この小さなシンガポールにも世界遺産があります。マリーナベイサンズとかシンガポールフライヤーとか、海に向かって水を吹くマーライオンのいるマーライオンパークとか、巨大マーライオン像のあるセントーサ島とか、派手な観光名所が幾つもありますが、世界遺産になっているのは、日本人観光客はあまり行かない地味なところです。その名はボタニックガーデンズ(シンガポール植物園)。シンガポールで最初の、そいして現在シンガポールで唯一の世界(文化)遺産です。
世界遺産登録はごく最近の2015年。世界遺産巡りが趣味の方は、是非新たな旅行先リストに加えて下さい。入園は無料です。
でも都会の真ん中にあるこの植物園がなぜ、世界遺産なのでしょう。南端から北端まで2・5キロほどとまずまずの広さですが、これで世界遺産なら、小石川植物園も、深大寺植物園もみんな世界遺産になっておかしくないですね。
昆虫記者が、かつてのシンガポール赴任中に足繁く通ったことが評価されたという説もありますが、信ぴょう性は薄いです。
実は美しきガーデンシティー・シンガポールの始まりが、この植物園だったのです。建国の父、リー・クアンユー氏が60年代に始めたガーデンシティー建設計画で、緑化のための植物研究を行い、種苗を育てたのがこの地。つまり、現在の花と緑にあふれるシンガポールの景観の出発点がこの植物園というわけです。
では、植物園に入りましょう。植物園のブキティマ門はMRTサークルラインとダウンタウンラインの乗換駅のボタニックガーデンズ駅とほぼ直結していて、交通至便です。
駅を出た途端に植物園。都会の雑踏に疲れたら、是非ここで、生気を回復しましょう。
出迎えてくれたのは、緑のカエル?。
確かにカエルに見えますね。でもこれが罠です。仲間がいると思ってカエルが近づくと「パクッ」と食べられてしまうかも。オリエンタル・フィップ・スネークという蛇です。
植物園の中で絶対行くべきところは、ナショナル・オーキッドガーデン、蘭園です。でも有料施設なので、金欠の昆虫記者は入りません。
シンガポールの国花は、バンダ・ミス ジョアキムというシンガポールで誕生した蘭。国花ぐらいは見ておきたいところですね。でもこの花は、シンガポールの観光地ならたいていどこにでもあります。シンガポール植物園でも、蘭園に入らずとも、ブキティマ門の前にたくさん咲いています。
シンフォニーレイクという池に面してステージがあって、この日は日曜だったので無料コンサートをやっていました。緑に囲まれて、芝生の上でコンサートを楽しめるなんていいですね。
園内にレストランが幾つかありますが、その中で一番リーズナブルな値段だったのがここ。それでも結構高くて、チキンカレーセットと飲み物で1000円以上だったような。お弁当を持って、コンサート観ながら食べた方が安上がりでいいですね。
日暮れ前だったので、蝶の収穫は少なくて残念。昔の記憶では、キシタアゲハもいたし、カザリシロチョウもたくさん飛んでいました。
植物園は結婚記念撮影のメッカでもあるので、新婚カップルが入れ替わり、立ち代わり撮影スポットを占拠します。