虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

葛西で崩れ去ったビロードの夢とイモムシ超百科

 わが家からバス1本で行ける葛西臨海公園は、週末の朝に寝坊した時の定番スポットです。

 葛西と言えば、葛西臨海水族園。でも入園料700円はとても払えないので、9月15日からの高齢者無料週間にでも行こうと思います。

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葛西臨海水族館。柵の外から撮ったまるで入場したかのような写真

 その水族館脇のクスノキで見つけたのがビロードハマキの幼虫。葉っぱが何枚か束ねてあったので、不審に思って中を覗き込むと。

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 ジャジャーン。いました。ビロードハマキの幼虫です。まず、名前がいいですね。ビロードのソファーに座って、葉巻をくゆらす。かつての大富豪の生活が思い浮かびます。

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重なった葉の中に隠れていたビロードハマキの幼虫

 

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夏向きの涼しげな色合いのビロードハマキ幼虫

 大富豪は700円をけちったりしないものですが、昆虫記者は大富豪ではないので、けちります。葛西臨海水族館は、最初の大きな門を入ると、滝のように水の流れ落ちる壁に面した広場があるのですが、ここまでは無料です。この無料の空間にギフトショップがあり、ギフトショップの裏には、自販機が並んだ屋根付きの休憩スペースがあります。

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臨海水族館入口の滝のような壁

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ギフトショップ裏の休憩スペース。ここまでは無料で入れる

 この無料の休憩スペースは、空いていて非常に過ごしやすいところです。700円を惜しむ貧乏人には最適の休憩所ですね。

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青い表示のゲートから先が有料となります。

 

 話をビロードハマキに戻します。幼虫は夏向きのすがすがしい色合いです。薄黄色のレモネードの中にタピオカの粒が浮かんでいるようですね。

 持ち帰ったら、すぐに蛹室を作って、その中で、蛹になりました。透明なハンモックに揺られて、宙に浮かんでいるような状態は気持ちよさそうです。

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葉を束ねた蛹室

 

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宙に浮かぶビロードハマキの蛹

 そして成虫は、これまた美しいこんな姿になるはずでした。

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ビロードハマキ成虫はこんな姿になるはずでした。

 

 しかし、しばらくして蛹室を開いてみると、寄生蜂か寄生蝿の蛹が転がっているだけでした。大富豪の夢はおろか、きれいな蛾を羽化させる夢さえも、かなわなかったのでした。

 なぜそんな不幸に見舞われなければならないのか。よく考えてみると、前回の鎌倉恐怖体験編で、イノウエケイコさんの著書を紹介するつもりで、結局失念してしまったことに思い当たりました。

 こうした不義理が、不幸を招くのですね。

 ということで、ここでイノウエさんの御著書の「キモカワ!イモムシ超百科」を紹介します。

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モカワ!イモムシ超百科。幼虫、蛹、食痕、成虫等、すべてが分かる超百科です。

 

 もちろん、ビロードハマキも紹介されていて、「宙に浮いているようで神秘的」な蛹の写真も掲載されていました。

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イモムシ超百科、ビロードハマキのページです。

 さすがイモムシ専門家。