井の頭公園の嫌われ者カラスです。カラスと言えば、有名なのは「カラスの行水」です。この公園の水没した桜の木のステージでは、行水ショーが無料で見られます。水戸黄門の由美かおるの入浴シーンと違って人気がないので、観客は私一人です。
じりじりと、水辺に近づいて行く様子には、恥じらいと、ためらいが感じられます。
しかし、ようやく意を決したようで、足を水につけました。
すると、突然バッチャン、バッチャン。その間わずか数秒。
余韻を楽しむ間も与えず、パッと水から飛び出て「はい、おしまい」。これではとても入場料はとれません。
「カラスの行水」という言葉は、お風呂嫌いで、入ってもろくに体も洗わずすぐに出てくる人を形容するもの。しかし、カラスの名誉のために一言付け加えるなら、ゴミ箱をあさって汚いやつだと思われているカラスも、実は結構きれい好きで、行水シーンは頻繁に見かけます。