虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

2016-01-01から1年間の記事一覧

冬の風景、枯野のオツネントンボ

北風が冷たい冬の枯野。赤トンボも死に絶えた12月末。でももっとか細いホソミオツネントンボは、しぶとく生き抜いています。 きっと来春まで、同じ枝先に止まったまま、寒さに耐え抜くのでしょう。 凍り付いて、意識朦朧かと思いきや、しっかり周囲を認識…

こんな口が欲しい。エビガラスズメの超絶クルクルストロー

以前紹介したエビガラスズメ。クルクルストローのような口吻が、あまりに素敵で口吻、もとい、興奮してしまいました。 ゼンマイ仕掛けのように、こうして丸めて仕舞っておけるのが便利ですね。 それをスルスルと伸ばしていきます。 不思議な伸ばし方ですね。…

冬の絶景、モズの早贄

モズは一見可愛らしい鳥ですが、猛禽類の精悍さと残忍さを兼ね備えています。 可愛いですね。 でもこんなに恐ろしいことも平気でやり遂げます。いわゆる百舌鳥の早贄ですね。 見事に串刺しになったトカゲを拡大してみると、首筋からブスッと入った鉄条網の針…

カラスウリ② レース職人トホシテントウ

カラスウリ② レース職人トホシテントウ クロウリハムシはカラスウリに丸いパンチ穴を次々に開けていくだけだが、トホシテントウは、円形にトレンチを描き、苦い摂食阻害物資を遮断した後で、円形の内部をレース編みのように食べていく。 つまり、レース作品…

密入国者キマダラカメムシ摘発

家庭の事情で、ちょっと京都に行ってました。外国人観光客であふれる京都ですが、あまりありがたくない外国からの来訪者もいました。キマダラカメムシです。 江戸時代の鎖国の間に、オランダ人の出入りが唯一許された長崎の出島に出現したということなので、…

秋ヶ瀬公園のカメムシ集団・クヌギカメムシの産卵シーズン

初冬に入り、色々なカメムシが成虫、幼虫で越冬態勢に入る中、埼玉・秋ヶ瀬公園のクヌギ林は、クヌギカメムシの最後の大仕事「産卵」のシーズンとなりました。年末の大仕事を終えると、間もなくその生涯を終えていくのでしょう。 あちこちのクヌギの木に、お…

秋ヶ瀬公園のカメムシ集団・アカスジキンカメ

埼玉・秋ヶ瀬公園のカメムシ集団。今回はいつものアカスジキンカメムシです。 エノキとか、ミズキとかでも集団が見られますが、一番確実なのは、ここではなぜかメタセコイア。 晩秋になると、低い枝先で、終齢幼虫が越冬準備の集団を形成します。 長い冬を一…

秋ヶ瀬公園のカメムシ集団。ますはヒメジュウジ

埼玉・秋ヶ瀬公園。晩秋になるとカメムシが「おしくらまんじゅう」を始めます。まずは、ヒメジュウジナガカメムシ。 11月初め、まだセイタカアワダチソウが花盛りの頃。アワダチソウの黄色の花にオレンジ色の集団が。ヒメジュウジナガカメムシと言えば、ガ…

エビガラスズメ、グレーのコートの下は海老柄

エビガラスズメが羽化しました。エビガラは蝦殻と書くようですが、海老の柄の方がファッショナブルでいい感じです。 羽化直後は羽が伸び切っていないので、海老の柄が際立ちます。グレーのショートコートを肩にひっかけて、その隙間から、ど派手な海老柄をの…

ねっとりした鳥の糞のようなオウトウナメクジハバチ幼虫

以前にケヤキで見つけた緑色の水まんじゅうのようなケヤキナメクジハバチの幼虫を紹介しましたが、実は10月にもう一種類、ナメクジハバチの幼虫を見つけていました。 それは桃の葉にいたオウトウナメクジハバチです。ケヤキナメクジハバチのような清潔感は…

オレンジのニクイやつ、オオキンカメムシ

冬の足音が近づくと、房総半島を南下して、あのオレンジ色のニクイやつに会いたくなります。夕刊フジじゃないです。オオキンカメムシです。あの南方系の色合いは、木枯らしの季節に、かりそめの南国気分をもたらしてくれます。気分が落ち込んだ時には、効果…

ハタザオツノゼミの波乱の生涯

マレーシアの高原リゾート、フレーザーズヒルはハタザオツノゼミのパラダイスでもありました。 しかし、パラダイスと呼ぶにはいかにもつらそうな人生、虫生に見えます。アブラムシと同様に、その生活は常にアリに蹂躙されています。 幼虫の集団を搾取するア…

キチョウのイモムシがホウネンダワラに変身

虫の少なくなった11月に見つけた貴重なキタキチョウの幼虫。キタキチョウは成虫越冬なので、まだ羽化までもっていけるかも、と大切に育てていたのですが、数日前にプラケースの中を覗くと、何と、萩の葉からホウネンダワラ(豊年俵)がぶら下がっているで…

エビガラスズメ幼虫は顔とお尻が魅力的

ご近所の柵に巻き付いていた10本ほどの西洋アサガオが、ほとんど丸裸になっていました。こんなことをするのは、エビガラスズメに違いありません。サツマイモの害虫として知られるエビガラスズメですが、アサガオも同じヒルガオ科なので、被害を受けていま…

皇居の不法侵入者マツヘリカメムシ

マツヘリカメムシは、米国出身で初来日が確認されたのが2000年代に入ってからという新参者の害虫です。 本日皇居東御苑にて、その生存を確認しました。西の丸庭園の休憩所で休んでいると、目の前の壁をカメムシが歩いています。写真でしか見たことのない…

