を結ぶ水路です)で、魚、カニなどの観察です。昆虫記者がなぜ魚なのかというと、時間がないので、やっつけ仕事ということです。

 虫の記事だと妙に力が入りますが、それ以外だと、エイヤッとばかり、やっつけになるのは何故でしょう。

 まずは、エイヤッと黒鯛の群れです。

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黒鯛が群れる美しい海辺、と言いたいところですが、汚い水路です

 水面に日の光が反射するので、遠くの黒鯛はうまく撮れないのですが、ざっと目に入るだけで、20匹ぐらいはいました。

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10匹以上の黒鯛が写っているはずですが、光の反射でほとんど識別不能です

 こんなにたくさん居るのに、簡単には釣れないのが黒鯛様ですね。狙っている人はけっこう多いのですが、釣れているのを見たことはまだありません。

 

 そしてスズキです。大きな黒鯛も同居していました。

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スズキもたまに浅瀬で休憩している

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スズキの隣にいた黒鯛

 水がきれいとはとても言えない水路なので、汽水域ならどんな汚いところでもいるボラは常連さんです。

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汽水域の汚い水路と言えば、常連さんのボラ

 あの大きな体で時々すごい水音を立てて連続ジャンプするので、道行く人々がびっくりします。ボラの三段跳びなんて言うらしいです。

 

 岸辺のヨシのすきまには、ベンケイガニがいる場所があって、ザリガニ釣りの要領で、スルメイカなどを使ってカニ釣りをしている人を時々みかけます。結構大きいカニなので、釣りごたえもありそうですね。

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ヨシの葉陰にはベンケイガニ

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背中のゴツゴツした模様が弁慶の形相に似ているとか

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カニ釣りを楽しむ人々

 背中のゴツゴツとした模様が武蔵坊弁慶のいかつい形相に似ていることがベンケイの由来だそうです。確かに恐そうな面構えですね。

葛西でシギとシギゾウムシを見てナス田楽を思う

 葛西臨海公園で鴫(シギ)を撮る人は多いですね。シギゾウムシを撮る人は少ないです。両方撮る人はめったにいない。

 鴫とシギゾウムシが両方見られる場所は結構少ないし、両方撮りたいなんて思うおかしな人はもっと少ない(昆虫記者ぐらい)です。

 

 では、ここでクイズです。次の連結写真のシギの名前は何でしょう。

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シギ3種、と言っても中に一匹まがい物が

 昆虫記者は鳥には詳しくないので、間違っているかもしれませんが、葛西臨海公園にあった写真説明を参考にすると、一番上はたぶんキアシシギ、上から2番目はアオアシシギのようです。

 では一番下は?。これはかなりの難問です。臨海公園の説明にも載っていません。それも当然。もう分かっていると思いますが、これがシギゾウムシの仲間です。

 しかし、シギゾウムシの仲間は似たのが多くて、識別が難しいのです。ヒントになるのは、何の木に居たか。今回のシギゾウムシはグミの木の隣にいたので、ナツグミシギゾウムシだと思います。背中の3つの白い紋(うち一つは小楯板)が特徴です。

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グミの茂みにいたので、恐らくナツグミシギゾウムシ

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背中の3つの白い点がナツグミシギゾウムシの特徴のようです

 もちろんシギゾウムシのシギは鳥の鴫(シギ)から取られた名前です。クチバシが長ければ、何でもシギの名前を付けてやれという、安易な発想ですね。魚にもシギウナギという、長いクチバシを持ったのがいるらしいです。

 では、食べ物では鴫焼きはなぜシギなのか。鴫焼きはナス田楽のことで、全然細長くないです。

 調べてみると、昔は文字通り、鳥の鴫を焼いて食べたり、鴫とナスを一緒に焼いて食べたりしていたらしいのです。それがなぜか江戸時代ぐらいから、鴫の肉の代用品としてナスが使われるようになったようです。鴫の肉とナスの見た目とか食感が似ていたのでしょうか。

 肉の代用品の豆腐ステーキとか、魚の代用品の刺身こんにゃくとかと同じようなものかもしれなません。ちなみに、鴫はヨーロッパでは結構高級なジビエのようです。

 写真を撮ったのは5月。たいていのシギゾウムシは、ドングリとか、クリとかツバキとかの実ができ始めるころに出現するので、春にはいません。それでも、何とかしてシギつながりにしようという涙ぐましい努力を続けていると、やはり天は努力する者を見捨てないのです。

