虫撮る人々

地球は人間の所有物と思ったら大間違い。虫も獣も鳥もいる。昆虫記者の私的ブログです。

葛西臨海公園の海辺にキアゲハがいる訳は、ハマウドが人参と同じセリ科だから

 葛西臨海公園の海辺には、あのシマシマ模様がかわいいキアゲハの幼虫がいます。キアゲハの幼虫と言えば、ニンジン畑で探すのが定石ですよね。なのになぜ、海辺にいるのか。それは、海辺に生える巨大植物のハマウドが、ニンジンと同じセリ科の植物だからです。

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ハマウドのある海辺にはキアゲハがいる

 このハマウドは、時には大人の背丈を超えるほど巨大に成長します。なので、ハマウドがあれば、キアゲハの幼虫は餌に全く困らないのです。山野に多いシシウドやノダケよりずっと大きいです。まさにウドの大木ですね。でも食用になるウドとは全然違う種類のようです。ウドはウコギ科で、タラの芽のタラノキと同じ仲間なので、キアゲハ幼虫の餌にはなりません。

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これが葛西のハマウド。キアゲハの幼虫の存在は、セリ科の証拠。

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ディズニーランドを遠景に撮ったハマウド。絵になりますね。

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このハマウドにはキアゲハ幼虫が10匹以上いました。

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毎年この姿が楽しめるよう、貴重な葛西のハマウドを守りたいですね。

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この太い茎がハマウドの巨大さを物語っています。

 以前の葛西にはハマウドがもっと多かった気がするのですが、残念なことに最近は数えるほどしか目にしません。大きくて邪魔な雑草なので、刈り取られてしまうのかも。「あのかわいいキアゲハ幼虫の餌なんですよ」と訴えても、負け犬の遠吠えか。都内では結構めずらしいし、立派な姿の植物なので、是非保護してほしいものです。