スカシカギバのステンドグラス

温暖な三浦半島は11月になっても、まだ虫が豊富です。スカシカギバもいました。冬の蛾ではないですが、三浦は暖かいので、季節外れの虫も元気です。 羽を飾る曇りガラスのような半透明の窓が、不気味で、かつ、おしゃれです。遠目には、あばら屋のボロボロ…

未成年の♀を狙うキタキチョウ♂

キタキチョウの成虫が、羽化が近い蛹にとまっている写真が、ネット上に多くありますが、本日その現場を目撃しました。蛹が♀のホルモンを分泌していて、♂が羽化を待ちきれずに求愛しているという説が有力ですね。 嘘か本当かは分かりませんが、本当だとしたら…

車内で羽化したキタテハ

前回はカナムグラを食べるアカタテハを紹介しましたが、「キタテハの幼虫を探しに行ったのに、キタテハを見つけられずに、苦し紛れにアカタテハでごまかしたんじゃないの」と思っている人もいるかもしれません。 そんな汚名を着せられたままでは、居ても立っ…

雑食アカタテハはカナムグラも食べる?

茎にトゲがある意地悪な草のカナムグラ。子供の頃に半ズボンでカナムグラの茂みに足を踏み入れ、ミミズ腫れを作った痛い記憶がある人も多いことでしょう。 カナムグラと言えば、キタテハの幼虫の食草ですね。ところが、場所によっては、キタテハよりも、アカ…

JJ・ザ・ジェットプレイン、ホシホウジャク離陸です

昔、機関車トーマスの飛行機版みたいな漫画がありました。たしかJJ・ザ・ジェットプレインとかいったような。 主人公の飛行機はこんな感じです。 9月下旬の江東区木場公園。アベリアの生垣がヘクソカズラで覆いつくされていました。アベリアの花が好きで…

キマダラヒカゲ羽化

昆虫文学少女の新井麻由子ちゃん宅からいただいたキマダラヒカゲの幼虫が、無事蛹になり、先日無事羽化しました。 以前ベランダで飼っていた幼虫は、終齢で行方不明になり、どこで蛹になったか全く分からず仕舞いでした。なので、今度はプラケースの中に監禁…

フレーザーズヒルの雑多な蝶

フレーザーズヒルの昼間。早朝と夜のカブクワ探しで体力、気力を使い果たしているので、ホテル周辺のミニ散歩ぐらいしかできません。 それでも結構色々な蝶がやってきて、目を楽しませてくれます。一番のお気に入りは、小さなウラフチベニシジミ。 日本で言…

色白美人のカメムシ新種?

ミントの葉っぱの裏側で、色白美人のカメムシを見つけました。ミントの香りに包まれた高貴な新種カメムシでしょうか。 まさか、そんなことはないですね。隣には黒く汚い脱皮殻。数分したら、あの嫌われ者で土色のクサギカメムシになってしまいました。 近く…

軽井沢で虫仕事

9月に軽井沢で虫仕事しました。11月公開の映画「ぼくのおじさん」のプロモーション絡みです。松田龍平氏主演の「ぼくのおじさん」には、ほとんど虫は登場しません(ハワイでのラストシーン近くで、トンボが飛んでいたぐらい)が、原作者で、「おじさん」…

出たー!ハリガネムシ。極悪カマキリを自殺に追い込む恐怖の寄生生物

用水路の防護柵に悪人面したハラビロカマキリ。しかし、どこか様子がおかしいのです。何となく落ち着きがありません。もしかして、水路に飛び込んで自殺を図ろうとしているのでは。 「早まるんじゃないぞ」。あわてて首筋をつかんで、救出します。 膨らんだ…

白の襟飾り付きのアオクサカメムシ

ご近所の公園のカメムシ。お次は定番のアオクサカメムシです。 成虫はほぼ緑一色で、つまらないカメムシと思っていたのですが、白い襟飾りを付けたタイプがいることを初めて知りました。 一瞬新種かと思い、バシバシ写真を撮ったのですが、周囲を見回すと、…

性懲りもなく蟻擬態ホソヘリカメムシで遊ぶ

あっという間に秋ですね。秋と言えばカメムシ。成長の全ステージを一気に見られるお得な季節がやってきました。 近所の公園で、まずは蟻擬態のホソヘリカメムシを探します。草花がたくさん実を付ける秋が、子育てに最適な季節なのでしょう。実のなった草を探…

昆虫記者の原点・トリバネアゲハとの再会その3

ケーリング温泉の次に目指すはクアラ・ウー(kuala woh)温泉。いつから温泉ブログになったのかと、疑念を抱く人もいるでしょう。しかし、温泉巡りはあくまで、虫探しのため。温泉巡りの案内役はもちろん、マレーシアの国蝶アカエリトリバネアゲハ(ラジャ・…

昆虫記者の原点・トリバネアゲハとの再会その2

フレーザーズヒルのジュリアウ滝へのショートトリップでタクシー運転手を務めたのは、フレーザー在住のサミー氏。この村でタクシーを呼ぼうとすれば、ほぼ確実にサミー氏がやってきます。 フレーザー周辺の情報ならば、サミーにおまかせです。そこで、「アカ…

昆虫記者の原点・トリバネアゲハとの再会その1

マレーシア・フレーザーズヒルへと旅立つ際に、成田空港で目にしたのはあの「日本持ち込み禁止物」のコーナーで燦然と光り輝くアカエリトリバネアゲハ(ラジャ・ブルック・バードウィング)♂♀の雄姿でした。 フレーザーにもいないことはないはず(いるとの情…