 グミの茂みでグミチョッキリを撮っていた時に現れた見慣れぬシギゾウムシが、今回のナツグミシギゾウムシです。

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こちらはグミチョッキリ。アリンコぐらい小さいチョッキリです

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小さいながらも青い輝きは結構きれいなグミチョッキリ

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グミの花の後ろに小さな実ができていました。

 グミチョッキリも、シギゾウムシほどではないですが、口吻はそこそこ長いですね。まあ鳥に例えるならサギぐらいのレベルでしょうか。やはりシギに例えるならシギゾウムシがいないと困る(誰も困らない)。

 

 ものはついでなので、鳥と紛らわしい名前の虫を紹介しておきます。うっかり間違えると大変ですからね(誰もまちがえないし、間違えても何の問題もない)。

 ツバメシジミは、語順からツバメのような尾状突起を持ったシジミチョウだろうと推察できますが、ムラサキツバメとなると、紫色をした鳥のツバメだと思われがちですね。

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ツバメシジミです

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ムラサキツバメの♀

 ミミズク、コミミズクなんてのは、鳥と虫が全くの同名なので、非常に紛らわしい。鳥の方は非常に人気があり、虫の方は全く不人気の雑虫なので、虫系の人が「オッ、ミミズク発見」などと叫ぶと、近くにいた鳥系の人々が、「エッ、どこだどこだ」とざわめく事態になります。

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虫の方のミミズクです

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虫の方のコミミズクの幼虫

 虫系の人は、虫のミミズクを見つけても声に出さない方がいいです。鳥系の人に説明するのも面倒だし、説明すると「なーんだ虫ケラか」と落胆されていまうので。

大島小松川公園に不時着した謎のUFOから宇宙人出現

 大島小松川公園では、地球に不時着したと思われる未確認飛行物体(UFO)らしきものを見つけました。捏造写真ではありません。中に宇宙人が乗っているというよりは、物体そのものが、生命を有しているように見えます。

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小松川公園に不時着した謎のUFOの正体は?

 物体表面の奇妙な凸凹は当然、飛行しやすくするためのディンプルですね。日本語にすると笑くぼのことです。ゴルフボールを飛びやすくするあの無数の凸凹です。

 

 そしてある日、UFOの上に丸い穴が開いていました。宇宙人が抜け出したに違いありません。

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ある日気付くとUFOの上部に宇宙人が脱出した穴が

 近くを見回すと、緑色の宇宙人がいました。宇宙人と言えば、青白いか緑色が多いですね。

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UFOから出てきた緑色の宇宙人…と言うか宇宙ゾウリムシ

 そういえば、大島小松川公園の展望の丘には、宇宙人のような姿のオブジェがありました。「ムー大陸よりⅡ」という名のオブジェで、謎のムー大陸とUFO。やはり何か関係があるのでしょうか。

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UFOとつながりがありそうなオブジェ「ムー大陸からⅡ」

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展望の丘から旧中川方面を望む

 でも、宇宙人と言うよりは、どちらかと言うと微生物のゾウリムシか細胞内のミトコンドリアに似ているような。

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少し大きくなると、ますますゾウリムシに似てきた

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顔はゾウリの下に隠れれていた

 もう分かりましたね。UFOはシジミチョウの卵。宇宙人はシジミチョウの幼虫です。今回のシジミチョウは、ギシギシやスイバの葉に卵を産むベニシジミです。越冬明けだと、赤い模様が入ったもっときれいな幼虫も散見されるのですが、今頃のはたいてい緑一色。

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以前に撮った赤い模様入りのベニシジミ幼虫

 

 実は話の順番は、UFO発見が先ではなく、ベニシジミ発見が先でした。まず、ベニシジミの♀がギシギシの葉に止まって産卵するのを見つけたのでした。

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ギシギシの葉に産卵中のベニシジミ

 そしてその卵を持ち帰って、1週間後ぐらいに卵が空になっているのに気付いて周囲を探したのでした。

 

 小さな幼虫は、葉裏の葉肉を削ぎ取るようにして食べて、葉の表面の半透明の薄皮だけを残します。このため、ギシギシの葉には特徴的な食痕が残ります。

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ベニシジミの小さな幼虫がギシギシの葉に残した食痕

 上の写真は、葉の表側。この記事の3枚目の写真で幼虫の上に写っているクレータのような窪みが、葉裏の食痕です。幼虫が大きくなると、葉に完全に穴を開けてしまったり、葉の端からバリバリかじったりします。

 しかし、「この食痕を目印に探せば、すぐにベジシジミの幼虫が見つかる」などと簡単には行かないのが人生です。まあ、こんな食痕を探す人生なんて、まずあり得ないのですが。

