大島小松川公園では、地球に不時着したと思われる未確認飛行物体(UFO)らしきものを見つけました。捏造写真ではありません。中に宇宙人が乗っているというよりは、物体そのものが、生命を有しているように見えます。
物体表面の奇妙な凸凹は当然、飛行しやすくするためのディンプルですね。日本語にすると笑くぼのことです。ゴルフボールを飛びやすくするあの無数の凸凹です。
そしてある日、UFOの上に丸い穴が開いていました。宇宙人が抜け出したに違いありません。
近くを見回すと、緑色の宇宙人がいました。宇宙人と言えば、青白いか緑色が多いですね。
そういえば、大島小松川公園の展望の丘には、宇宙人のような姿のオブジェがありました。「ムー大陸よりⅡ」という名のオブジェで、謎のムー大陸とUFO。やはり何か関係があるのでしょうか。
でも、宇宙人と言うよりは、どちらかと言うと微生物のゾウリムシか細胞内のミトコンドリアに似ているような。
もう分かりましたね。UFOはシジミチョウの卵。宇宙人はシジミチョウの幼虫です。今回のシジミチョウは、ギシギシやスイバの葉に卵を産むベニシジミです。越冬明けだと、赤い模様が入ったもっときれいな幼虫も散見されるのですが、今頃のはたいてい緑一色。
実は話の順番は、UFO発見が先ではなく、ベニシジミ発見が先でした。まず、ベニシジミの♀がギシギシの葉に止まって産卵するのを見つけたのでした。
そしてその卵を持ち帰って、1週間後ぐらいに卵が空になっているのに気付いて周囲を探したのでした。
小さな幼虫は、葉裏の葉肉を削ぎ取るようにして食べて、葉の表面の半透明の薄皮だけを残します。このため、ギシギシの葉には特徴的な食痕が残ります。
上の写真は、葉の表側。この記事の3枚目の写真で幼虫の上に写っているクレータのような窪みが、葉裏の食痕です。幼虫が大きくなると、葉に完全に穴を開けてしまったり、葉の端からバリバリかじったりします。
しかし、「この食痕を目印に探せば、すぐにベジシジミの幼虫が見つかる」などと簡単には行かないのが人生です。まあ、こんな食痕を探す人生なんて、まずあり得ないのですが。
実は似たような食痕をギシギシに残すやつがいるのです。それはハグロハバチの幼虫。ベニシジミの幼虫の100倍、1000倍ぐらいの数がいるので、結果的に「どの葉を裏返しても、ハグロハバチの幼虫ばかり」ということになります。
なので、ベニシジミの幼虫を探すには、越冬幼虫が大きくなった3月ぐらいが都合がいいのです。そのころにはハグロハバチの幼虫は、いたとしても非常に少ないので、特徴的な食痕があれば、ベニシジミ幼虫の仕業である可能性が極めて高くなります。
従って、5月以降にベニシジミの幼虫を確保する一番簡単な方法は♀が産卵するのを見つけることです。ただし卵は異常に小さいので、虫メガネが必要になります。
そして幼虫は、ギシギシの葉をたべてグングン大きくなり、半月ほどで蛹になり、さらに1週間ほどで羽化しました。
ベニシジミの成虫は本当にきれいな蝶です。ただ小さいし、数が多いので、誰も注目しません。これが大きな蝶だったら、実に見事な生き物なのですが。
近所の公園でベニシジミを目にする機会が有ったら、是非近寄って、その可憐な姿を覗いてみて下さい。宇宙人ではありませんが、地球の恵みの素晴らしさに驚嘆するかもしれません。