東京・町田市の小山田緑地編、まだしつこく続きます。まずは風景と人物と虫を組み合わせた苦心の作から。題名は「杖を持つおじいさんと、杖のようなナナフシ」。これはもう、昆虫記者、昆虫写真家というより、昆虫詩人(誰が?)ですね。やらせでも何でもない、一期一会のシャッターチャンス、などというほどのことはありません。お爺さんも、ナナフシも、全く動かないですから、その気になれば誰でも(誰もその気にならない)撮れる写真ですね。
小山田緑地へと通じる小山田の道は、夏は暑くてたまらないので、ちょっと水辺に寄ります。田んぼ脇の道をしばらく行くと、アサザ池というきれいな湧き水の池があります。お弁当を食べるならここがいいです。
水面に浮かぶアサザの葉が清涼感を誘います、などと詩人を気取りながら葉の上を眺めていると、葉上にたくさんのハムシが群れているのが目に留まりました。交尾に忙しい、イネネクイハムシ(たぶん)です。弁当を食べている最中でも虫を撮る。これぞまさにプロ(誰もプロとして認めていない)ですね。
そして汚い鳥の糞。に見えますが、ゾウムシの仲間のようです。鳥の糞に似たゾウムシと言えば、クズにいるオジロアシナガゾウムシが有名ですが、今回のはもっと細長くて、もっと鳥の糞に似ているホソアナアキゾウムシでした。
小山田緑地のクヌギの樹液には、コクワガタに似た地味なクワガタのカップルがいました。スジクワガタです。都心はコクワガタ天国で、スジクワガタはめったにいないのですが、ちょっと郊外、ちょっと山っぽいところに行くと、スジクワガタの方が優勢になる感じですね。
でもコクワガタとの見分けは、ちょっと微妙。メスは背中(鞘翅)の筋が目立つのでコクワでないと分かります。オスは牙(大顎)の中ほどの歯が二股、ないし台形になっているのがスジクワガタで、尖った一本歯がコクワです。でも小型になると、この歯が目立たなくなるので、ほとんど見分けがつきません。
なんて、言葉で言うより、写真で見た方が簡単ですね。
今回の出演者は地味系ばかりだったので、最後はちょっとおしゃれ系のゴマダラオトシブミで締めます。クヌギやクリの葉を巻くオトシブミですが、巻き方が他のオトシブミよりずっと下手なので、すぐに分かります。あっ、でも巻いた葉の写真を撮るのを忘れました。来年はしっかり撮ります。