 

 実は似たような食痕をギシギシに残すやつがいるのです。それはハグロハバチの幼虫。ベニシジミの幼虫の100倍、1000倍ぐらいの数がいるので、結果的に「どの葉を裏返しても、ハグロハバチの幼虫ばかり」ということになります。

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この日もハグロハバチの幼虫が山ほどいました。

 なので、ベニシジミの幼虫を探すには、越冬幼虫が大きくなった3月ぐらいが都合がいいのです。そのころにはハグロハバチの幼虫は、いたとしても非常に少ないので、特徴的な食痕があれば、ベニシジミ幼虫の仕業である可能性が極めて高くなります。

 

 従って、5月以降にベニシジミの幼虫を確保する一番簡単な方法は♀が産卵するのを見つけることです。ただし卵は異常に小さいので、虫メガネが必要になります。

 

 そして幼虫は、ギシギシの葉をたべてグングン大きくなり、半月ほどで蛹になり、さらに1週間ほどで羽化しました。

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蛹化が近いずんぐりした幼虫

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ベニシジミの前蛹

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薄茶色だった蛹が羽から順番に黒っぽくなってきたら間もなく羽化

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そして羽化

 ベニシジミの成虫は本当にきれいな蝶です。ただ小さいし、数が多いので、誰も注目しません。これが大きな蝶だったら、実に見事な生き物なのですが。

 近所の公園でベニシジミを目にする機会が有ったら、是非近寄って、その可憐な姿を覗いてみて下さい。宇宙人ではありませんが、地球の恵みの素晴らしさに驚嘆するかもしれません。

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ベニシジミはよくよく見ると、本当にきれいな蝶

 

タコの八ちゃんを求めてアルファルファタコゾウムシを飼育するアホ

  5月上旬、大島小松川公園の展望の丘を囲む斜面には、アカツメクサの花がたくさん咲いていました。アカツメクサシロツメクサを巨大にして、花をピンクに模様替えしたような植物です。草花を愛でる清らかな乙女たちの気を引こうと、昆虫記者もアカツメクサの花を愛でるふりをします。しかし、風体に問題があるので、乙女たちが振り返ることは決してありません。

 

 それでも一応、アカツメクサナミアゲハという、のどかな風景など撮ってみます。こんな風景を取るカメラマンのなんと素敵なことか。変わり者の乙女の一人ぐらい、振り向いてほしいものです。

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アカツメクサナミアゲハ。清らかな乙女が好む風景です

 でも狙いは、ナミアゲハなどではありません。誰一人見向きもしない、どうでもいい虫のアルファルファタコゾウムシです。名前がタコとは変ですね。その理由には後で触れるとして、まずはアカツメクサの葉の上で見つけたアルファルファタコゾウムシの芸術的な蛹室です。

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アルファルファタコゾウムシの蛹室は、中華高級食材のアマツバメの巣のようだ

 なんと美しい。まるで高級中華料理の食材であるアマツバメの巣のようですね。などと言うと、ツバメの巣のスープを平気で注文できる大金持ちのようですが、実は昆虫記者はそんな高級中華は一度も食したことがありません。「そんなものおいしいはずがない」と決め付けてしまえば、羨ましさもなくなります。ちなみにアマツバメは、ツバメとはかなり違う種類の鳥らしいので、間違えて普通のツバメの巣を煮込んで食べたりしないよう気を付けましょう。

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蛹室の実際の大きさはこんな極小。とても中華料理にはならない

 アマツバメの巣のような蛹室の中には、アルファルファタコゾウムシの蛹が入っています。しかしゾウムシ自体が小さいので、蛹室を見つけるのも一苦労。それでもどうしてもこの極小アマツバメの巣を見たいと言う人は、アカツメクサやどこにでもある雑草のカラスノエンドウに山ほどいるアルファルファタコゾウムシの幼虫をとってきて、飼えばいいのです(そんな物好きはどこにもおらん)。

 

 幼虫はこんなです。3~5月ぐらいにカラスノエンドウの若葉が丸まっているあたりを見れば、街中の道端でも、いくらでも見つかります。

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アルファルファタコゾウムシの幼虫

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幼虫はこんな風にグチャグチャしたところに潜り込んでいることが多い

 成虫はこんなです。全く見栄えのしない虫なので、わざわざ探そうとする人はまずいません。

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アルファルファタコゾウムシの成虫

 

 そして、問題はタコの名の由来です。超有名な某昆虫サイトによれば、この仲間のゾウムシは奇形が発生する率が高く、脚が通常の6本ではなく、8本あるケースが散見されるのだそうです。そうです「タコの八ちゃん」です。某昆虫サイトには、実際に8本足のタコゾウムシの写真もありました。

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これも脚を数えてみたら、普通に6本だった

 8本脚のタコゾウムシ、是非見つけてみたい…なんて思う人はまずいないでしょうが、昆虫記者はタコ八ゾウムシに憧れます。でもこれまで何十匹も見てきて、そんなのはいなかったので、恐らくは、千に一つ、万に一つなのでしょう。幼虫を山ほど捕まえてきて育てれば、タコ八に出会えるかもなんて、考えたりしますが、1000匹育てても会えなかったら、ただのアホです。1000匹の成虫の足の数を確認するだけでも、大変な手間ですから。

芭蕉の奥の細道の旅立ちを虫撮りで偲ぶ

 「秋に添うて行かばや末は小松川」。江東区大島小松川公園を徒歩で目指す際、昆虫記者が一句詠めり…なんて言いたいところですが、文学の素養のない昆虫記者にはそんな詩作は不可能。作者はもちろん、地元の偉人、松尾芭蕉大先生です(地元の人と知ったのは最近のこと。そしてもちろん、この句のことは全く知りませんでした)。

 

 そんな無粋な昆虫記者も、たまには文学散歩に出て、松尾芭蕉を偲んでみようと思い立ったのでした。というのは全くの嘘です。それが証拠に、深川周辺の芭蕉ゆかりの地など全く訪問していません(そのうち悔い改めて、訪問してみようと思います)。

 

 小名木川沿いの遊歩道が最近きれいに整備されて、自宅近くの扇橋閘門から大島小松川公園まで、車道に遮られることなく小一時間の散歩ができるようになったので、健康維持のため時々歩いているだけのことです。

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モモブトカミキリモドキ。アスリートのような太ももは♂の象徴です。

 目的地の大島小松川公園の中で、一番昆虫が多いのは、荒川河口に一番近い「展望の丘」がある一帯です。「虫が多い」などと言うと敬遠されがちですが、高台になっていて気持ちのいいところですので、是非一度ご訪問下さい。

 

 今年1回目の訪問は4月末だったので、ハルジオンの花にモモブトカミキリモドキが集まっていました。小さい虫ですが、その名の通り、♂はアスリートのような太ももが魅力的な虫です。盛夏にはいなくなるので、太ももフェチ(そんなやつ、いるんかい)の人は急がないと見逃します。

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モモブトカミキリモドキの♂♀がそろって花の上に

 オスのモモブトは何気ない雰囲気を装っていますが、隙あれば♀に襲い掛かろうとチャンスをうかがっているのです。

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一瞬の隙に♀に襲いかかり、交尾に入ろうとする♂のモモブトカミキリモドキ

 こういう強引な交尾の際に、アスリート系の太ももが役に立つのでしょう。

 

 おっと、モモブトの交尾に興奮して芭蕉さんを忘れていました。冒頭の1句が詠まれたあたりの小名木川沿いに大島稲荷神社があって、そこに立派な句碑が残っています。何と江戸時代に建立されたものらしい。雨風にさらされて、句自体はかすかに読み取れる程度まで薄れています。時代を感じますね。

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大島稲荷神社の芭蕉の句碑「女木塚」

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句碑にはかすかに「小松川」の文字が読み取れます

 芭蕉奥の細道へと旅立ったのは、今から300年以上前のことです。旅立つ少し前に小名木川に浮かべた船で友人宅に向かう途中、このあたり(小松川)で詠んだ句なのだとか。

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句碑の紹介文にはこんな絵が描かれていました。歩いているのは芭蕉さん?

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こちらは比較的新しい芭蕉

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大島稲荷神社自体はこじんまりしているのでがっかりしないように。

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大島稲荷の境内にはなぜか牛と羊の石像。干支がらみでしょうか

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小名木川沿いの遊歩道は、こんな感じにきれいに整備されています

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先の方に見えるのが、大島小松川公園の見晴らしの丘あたりです

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荒川の手前の旧中川には、ウミネコと夏のパンダ柄になったユリカモメ

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ユリカモメはこの可愛いパンダ顔になったら、北方に移動するらしく、すぐに都心から姿を消します

 先の芭蕉の句の前書きには「女木川(おなぎがわ)」とあって、これは今の小名木川のことのようです。なので句碑の名は「女木塚」。さすがは昆虫記者の江戸歴史探訪ですね。

 大島稲荷神社は、小林一茶が句を詠んだ地でもあるらしく、境内には「七夕の相伴に出る川辺かな」など、当地で詠んだ句が紹介されています。「この地を訪れた際には是非一句」と言いたいところですが、現在の風景はあまり詩情を誘うものではありません。

 「モモブトの カミキリモドキ ハルジオン(作・昆虫記者)」なんて、全く趣がないですね。

 

 さて、目的地の大島小松川公園では、モモブト以外にも、どうでもいいけど、ちょっと面白い虫たちも見つけました。しかし歴史探訪(全然歴史を探訪してませんが)で長くなったので、その話は次回以降に。

 

 

外出自粛中の気分をさらに暗くする見た目も性格も暗いユーカリハムシ

 もうすぐ東京も緊急事態宣言解除に…と期待したいですね。そうでないと、どこにも行けない。虫撮りの一番いい季節は、梅雨入りまでの1、2カ月ですが、もう残り少なくなってしまいました。新型コロナの影響では、亡くなった方、入院中の方、破産に追い込まれた方もいて、虫撮りが自由にできない程度のことは、本当にどうでもいいことですが、それでもやっぱり悲しい。本当に苦境に陥っている方々と比べれば、1億分の1ぐらいでしょうが、それでも器の小さい俗人はやっぱり悲しいのです。

 

 と言うことで、今回は器の小ささを象徴するような、誰にも見向きもされない地味な虫の登場です。名前はいかにも外国風のユーカリハムシは、ユーカリの葉を食べるオーストラリア生まれの虫で、コアラとユーカリとともに、招かれもしないのに日本にやってきました。

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めくれた樹皮の裏で越冬するユーカリハムシ

 オーストラリア産なら、明るく陽気な虫かと思いきや、見た目の地味さ以上に性格も暗くて、幼虫は昼間はユーカリの半分めくれた樹皮の下などに潜んでいて、夜にこっそり葉を食べに出てくるという、夜盗虫のようなやつです。

 

 4月末にユーカリの森で有名なドリーム・アイランド(夢の島のことを昆虫記者はこう呼んでいます)を訪れると、まだ活動中の成虫は少なめでした。と言うことは、まだ越冬モードなのでしょうか。

 

 実は毎年のようにユーカリハムシを見にドリーム・アイランドに出向くのですが、これまで成虫の集団越冬は目にしたことがなかったのです。これはチャンスです。

 

 めくれかけたユーカリの樹皮(ユーカリの樹皮は毎年ぼろぼろとめくれて落ちていくようで、ユーカリハムシが越冬したり、隠れたりする場所には事欠きません)の隙間をちょっと広げてみると「ドッカーン」といました。越冬集団です。かなりお寝坊なハムシのようですね。

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ほの暗い樹皮の隙間に潜むユーカリハムシの越冬集団

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 小枝の根元の窪みにも、越冬集団らしき小さな集団がいました。

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小枝の根元の窪みにも小さな集団が

 活動を開始しているユーカリハムシも少しいて、交尾に励む姿も見られました。

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交尾中のユーカリハムシ

早くも産卵に入っているものも。

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樹皮の隙間に産卵中のユーカリハムシ

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頑張ってます。生みの苦しみが伝わってきます。声援したくなりますね。

 でも本当に産卵しているのか、前からの写真だけでは分かりません。もしかしたらトイレで気張って用を足しているだけかも。

 後ろからも確認してみる必要がありますね。

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後ろから見ると、お尻の下方に卵が確認できました。

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産卵管を突き出して、ちゃんと産卵していました。

 まだ幼虫はいない感じだったので、以前撮った幼虫の姿も紹介しておきます。

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以前撮ったユーカリハムシ幼虫。昼間は樹皮の下に隠れているので、食痕だらけの葉を探しても見つかりません。

 しかし、何と地味な連中なのでしょう。大抵の虫は卵、幼虫、蛹、成虫などと姿を変えていく過程のどこかで、華やかだったり、魅力的だったりする局面があるものなのですが、ユーカリハムシは徹底して地味です。まるで、新型コロナで巣ごもりしている私たちのようですね。暗い外出自粛生活を一層暗くするようなお話でした。

 でも明けない夜はない、出口のないトンネルはないのです。もうすぐそこに、かすかな光明が見えています。なんて言っていたら、すぐにジメジメの梅雨だったりして。昆虫だけが友達の小人物はやっぱり悲しいです。

 

 ちなみにドリーム・アイランドの駐車場は閉鎖中のようです。緊急事態宣言が解除されるまで、あと少しの辛抱です。

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夢の島公園の駐車場は閉鎖中だった